異世界に来たって楽じゃない

コウ

文字の大きさ
86 / 292

第八十六話

しおりを挟む
 
 僕達、白百合団はコアトテミテスの街の北にあるサンドリーヌ大森林に魔石の収集に来た。
 
 僕達、白百合団はコアトテミテスの街の北にあるサンドリーヌ大森林に魔石の収集に来たんだよぉ。
 
 大事な事だから、お前ら復唱しろ!   決してチャラ男を斬りに来たんじゃ無いんだ!   
 
 
 「ミカエル、いい仕事を持って来てくれたじゃねぇか、初日から人斬りなんて幸先いいぜ」
 
 プリシラさん、近いです。顔に胸を近付けないで下さい、鎧が痛いです。
 
 「面白かったですね。殺さなくて良かったんですか」
 
 ビックリした~。急に声を掛けるの止めて下さい。さっきの低音ボイスがトラウマなんです。
 
 「まあまあ、である」
 
 口を拭け。血が付いてるんだよ。
 
 「……」
 
 今度から変顔の後はチューしようね。
 
 三人組は帰ってしまった。僕達のせいです。ダン隊長に三人の分も働く事を告げる為に離れていた?   避けられていた?   隊長の元に行こうとすると入れ替わりの様に四人組の冒険者が近付いてきた。
 
 その冒険者は女四人組。女の傭兵は珍しいけど冒険者では普通なんだろうか。リーダー格の女性はプリシラさんと似たような背格好に同じバスターソードを持っている。
 
 プリシラさんの様なグラマーと言うより筋肉質。パワーで押すタイプだ。つり目で意思の強そうな感じがするが筋肉アーマーがなければ合格ラインに入る。
 
 もう一人は僕の様にショートソードにスモールシールドの万能タイプ。違うのは弓を背負ってる事ぐらい。僕は弓を使った事は無いが遠距離攻撃には有効だ。今度、手取り足取り教えてもらいたい。
 
 細身の女性でリスの様にキョロキョロしている。目がパッチリと大きいので、影ながらリスちゃんと呼ぼう。他の二人はローブを頭から被って顔さえ見えなく背格好も分からない。きっと恥ずかしがり屋さんなんだろう。そのうち中身も見てみたいものだ。
 
 「ぐへっ、ぐぐぅ」
 
 「何を見てるのかな。ミカエル君」
 
 こいつ、ちょっと僕より背が高いからって後ろから腕を回して首を絞めるな!   落ちたらどうするんだよ。
 
 「挨拶とお詫びに行こうかと。三人組が帰ったのは僕らのせいですからね」
 
 「そうか~?」
 
 そうだ!   それ以外に何がある!   まず僕達がですね……   無理だ、説明は、また、いつか、永遠の先で……
 
 「プリシラさんも挨拶に行きませんか。女性の冒険者みたいですよ。話が合うかもしれません」
 
 「ゴリラみたいだな……」
 
 そう言うのは分かっていても口に出したらいけません。それと、プリシラさんとそうは変わりませ……
 
 「ぐへっ、これは何故ですか」
 
 「何となくな……   行こうぜ」
 
 僕はプリシラさんの肘鉄をくらい、ヨロヨロとプリシラさんの後に付いて行った。四人組の冒険者は「白薔薇団」と名乗り、リーダーはローズさん、リスちゃんの名前はリースさん、惜しかったね。
 
 ローブを被った二人の事は紹介されなかったが、仲が悪いのだろうか?    それとも男の僕を警戒してからか。
 
 僕達の名前、白百合団の名前は出すつもりは無かった。あくまで傭兵が冒険者の真似事をしているくらいで見られたかった。素人を装っていた方が話をいろいろ聞けるから。
 
 だが三人分の戦力を失って、中止されても困るし安心をしてもらう為にも名乗る事にした。案の定、白百合団の名前は「殲滅旅団」の二つ名で通っており出発前から質問攻めになってしまった。
 
 質問された事は殆ど「尾ひれ」が付いて誇張されている。そんなものだろう、その中でもアラナの「騎兵殺し」が有名みたいだった。みんなの前で派手にやっただけに知名度が上がってるみたいだ。ここにアラナを連れてきてあげたかったよ。
 
 話が一段落すると全員を集めて円陣を組み、自己紹介が始まる。この円陣はいい、会話の円陣だ。白百合団も同性である白薔薇団と仲良くなって欲しい。情報を交換し自分のレベルアップに役立ってくれたら魔石が一つも取れなくとも、僕としては大満足だ。
 
 やっと出発したのが正午近くになったが僕達は副隊長を先頭に隊列を組んだ。それで二番手は誰になるかで揉めた。プリシラさんは自分だと思い前にでると白薔薇のローズさんから待ったがかかる。お互い二番手を譲るつもりは無いようで、僕からそっとプリシラさんに耳打ちしてローズさんが二番手に決まった。団長って辛いね。
 
 僕も魔法使いの人に興味があった。相変わらずローブで顔が見えなく、自己紹介も声が小さくて聞こえなかった。戦場で前に出る魔法使いの殆どは「火」か「雷」がメインで、使える攻撃的な魔法使いだ。「土」はバックアップやゴーレム、「水」に関しては兵站で必要とされる水を作ってるのしか見たことがない。
 
 冒険者ならやっぱり「火」なんだろうか。「風」は人には効いても魔物には効くのだろうか。「雷」は?   「水」、「土」は?   興味が尽きないね。
 
 魔法を使える人をナンパ……   話が出来ないかと後ろを振り向くとソフィアさんが先に話し掛けていた。いい事だ。白百合団だと魔法はソフィアさんの他はルフィナだけ。ジャンルは違っても身に付く事はあるだろう。
 
 ルフィナも後で交ぜてもらえる様にソフィアさんに話しておこう。ルフィナはあんな風に見えるけどスーパーエリートの一人だ。家柄も良いし、ネクロマンサーの目標である不死の王を手に入れてる。まだまだ伸び白は大きい。
 
 改めて考えると白百合団は成長が出来るだろう。魔族との戦争に勝つために。
 
 
 
 「えっ!?   防音テントを持って来たんですか。あれは魔力を使うからマジックポーチに入れるのはは厳しいと……」
 
 一日目の移動はゴブリンが何匹かとコボルトが少し、二足歩行は魔石が無いから殺ってスルー。少しでも奥へと思ったが暗くなると危険と判断しキャップとなった。
 
 傭兵なら夜打ちもあるけど、冒険者は休む事を優先するんだね。休むとなったら火や水やテントが必要だが、それを運ぶのはマジックポーチを持っている魔法使いの仕事だ。
 
 防音テントは本来ならオリエッタが召喚するか馬車に積んでおく、ソフィアさんは回復に必要なポーション類をお願いしていたんだけど……
 
 「テントの邪魔なんで置いてきました」
 
 おぉ、マジか!?   そんなに輪番が大切か。回復役が回復しないで誰が回復してくれるの。
 
 
 「死ぬような味方はいませんから」
 
 理屈がわからん。
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...