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第二百八十二話
しおりを挟む花屋でバラの刺を取る時は道具を使う。 ……僕は持ってない。
「まだですか~」
オリエッタを穴だらけにする訳にはいかず、僕は棘の刺を一本一本、手で取った。途中で面倒になりナイフで削り落としたが、初めからそうしておけば良かった。
「も、もう終わりです。どうですか、これ?」
緑色の蔦は所々で赤く染まり見るからに気持ち悪く、生きているのか時より動く事がある。魔法で出来た植物に意思はあるのか? これも生物学的に興味を引く所だが、オリエッタをこれ以上待たせても申し訳ない。
僕は縛ったオリエッタを。いつものゴスロリの上から。食い込む蔦がオリエッタの肉を強調し、幼く見えるオリエッタもこれでロリエッタだ。……我ながら上手い事を言う。
「これだけですか~」
ロリエッタ…… オリエッタを縛ったのは胸を強調する様に縛った上半身と、後ろに回した手首だけだ。これ以上は僕の手がもたない。
「これしか作れなかったんです。我慢してください」
かなりキツク縛った蔦は、痛みを伴ってると思うのに平然と言ってのけるオリエッタは上級者なんだろう。僕は初心者、縛る事も気が引ける。
だが昨今、エスエム派が着エロ派に食い込もうとしている事実を皆は知っていると思う。エスエム派は着衣の上から縛るのは着エロの一部だと言っている。
それはいいのだ。そこまでは着エロ派としても許される範囲内だと学会内でも承認されている。許され無いのは、ロープで裸体を縛り、それを着エロの範囲だと言い張っている事だ!
「舐めます~」
僕はオリエッタのリクエストに応えパンツを脱いでスライムな相棒を引きずり出した。
アンダーグラウンドなエスエム派は、表舞台に立っている着エロ派の牙城を崩さんばかりか、イメージ戦略として着エロを落とし込もうとしている!
「んんんっ、んっ……」
今のロリエッタ…… オリエッタを見て欲しい。縛られてはいるが痛みは伴わず、むしろ縛る事での着エロに貢献している。少し苦しんでいる様に聞こえるのは縛りとは関係無い事を付け加えておく。
「もう出ちゃったんですか~。早いです~」
今回、速かったのも縛りあげた興奮も伴っており、服装の上から縛るのと言うのは着エロの範疇として認めたいと思う。
だが、もし裸にロープだとしたらどうだろうか? 僕は悪魔の血を使って相棒を奮い起たせオリエッタに刺し込んだ。
「あぁ…んんんっ… 急です~」
この状態ではスカートを捲り上げパンティをずらして入れる、充分な着エロと言えよう。裸だった場合、捲り上げるスカートも無く、ずらしたロープに相棒が当たる可能性もある。
これは満足の行く性行為と言えるだろうか。着エロ派は女性を傷付ける事はしない。エスエム派とは根本的に違うのだ。
「団長~。す、少し大き過ぎます~」
僕は魔力を制御して流す力を弱めた。これでオリエッタにはピッタリと合うだろう。肉壁を削るぐらい太くはしたが。
「あっんっん… あ…ああっん…ああぁんん…」
僕の下で胸を強調する様に縛られ、スカートを捲りパンティをずらし、肉棒を受け入れているオリエッタ。君は着エロ派とエスエム派の架け橋になるのだろうか。
「あっ…あっ…あっ…あっ…」
腰の動きに合わせて喘ぐオリエッタには着エロ派でいて欲しい。今は僕の可愛いロリエッタで…… 考えれば、考えるだけ、オリエッタの中に大量にぶちまけてしまった……
「帰るです~」
僕が縛った蔦も簡単に引き千切り、腰砕けそうな僕の手を引くオリエッタは、これからの二つの架け橋になる運命をどう捉えているのだろうか。
いや、今は考えまい。ゆっくりと、時間とロープの強度が解決してくれる筈だと、二人で上陸地点に向かった。
「遅いのである! 待ちくたびれたのである!」
まあ、そうなるよね。でも、ルフィナなら簡単だ。血を少し分けてやればいい。ルフィナにとっては魔力の回復にもなるし、プレゼントした小瓶も使いたいだろう。僕はルフィナに誘われるまま森の中に入って行った。
