243 / 292
第二百四十三話
しおりを挟む「ダメですね」
胃を貫通した刀傷。膝を貫通した小さなメテオストライクの銃創。ニコールさんには荷が重かったようだ。
「ダメ…… なんですか?」
野営地まで放置プレイをくらい。やっとの事で診てくれた元白薔薇団の水系魔法使いニコールさん。簡単だけど治癒の魔法も使える、色白でありながら艶やかな肌の持ち主なのは水を操れるからか。
僕は勇者専用の、一人には巨大なテントの中で治療を受けている。小さな会議が出来る程の机も椅子もあって、奥には一人用のお風呂まで付いてるなんて、勇者になって良かったよ。ただ、テントのドアの前に「勇」では無く「ゆ」の字の暖簾がかかっていたのは疑問だ。
「わたしの魔法では、この傷は中途半端にしか治せないくらい重症なんです。今、わたしの力だけで完璧に治すと後遺症が残ってしまうと思います」
いつもならソフィアさんが、死にかけていても簡単に治してしまうから気に止めなかったけど、魔法の仕組みとは難解なものなんだね。
以前、プリシラさんが腕を切り落とした若者の手を付けた時、ソフィアさんは手の向きを逆さまに治した事があったけど、「一度、切り落として付けれ大丈夫です」と言ってたのと同じだろうか。
なんにせよ、今は治してもらわないといけない。明日にはシュレイアシュバルツに仕掛けるのだから。戦えない勇者なんて解雇通告をもらっても仕方がないだろう。
「動ける様になれば構いません、お願いします」
神速が出せるかどうかは治ってから確かめよう。僕は裸になってベッドに横たわった…… もちろんパンツは履いている!
アラナが刺した傷口に手を当てて呪文を詠唱し始めた。ほんのりと暖かさを感じ痛みが引いていく。うつ伏せになって背中にも手を当てると、少しくすぐったいが、痛みが引いていくのが分かった。
「やっぱり魔法は凄いですね。もう痛みも無い」
「傷みだけだと思って下さい。無理に動けば傷口が裂けます」
明日は無理をしないでプリシラさんに頑張ってもらおう。僕は後ろの方で隠れて指揮をとろう。ニコールさんはお腹の傷を治して、すぐに右膝の方を診た。
「こちらは難しいです。骨が砕けて筋肉に刺さってますし、何より穴が開いてますから……」
小さいとは言えメテオストライクの直撃を喰らって、この程度で済んだのはソフィアさんが寝込んでいるほど魔力を使った後だったからだろう。
まあ、宙に浮かんでレーザーを飛ばされるよりかはマシだよね。神々しいったらありゃしない。あれは神に一番近いんじゃないか、狂暴な神に……
「どの程度、治せそうですか?」
「杖をついて、やっと歩けるくらいには……」
これで僕の選手生命は絶たれてしまうのか…… いや、くじけるものか! 僕は国立競技場に立つんだ! マネージャーを連れて行くって約束したんだから。
「やってください!」
「……それでは……」
……
「うぎゃ!」
「ど、どうしました!?」
「どうって…… 今、傷口に指を入れたでしょ!」
「はい。折れた骨を取り除かないといけないので……」
「……麻酔は?」
「ありません」
「……強いお酒は?」
「無いようですね……」
そんなのに耐える根性は無い! 本当にソフィアさんの偉大さが分かるよ。それとも治癒魔法専門だと傷みも無く治せるのかな?
「……優しさは?」
「それはあります……」
ニコールさんは僕に顔を寄せると優しくキスをしてくれて、傷口に指を突っ込んだ。
「ぎゃあ!」
「大丈夫ですか?」
大丈夫じゃねぇ! 大丈夫じゃねぇから治してもらってるんだけど、指を傷口入れても大丈夫なんですか? 破傷風は? 感染症は? 国立に立つ夢は?
「つ、続けて下さい。大丈夫です!」
キスでは無いよ。今度はキスをしながら傷口に指を突っ込んでいるけど、叫ぶに叫べない! 歯を食い縛る訳にはいかず、何かをを掴んで痛みを堪える。僕は目の前やや下の、穏やかな膨らみを掴んで痛みを堪えた。
「ダメですよぉ……」
まさか鷲掴みにする事なんてしない。身体の力を抜く気持ちで優しく揉みほぐし、五分もかからず僕の方が痛みで気を失った。
目が覚めた時には痛みも無く、穏やかな暖かさを感じた。失神するなんてカッコ悪いが、痛いものは痛いんだ。麻酔も無くて良くやったよ、自分で自分を誉めてあげたい。自分にご褒美をあげたいくらいで、今はご褒美をもらってる。
「はぁあぁぁ…ああぁっん…」
いや、「もらってる」より「あげている」か。まだ、あげていないかな? もう少ししたらあげるよ、白いミルクチョコレートを…… じゃねえ!
