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7,岐矢部俊和
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アタシ、岐矢部俊和(きやべ としかず)に電話が掛かったのは10時過ぎだった。遅寝は美容の大敵と古くから言われているし、寝ようと思っていたのよね。
ベッドに入ろうとしたまさにその時、充電していたスマホがブルブルと震えた。メールなら後で見ればいいかと思っていたものの、振動が長いからそれが電話だって気づいたの。
急いで確認した相手の名前は米田優平。まぁ、アタシの幼馴染というか、親同士の腐れ縁から発展したスーパー腐れ縁ね。綺麗な顔をしているくせにその中身はダメ人間を体現化したような彼は、あまりに見かねてアタシが部屋の掃除をしてしまっても、次の日にはグチャグチャ、なんてこともよくあるし。ほんと良くあんなんでモテるわね。
話がそれた。
「何なのよ、優ちゃん。アタシもう寝ようとしてたんだけど?!」
「俊、聞いて。あのね」
半分怒鳴るように電話に出たのに、彼はいつも以上に神妙に話しはじめた。優ちゃんはまぁ常識はほぼないけど、良識はほんのちょっぴり持っている人間だし。アタシが寝る時間も大体知ってるから普段はこの時間に掛けてこない。という事は何かあったのかしら。
「何?どうしたの?」
幾分口調を和らげて聞く。
1分位だんまりを続けた後、彼に珍しく極小さな声で呟いた。
「あのね………好きな人できたかも知れない」
「はぁ"?」
思わずドスが効いた声が出てしまった。イケナイイケナイ。
「アンタ、その前にも付き合ってた子いたでしょ?美蕾ちゃんだっけ?可愛いって言ってたじゃない」
「もう別れたよ。あんな奴、そもそも胸ばかり大きくて下品だし、親がくっつく様に根回ししてたみたいで気に喰わないし」
「知らないわよ」
まぁ優ちゃんの家庭のことはアタシもあまり気にいらないけど、それでも一応付き合うんだから律儀なのかもしれない。いや単に性欲の為かもだけど。
「で?次はどんな子なの?可愛い?今度はお胸小さい子なの?」
とりあえず話を聞いてやるアタシはホント良い幼馴染よねなんて思う。
「うーんとね、僕より背が高い。すっごい仏頂面だけど世話焼きだし、笑った顔が見てみたい。胸……は分からないけど、大きい…かも知れない」
「アンタより大きい子なんてなかなかいないでしょ…?てか何?まだ寝てないの?」
「僕…怖がられてたから最初から抱いて嫌われたくないかな……だんだんと仲良くなりたいから」
おや?おやおやおやおや?????
これは、ホントにホントに惚れてるパターンかしら。
大抵優ちゃんは遊んでその時さえ楽しければいいって位にしか考えてないのに、余計にその子気になるわね。
「まぁ、男なんだけどさ」
ひっくり返りかけた。男…?で優ちゃんより背が高くて…?怖がってんの…?思わず天を仰ぐ。
話を聞くと寮で同じ部屋になったらしい。なんか親から前もって渡されていた資料に心を奪われた(珍しい)らしく、更に部屋に訪ねてきた時に怖がられてちょっとしょげて(珍しい)その勢いで彼女と別れ、気分を変えるために風呂に入っていると(珍しい)、例の子が料理をしてくれて食べさせてくれたと。
「めっちゃ!!美味しかった!!!」
「良かったじゃない」
「今来てる服もその子が選んでくれたの。似合う?」
「見えないわよ」
服の裾でも捲ったような布の合わさる音が聞こえたが生憎これは電話だからねぇ。
珍しく浮かれているような彼の気分をもり下げるような事は言いたくないが、それでもコレは言っておかなくてはならない。
「アンタね。好きになるのもいいし、アンタのその性格と顔ならOKしてくれるとは思うけど。本当に好きなら遊びで終わるのはやめなさいね。相手の気持ちを考えて、大切になさい」
ずっと言いたかったのはこれだ。彼は"遊び"だろうと本気を演じる。もしかしたら彼は本気なのかもしれないがそれでも、手を離すのは一瞬なのだ。
相手がどれだけ傷つけられているのか、考えてあげてほしい。
「……分かってる」
本当だろうか。
「分かってるならいいのよ。また話あるなら聞いてあげるから、頑張りなさい?」