そして気が付く。何で森があるんだ? ルフィナが魔法で森林破壊をしたのに、森が復活しただと!? ここは……
「ヤバい! 戻るぞ!」
僕がルフィナの手を取ると、その上から冷たい手が僕を押さえた。
「お久しぶりです。ミカエルさま」
赤いドレスの不死の女王ロッサ。肉を付けていないドクロ姿の時には側にも寄って欲しくは無いが、今ならその淫靡な胸に顔を埋めたい。
「離せロッサ! ここはヤバい!」
「何がであるか?」
振り返る悪魔の微笑。それに応えるヤバい木々が波を打つ。これはエントじゃない。これは蔦だ! 蔦の森がなんの支えもなく、そよ風とルフィナの笑顔に応えて揺れている。
囲まれた…… こいつが植樹なんてする訳が無いのに。こいつが環境なんて考える筈が無いのに。僕達を囲んでいる蔦の植物は根を張り、ルフィナの一声で襲い掛かる。
「こ、これは、ルフィナさんが作ったのかなぁ」
ロッサの冷たい手を振りほどく事もせず、僕は広域心眼と機先の心眼を繰り返し、いつ、何処からでも逃げれる様に準備をしたけど、これは無理です。
「そうである。我の意思の通りに動く魔の森である。中に入ったら無事では済まんのである。くくくくっ!」
嫌な笑い方をする。年相応に「うふふ」とか「きゃはは」とか笑えば可愛いものを勿体無い。これで周りが敵だらけなのは分かった。分からないのは脱出方法。
「さて、団長。我はもらいたい物がある」
どうせ血でしょ。こんな大袈裟な舞台を用意しなくたって少しぐらいならあげるよ。首筋にチューと牙を立てて吸っちゃって。
「脾臓である」
ヒゾウ? 確か身体の一部だけど、脾臓も大切な臓器の一つだ。欲しいからあげる、で済む臓器じゃない。
「死んでからと言うのはどうでしょう?」
「バカであるか団長は? 死んだらアンデッドにして未来永劫、我の側に置くのである」
「では膵臓はどうでしょう?」
バカであるかロッサさんは? スイゾウだって一つしか無いんだからあげられる訳が無い。
「お断りします!」
「では、宴の始まりである!」
ロッサの手を振るい退け、背中に抱えた木刀を抜く。間髪入れずに襲い掛かる蔦の数十、数百をモード・フォーと機先の心眼で迎え撃った。
蔦の動きはモード・スリーで余裕だが、数が違う。見えている範囲も見えない所もルフィナとロッサ以外は全てが蔦だ。ウネウネが合唱コンクールの様にウネッている。
かなりの数を斬り落としても止まる事を知らない魔の森で、僕は一人で戦った。逃げ出すのも、たぶん可能だ。芝刈りの様に斬り進めばいい。だが、僕は逃げない。
ルフィナには悪いが練習には丁度いいんだ。フォーでの全力による打撃は木刀と言えども蔦を斬る事が出来た。
これでシックスまで剣速を上げたなら、黒炎竜は無理でも魔族くらいの首なら落とせる。僕は隙を伺ってロッサに襲い掛かった。
押し倒して服を剥ぎ取り…… では無く、殺しても復活するロッサの首を狙い横に一閃。あっけなく舞い上がる首に、僕は木刀の手応えを感じた。
「ルフィナ! ロッサが死んだぞ!」
ルフィナにとってロッサが死ぬと言う事は、ネクロマンサーの悲願である不死の女王との同一化を妨げるだけで無く、復活の為に魔力を消費する。明日の魔王との戦いに無駄な魔力の消費は避けたい筈だ。
「お久しぶりです。ミカエルさま」
はい、復活! 無くなった魔力の消費には血を啜ればいい。僕の血をな! 何だか簡単にあげるのが惜しくなってきた。
「残念だったであるな。ロッサは不死者。決して死ぬ事は有り得ないのである!」
いえ、死にますから。と、言っても木刀に魔力を流しながら斬っている僕と、ロッサを復活させる為に使うルフィナの魔力量を比べたら僕の方が圧倒的に負ける。
長期戦は不利。逃げるが勝ち。人間芝刈機、レッツゴー…… の前に久しぶりのロッサだ。ルフィナ次第でいつでも復活する肉体、そして赤いドレス。
神速、モード・シックス!
