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第百十九話
しおりを挟む恋愛。人、それぞれ色んな愛の形がある。純愛、情愛、殺し愛。前の二つがいいね。
アラナの大人の恋愛に付き合った。とても激しい愛の形、他の人が見たら殺し合いにしか見えない愛の形。
僕は寝転がったアラナの側で座っている。プリシラさんの時ほど、加減が分からなくて気絶させてしまった。せっかくならバスターソードで気絶させたかったのに残念だ。
このまま放っておく訳にはいかない。小柄なアラナなら、背負って帰れるだろう。こんな愛の形はプリシラさんだけで十分なのに……
宿屋に帰ると皆が待っていた。「暗くもなっていないのにもうヤって来たのか」と茶化されたが、僕は「殺り合ってきました」と言うとコップが投んで来たのは何故?
ヤってない! 殺ったんだ! 言葉って難しい。アラナをベットに寝かせると不意に目を覚まし「あれが大人の恋愛なんッスね」と言うアラナを否定せず、ただ頭を撫でてやった。
今度は殺ってからヤる! ……とりあえず、斬られた服を縫わないと。
ブリスの街はいい街だ。宿屋も清潔で快適、この後の旅の体力を回復するには十分だ。失敗したのはアラナを寝かせたのは僕のベットだった事。夜は殺らないでヤれた。普通ってなんだっけ?
ブリスの街はいい街だ。「魔石の街」と言われるだけあってソフィアさんとオリエッタの買い出しも、良い物が買えたと言っていた。ソフィアさんが一緒に行ったのに予算を軽く越えたのは何故だろう?
ブリスの街はいい街だ。飯も上手いし酒も上手い。いつの間にやら三人で宴会してるし。ルフィナ、血の勉強しろ! プリシラさん、飲み過ぎです! クリスティンさん、寝顔も可愛いね。
色々と一日であったけど、街での一日は充実したようだ。僕も十分に楽しめた。朝日が昇るまで二時間くらいか、僕も寝よう。
「出発しましょう」
朝も早くから朝食を取り、僕達は馬車に乗ってブリスの街を後にする。ここはいい街だったから、もう少し滞在したいが仕方がない。
サンドリーヌ大森林を抜けて、気候が温かくなったのか、女性の服装がいい。北に行くほど薄着になるのなら、ハルモニアにはヌーディストビーチがあっても……
「だ~れだ?」
不意に両目を手で隠された。誰って言われても…… その小鳥の様な優しい声と背中に当たるふくよかな胸……
「ソフィアさんです」
……
あれ? 当りでしょ。声を間違えるはずはないし、この柔らかな胸の当り具合はソフィアさんですよね。以外と隠れ巨乳なのを僕は知ってますよ。
「だ~れだ?」
やっぱりソフィアさんの声。あまり悪戯は困ります。ゆっくりですが馬車を操車中なんですから危ないですよ。
「ソフィアですよね、危ないですよ」
「当りだ!」
地獄の番犬でさえ震え上がる様な声をゆっくりと発し、目の前が閃光で真っ白になった。
あまりの眩しさに目を閉じた僕は馬車を止めて、手を払うかのように振り向く。あれ? 真っ暗だ。いつのまに夜になった? 誰か明かりを点けてくれ。
「キョロキョロ見ている罰です」
この女、やりやがった。まったく見えん。真っ暗だ。本当に自分の目が開いているかを触って確認したくらいだ。 ……目は開いてるのに見えねぇ。
「ソ、ソフィアさん、目が見えません!」
「当然です。そうしたんですから。うふふ」
可愛く笑えば許されると思うなよ! どうすんだよ、これ。誰が操車するの!? それ以前に人の目を見えなくしたらダメだろ。
「ロースファーのクソ女なんか見る必要なんてありませんよ。うふふ」
うふふって笑われても、この状況はヤバい。この調子でハルモニアに行ったら目をえぐられる。行くのを止めようかな……
「ソフィア、腐れ団長を後ろに引っ張れ。アラナ、馬車を動かせ出発するぞ」
プリシラさんの的確な指示のもと、僕はソフィアさんに手を引かれ荷台に移ったが、何せ見えない。誰かの足につまずき、僕は誰かさんの柔らかい肉と肉の間に顔を埋めた。
「てめぇは、やっぱり腐れだな」
違う! 誤解だ、これは事故だ! 見えていたらクリスティンさんの方に倒れ込みたい。これはソフィアさんの誘導尋問だ!
「%#&■=・!」
声にならない悲鳴。バスターソードの根元を押さえて悶える僕。この野郎は大事な所を蹴りやがった。折れたらどうする!? 潰れたらどうする!? もう少し、あの柔らかい感触を味わってもいいじゃないか!?
「ハルモニアに着いたら治しますね。うふふ」
おう、マジか!? やっとロースファーに入ったばかりで、ハルモニアまでなら十日は掛かるぞ。途中の観光はどうする? ナイアガラの滝は見てみたいぞ。
しかし良く考えれば前回とは違う。手が動く、足が動く、見えない事を踏まえても前よりかは自由だ。馬車を操車しなくてもいいし、十日間はつまずいて転んで誰かの胸にダイブしても不可抗力だ。
これはラッキーなのかもしれない。
これはチャンスなのかもしれない。
これを活かさなくてどうする! 進め! 貫け! 正義は我にある!
馬車の一番後ろの場所に、左にはプリシラさん右にはソフィアさん、両手に見えない薔薇の華。左手に手を出すと引きちぎられそうなので、右手の華から。良く見えないので手探りでモゾモゾと……
「団長、エッチです」
トン・トン・トンの早目のリズムで。
トンと、右手を握られ。
トンと、右手を手すりに押さえつけられ。
トンと、ナイフで縫い付けられ。
「いちゃラブ禁止です。うふふ」
ソフィアさんの胸にあった僕の手は血を流して手すりにある。不思議だ…… どこで間違ったかな?
「ソフィアさん! これは無理です! 痛い、痛いですよ!」
「悪戯な右手ですね。うふふ」
シバくぞコノヤロー。
「団長~。やっと右手も切り落とす決心がついたのです~」
そんなもんは最初からありません!
「なんと甘美なのである」
舐めるな、ルフィナ! 元いた所に戻ってろ!
「なんか騒がしくて楽しいッスね」
なんなら代わってやろうか!?
「……」
喋れ! こっち向け! 乳を揉ませろ!
「うるせぇヤツらだなぁ。ミカエルが困ってるだろうが。自分の場所に戻れ! アラナ、馬車を出せ」
プリシラさんの号令一下、クリスティンさん以外は、残念そうに元の場所に戻って馬車も動き出す。 プリシラさんは僕にそっと近寄り耳元で優しくささやいた。
「あたいなら構わねぇぜ」
プリシラさんは僕の左手を肩から回して、左のふくよかな胸に置いてくれたのは嬉しいが、引っ張るな! 右手の傷口が裂ける。
僕は忘れていた。今日の輪番がプリシラさんである事を。
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