「うん」
彼は聞こえるか聞こえないかくらいの声で「ありがとう」と言って電話を切った。
ベッドに入ろうとしたまさにその時、充電していたスマホがブルブルと震えた。メールなら後で見ればいいかと思っていたものの、振動が長いからそれが電話だって気づいたの。
急いで確認した相手の名前は米田優平。まぁ、アタシの幼馴染というか、親同士の腐れ縁から発展したスーパー腐れ縁ね。綺麗な顔をしているくせにその中身はダメ人間を体現化したような彼は、あまりに見かねてアタシが部屋の掃除をしてしまっても、次の日にはグチャグチャ、なんてこともよくあるし。ほんと良くあんなんでモテるわね。
話がそれた。
「何なのよ、優ちゃん。アタシもう寝ようとしてたんだけど?!」
「俊、聞いて。あのね」
半分怒鳴るように電話に出たのに、彼はいつも以上に神妙に話しはじめた。優ちゃんはまぁ常識はほぼないけど、良識はほんのちょっぴり持っている人間だし。アタシが寝る時間も大体知ってるから普段はこの時間に掛けてこない。という事は何かあったのかしら。
「何?どうしたの?」
幾分口調を和らげて聞く。
1分位だんまりを続けた後、彼に珍しく極小さな声で呟いた。
「あのね………好きな人できたかも知れない」
「はぁ"?」
思わずドスが効いた声が出てしまった。イケナイイケナイ。
「アンタ、その前にも付き合ってた子いたでしょ?美蕾ちゃんだっけ?可愛いって言ってたじゃない」
「もう別れたよ。あんな奴、そもそも胸ばかり大きくて下品だし、親がくっつく様に根回ししてたみたいで気に喰わないし」
「知らないわよ」
まぁ優ちゃんの家庭のことはアタシもあまり気にいらないけど、それでも一応付き合うんだから律儀なのかもしれない。いや単に性欲の為かもだけど。
「で?次はどんな子なの?可愛い?今度はお胸小さい子なの?」
とりあえず話を聞いてやるアタシはホント良い幼馴染よねなんて思う。
「うーんとね、僕より背が高い。すっごい仏頂面だけど世話焼きだし、笑った顔が見てみたい。胸……は分からないけど、大きい…かも知れない」
「アンタより大きい子なんてなかなかいないでしょ…?てか何?まだ寝てないの?」
「僕…怖がられてたから最初から抱いて嫌われたくないかな……だんだんと仲良くなりたいから」
おや?おやおやおやおや?????
これは、ホントにホントに惚れてるパターンかしら。
大抵優ちゃんは遊んでその時さえ楽しければいいって位にしか考えてないのに、余計にその子気になるわね。
「まぁ、男なんだけどさ」
ひっくり返りかけた。男…?で優ちゃんより背が高くて…?怖がってんの…?思わず天を仰ぐ。
話を聞くと寮で同じ部屋になったらしい。なんか親から前もって渡されていた資料に心を奪われた(珍しい)らしく、更に部屋に訪ねてきた時に怖がられてちょっとしょげて(珍しい)その勢いで彼女と別れ、気分を変えるために風呂に入っていると(珍しい)、例の子が料理をしてくれて食べさせてくれたと。
「めっちゃ!!美味しかった!!!」
「良かったじゃない」
「今来てる服もその子が選んでくれたの。似合う?」
「見えないわよ」
服の裾でも捲ったような布の合わさる音が聞こえたが生憎これは電話だからねぇ。
珍しく浮かれているような彼の気分をもり下げるような事は言いたくないが、それでもコレは言っておかなくてはならない。
「アンタね。好きになるのもいいし、アンタのその性格と顔ならOKしてくれるとは思うけど。本当に好きなら遊びで終わるのはやめなさいね。相手の気持ちを考えて、大切になさい」
ずっと言いたかったのはこれだ。彼は"遊び"だろうと本気を演じる。もしかしたら彼は本気なのかもしれないがそれでも、手を離すのは一瞬なのだ。
相手がどれだけ傷つけられているのか、考えてあげてほしい。
「……分かってる」
本当だろうか。
「分かってるならいいのよ。また話あるなら聞いてあげるから、頑張りなさい?」
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彼は聞こえるか聞こえないかくらいの声で「ありがとう」と言って電話を切った。
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