ルフィナの側に立つロッサ目掛けて走り出す。次の一手を出す前にオリエッタナイフで全身を斬り刻んだ。
本日のポイントは長いドレスを大幅にカット。左の太股から右の足首が見える様に斜めに、そして大胆に入れたスリットが足の曲線美を美しく見せます。
上半身は少し重い感じになっていますので、胸元を大きく開け、下乳が見えるワンポイントを作りました。
「きゃっ」
我が神速に不可能は無し。我が着エロの進化に際限は無し。我こそ最強と知れ!
「おのれ! ロッサに何をするであるか!?」
見れば分かるだろ。着エロだよ、下乳だよ。お前には出せる下乳が無いから羨ましいんだろ。揉んで育ててやろうか!?
「ギブアップするなら、今のうちだよ」
「誰がするであるか! ■■■■、千の剣!」
ルフィナの詠唱と共に浮かび上がる千の剣。振り下ろす手と同時に僕に向かって飛んでくる。そのうちの二本を抜き取り久しぶりの二刀流。木刀といい、二刀流といい、僕は異世界の宮本武蔵だね。
全ての剣を打ち緒とした時、僕の両手の剣も消えた。出来れば僕は木刀より、この剣が欲しいのに残念だ。
「まだ、やる?」
王者の貫禄。勝者の余裕。今、ここでギブアップしたら寛大なミカエルさまは、吸血だけで許してあげるよ。僕は優しいからね。
「■■■■、滅びの大風」
広域殲滅魔法。敵も味方も僕さえも見境無しに吹き荒れる大風は魔の森を消し去って僕も消し去った。
「や、やったである!?」
残念、ゴメンね。消えた様に見えるぐらい速いモード・シックス。僕はルフィナが魔法を唱え、口から吹き出す前にロッサの後ろに回っていたのだよ。だって、そこに着エロ姿のロッサがいたのだから。
「ル、ルフィナさま…… ミカエルさまが…… あっ…」
手を入れてくれと言わんばかりの下乳のスリットに、僕は両手を入れて揉んでいた。やはりこの乳は良い。
「動くなルフィナ! ロッサがどうなってもいいのか!?」
死んでも死なない人を人質に取れるのか疑問だったが、ルフィナの動きは止まった。これで後は話し合いで何とか終わらせたい。乳を揉みながら話し合いが出来るか疑問だが……
ルフィナは顔を伏せ、両手をクロスさせて腕を握り、何かに耐えている様にも見えた。きっと、大技が外れ僕に負けたのが悔しいのだろう。たまには負けを認め、自分の成長に繋げて欲しい。
「あっ… あぁん… あっ…」
「んっ… あぁん… んっぁ…」
立体音響かな? 声がダブルで聞こえた気がする。でも少し違っている様な…… 気になる事は確かめる男ミカエル・シン。僕は神速でロッサの乳を揉みほぐした。
「あ…あぁあ…っ! あ…ぁぁあ! はんっぁ」
「ぁあ…っ あ…ぁあ! あぁん… ぅうっん」
少し違うが同じ反応を見せるルフィナ。ロッサの乳を揉めばロッサと同じ様に返すなんて…… これは、もしかして同一化の現象か!?
イリスも姉妹で感覚の共有を持っているが、ルフィナもロッサと同じ様に感じてしまうのか!? イリスの時は目の前に一人だけで、共有をしているのか分からなかったが、それが同じならまるでリモコンバイブ!
「き、貴様……」
あれ? ミカエルさんに、そんな口を聞いてもいいのかな? コントローラを誰が持っているのか、お知りでない? 教えましょうか?
「ひあっ… やあぁ… あぁっ… ぅうんっ…」
「あぁっ… いいぃ… ああんっ… あんっ…」
ルフィナとロッサの微妙に違う喘ぎ声は、同一化にはまだ時間がかかる様だ。僕はロッサと立ちバックで同一化を果たしたのに。
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