「な、何をやってるんですかニコールさん!」
聞くまでも無く見れば分かる。僕のパンツをずり下げ、いきり立った肉棒を、その御身の中に入れたり出したり……
「ぁあぁぁ…… ゆ、勇者さまの…… はぁあぁ…… 魔力を流しひはら…… くっ、んっ…… とても…… あっく、あぁ…… お、大きくなっ… はぅあぁ……」
どうやら知らないうちに凝縮をしていたらしい。ソフィアさんが治す時には、そんな事は起こらないのに違う人が魔力を流したからか。
そんな節操の無い相棒を殴ってやりたいが、今はニコールさんの中に入ったり出たりでタイミングが掴めない。取り敢えず、この状況から脱出しよう。相棒を叱るのはそれからだ。
「ひあっ……やあぁ…」
僕はニコールさんの肩を掴んで相棒を一気に差し込んだ。体勢を入れ換える様にニコールさんをベッドに押し倒して僕が上に。これでいつでも引き抜ける。
「あひぁっ… ああぁ…… あん っ… あぁっ」
引き抜いた相棒は、途中で僕の意思に逆らいニコールの秘部へ突き進む。負けてなるものかと、僕はもう一度引き抜くが相棒も負けてはおらず、抉るように奥まで刺し込まれた。
「やめ…… ふ、ふかい…… あぁ……」
ほら、やめてって言ってるだろ相棒。ニコールさんの身体が仰け反って小刻みに震えてるじゃないか! 紳士な僕はこれ以上の事は出来ないと一気に引き抜き突き刺した。
またしても僕に逆らうのか!? いくら長年の付き合いのある相棒としても許せん。こうなればどちらかの力が尽きるまで付き合ってやるよ。
「あ…んんふ… はぁ…んんっ…」
僕は負けない。神速で抜き出す相棒は、すぐさま逆らって中に入って行き、今度は矢尻のように抜かれまいと膨らんだ。
これでは膣内いっぱいに広がってしまう。相棒も抜かれまいと必死なんだな。だが、チャンスも巡って来た。じゃぶじゃぶと、言うくらいに濡れて来た今なら引き抜ける筈だ!
僕と相棒の戦いはニコールさんを舞台に激しさを増したが、僕は右膝から崩れ落ち中の深い所で白いミルクチョコレートをぶちまけると言う、意外なほど呆気ない幕切れになってしまった。
「ニコールさん!」
「あ… あぁ… あああ……」
自分でしておいて言うのも何だが、どんなに可愛くても白目を向いてる女性は怖いものがあるね。やっぱり神速は偉大だ、今度から容量、用法を正しく守って使っていこう。
だが、僕はシュートを決めたんだ。砕けた膝だって構うものか! これで国立競技場に勃つ…… いや、立つんだ!
「心配して来てみれば、これか……」
レッドカードで退場してもイイデスカ……
「プリシラさん……」
後ろからのタックルなんてズルい。プリシラさんの方こそレッドカードだぞ。審判! ちゃんと見ろ!
「あたいもいるぜ。うちのニコールを可愛がってくれたじゃねえか」
確かに可愛いですよ、白目を向くまでは…… 今は静に眠っているので何事も無かったように、このままテントを出て行って下さい。
「こ、これには……」
「分かるぜぇ、ミカエル」
肩を叩かんで下さい。一発、一発が突き刺さるように痛いんです。僕のガラスのハートも砕けそうです。取り敢えず、ニコールさんから抜いてもイイデスカ?
「あたいも分かるぜぇ、団長」
僕の胸に手を回して揉まんで下さい。そんな立派な胸囲ではないんです。ローズさんは僕の胸に手を回してニコールさんから引き抜き、プリシラさんはニコールさんを押さえるように踏み潰す。
にゅるんと、バスターソードがニコールさんの鞘から抜けると濡れて黒光りした刃がプリシラさんの顔を打った。
「てめぇ……」
僕のせいじゃない! 引っ張ったローズさんが悪い! 決して肉棒でプリシラさんを殴るつもりなんてなかったんだ!
「楽しみは分かち合わないとな、プリシラ」
「ああ、ローズ。一方的にな……」
二対一のデスマッチからバスケットへ、野球からサッカーへ、最後にはラグビーの人数がテントを占拠し、ノーサイドの笛の音は朝まで聞こえなかった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる