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第1部 勇者と狼の王女
第21話 マリーの決意
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無事デミエルフの侵攻を防いだのに協力した町の戦士達は、黒狼族の城で一晩歓迎を受けた後、翌朝町に帰ってきた。
私達は、朝に来るであろうカタルダの者たちをごまかすためにもと、早々に町に帰り、静かに飛行魔法で屋上から家に戻った。
1Fのリビングのソファにしょんぼりと座っていたメーシェに事の次第を報告する。
ゲッツァが無事なこと、ただ、エルダーウオーリアーの部隊が全滅したことを告げると、メーシェはボロボロと涙をこぼしながらも、最期に魔神と戦って散れたことは戦士の本懐だったでしょうと前を向いた。
私も、エルダーウオーリアーの戦士達の中には、自分を世話してくれた者たちもいるので、本来であれば、もう会えない寂しさで胸がいっぱいになっていたことだろう…でも、今は自分が失敗してしまった不安で頭がいっぱいだ…ごめんなさい…エルダーウオーリアーの戦士達…。
くたくたになった旦那様と私がぐでっとソファに身体を預けていると、メーシェが色々と取り計らってくれて、家のことをやってくれたので助かった。
翌朝、宣言通りジョヴァンニと小太りの中年がやってきたが、魔神を撃破した女騎士のことを何かしらないか?という軽い尋問を玄関先で繰り広げただけで、私達はずっと家にいて何も知らないとシラを切り通した。
ジョヴァンニは第2の勇者の誕生か?と慌てた様子で、何処かへと走り去っていったが、もう一人の小太りの中年はこちらをいつまでも訝しげに見ていた。ちょっとごり押ししすぎただろうか。
ちなみに、リーヴ様は元々一つの国に所属しているわけではないらしく、なんでもそれどころか、ある帝国の姫様の処女を奪ったということで、指名手配されているらしい。リーヴ様がほとんど撃破したようなものという話も広がって、勇者はあの場にいなかったという話に信憑性が増したように思う。
さらに、翌日には、黒狼族の使者が町長の元へ訪れ…今後は、人間たちと積極的な交流…そして、国として同盟を結びたいと申し出たことで、事態は急速に事が進み。
その一週間後には、この私達が住むブレイブタウンが所属する国、旦那様が異世界から初めて降り立った国である、バフナル王国と、先祖の名前にちなみフェルナール王国と名付けられた黒狼族の国は、正式に国交を結び同盟を結ぶことになった。両者の首都には大使館が置かれることになり、今後、より一層人間と黒狼族は交流を深めることになるだろう。
私達のように、黒狼族と人間のカップルが数多く生まれるかもしれない。
だけど、そのことに異を唱えたのはカタルダ王国だ。誰の者でもないはずの大森林で一方的に国家を樹立させ、さらにはバフナル王国と同盟を結ぶということは、これら全てはバフナル王国の陰謀であり、侵略行為であると騒ぎ立てた。
事態はだんだんと面倒な方向に向かっている。それに対して、やはり森で引きこもっていたほうが楽だったのでは?と考える黒狼族の者も少数いたが、新たな脅威に対応できないかもしれない不安が、それらをかき消し、また、人間に助けられた恩を尊ぼうと、交流に障害が出ることはなかった。
フェルナール王国とバフナル王国の同盟の調印式には、招待状は届いたが、旦那様も私も騒がれることを嫌って、特に旦那様は政治利用されることを特に嫌って、辞退することにした。
私達が夜中に呼び出した忍び…ジュナというらしい女性から聞いた話によると、生き残ったデミエルフ達…つまりあの魔力をブーストする円筒の魔道具を使わずデーモン化しなかったデミエルフ達と、カタルダの国に残って出撃しなかった非戦闘員だったデミエルフ達は、総じてカタルダから武力を持って追い出された。
罪状は、勝手な他国への武力介入である。難民の暴走が原因であり、我々はむしろ被害者だという当初の想定通りの口上を述べ続けた。
これにより、銀狼族のように、デミエルフ達は次々と奴隷商に捕まっては売られて行き、それを免れた者たちも逃げる過程で世界へ散り散りになっていった。
噂では、私達にミスリル製の武具を提供したマグラニア王国が、積極的にデミエルフの難民を受け入れているらしい…。
何か、私達が誰かに手のひらで操られているようで気分が悪い…。
ちなみに、リーヴ様は黒狼族の城に入り浸っており、ジュナのことを口説き続けているそうだ。
ジュナも満更ではないようなのだけど、他にも女がいるんじゃないかと警戒している様子だったそうだ。
そして、今、私はいつものようにローズマイルでメーシェと一緒にお茶をしていた。
あれからも、頻繁に相談していたら、メーシェが呆れ果てたのだろうか?私達の家の隣に引っ越してきてくれた。
夫のゲッツァも一緒に来ており、バフナル王国の人達と絆を深めるためのプロジェクトの一環だという。
「メーシェ。私は、とても馬鹿なことをしてしまったわ」
どこか遠くを見なが憂い気にため息をつきながら話し始める私を、メイド服ではなく普通の黒いブラウスとスカートに身を包んだメーシェが、またですか…といった具合に話を聞いている。
「姫様…。いいですか、回数を重ねないと、そうそう気持ち良くはならないのですよ…人によってはいつまでもそうならない方もいらっしゃいます」
「メーシェ?一体何の話をしているの…?」
「おや?違いましたか」
「私ね…旦那様に呪いをかけてしまったかもしれないわ」
私は、魔神を倒した旦那様に、興奮の熱に浮かされながら口走ってしまったこと、それに対して旦那様が言ったことをメーシェに話した。
「ふむぅ。考えすぎというか…。うーん、その場合は仕方がない気もしますが…。勇者様もそれほど深い意味で言ったわけではないかもしれませんし…」
「いえ…。旦那様は勇者をやめたがっているのと同時に、続けるしかないとも思っていらしたんだわ…。揺れ動く心を…私の軽率な態度が…言葉が…背中を…押してしまったの…」
自分で言っていて情けなくなってきて、段々と涙がぼろぼろとこぼれていき、両手で顔を隠しながら声を殺して泣いてしまった。
周りの奥様がざわざと騒ぐ声が聞こえるが、触れてはいけないと思ったのだろう…いつもの井戸端会議のように話しかけてくる方はいなかった。むしろ、いなくてよかった。
「一体…これから私…どう接すればいいのかしら…」
私が泣いていると、聞き覚えの無い低い女の声で
「聖剣は勇者様が持っているデュランダルだけではないようですよ」
と聞こえてきたので、顔から手を離し前を見ると、いつの間にかメーシェの隣に青い髪で、前髪を長く左から右へ極端に分けていて右目が隠れている女の子が座っていた。歳は私と同じ18歳くらいだろうか?髪の色に合わせたのか、白と青を基調としたワンピースを着ていて、胸元が谷間がのぞけるくらい開いている。
「えっと、あなたは?」
「失礼。私はエウメネと申します。この町の有名人である勇者の奥様が、わんわん泣いてらっしゃるので、いけないとは思いつつ…ついつい話を盗み聞きしてしましました。申し訳ございません」
エウメネという女性が、深々と頭を下げてくる。いつの間にかメーシェの隣に座っていたかと思えば、土下座でもしようかくらいの勢いで礼儀正しく謝罪してくるその姿…なんだか、図々しいのかなんなのかよくわからない。
「聖剣がまだあるってどういうこと?」
私は、聖剣が複数あるという話が、私の泣いている理由に何の関係があるのかさっぱりわからなくて、聞き返した。
「ですから。あなたが勇者になればいいのでは?話は聞きましたよ。戦闘経験が無ければ訓練も受けたことがないお姫様が、結婚式で勇者様と互角の戦いを繰り広げたそうですね。それだけの力があるなら、経験を積んで、色々と訓練もされれば…勇者になるのも夢ではないのでは?」
まくしたてるようにそういうエウメネの言葉に、私は目からうろこが落ちる想いだった。
「そうか…そうですよね…!なんでこんな簡単なことに気が付かなかったのだろう!!そうよ!私が勇者になって、旦那様の重荷を受け継げばいいんだわ…!ありがとう!エウメネ!教えてくれて!」
メーシェがいささか訝し気にエウメネを見ている。私もエウメネを信頼するわけではない。あとで、どういった人物か調べさせる必要があるだろう。
しかし、エウメネがどうであれ、このアイディアは素晴らしいと思った。
なんで、今まで気が付かなかったのだろうか。
エラは、勇者になるには色々と適性が必要と言っていた、そして次世代の勇者も少しづつではあるが育ち始めていると…。
適性が一体どんなものなのかはわからない。だけど、勇者よりまだ弱いとはいえ、しっかり経験と訓練を積めば、同等以上になりえる私が目指して何が悪いのだろうか?
その結果、旦那様から勇者という重荷をひき取れれば…。
「そうよ…。まだ恋か愛かもわからない…この気持ち…。旦那様より強くなって、私が勇者となれば…真の対等の関係になれる…そうすれば…きっと、この気持ちは本当の愛になるんだわ!!」
私はばっと椅子から立ち上がって、嬉しい気持ちを抑えるかのように両手で頬を抑える。
尻尾は、どんなに抑えようとしても、激しく左右に振られてしまう。
旦那様に知られれば、気を使われて阻止されてしまうだろう。
これは、女同士の秘密にして、こっそり…こーっそりと探すのだ…勇者になる方法を…。
それには、まず聖剣を手に入れる必要がある。
旦那様とは、これからどんどん世界を冒険する約束を既にしている。
世界を冒険していれば、聖剣のありかを知る機会もあるだろう…。
そうだ…それが良い…。
勇者となった私が、元勇者となった旦那様と子供をつくる…。
その子供は、もしかしたら神話から数えても唯一無二の最強の存在になるかもしれない!
あぁ…それは…とてもとても素敵なことだ…。
考えただけで…。いや、今はやめよう。はしたない。
「姫様…愛とはそういうことではないと思いますが…」
メーシェが複雑な表情でそう言ったが、今の私にはよく聞こえなかった。
ふふふ…。私が勇者となるその時まで、いや、なったその後も…旦那様は私が誠心誠意…甘く…甘く…その心を溶かしてあげましょう…。
そして、私が勇者になった時、守るんだ…旦那様を…その子供を…私自身の力で…。
私達は、朝に来るであろうカタルダの者たちをごまかすためにもと、早々に町に帰り、静かに飛行魔法で屋上から家に戻った。
1Fのリビングのソファにしょんぼりと座っていたメーシェに事の次第を報告する。
ゲッツァが無事なこと、ただ、エルダーウオーリアーの部隊が全滅したことを告げると、メーシェはボロボロと涙をこぼしながらも、最期に魔神と戦って散れたことは戦士の本懐だったでしょうと前を向いた。
私も、エルダーウオーリアーの戦士達の中には、自分を世話してくれた者たちもいるので、本来であれば、もう会えない寂しさで胸がいっぱいになっていたことだろう…でも、今は自分が失敗してしまった不安で頭がいっぱいだ…ごめんなさい…エルダーウオーリアーの戦士達…。
くたくたになった旦那様と私がぐでっとソファに身体を預けていると、メーシェが色々と取り計らってくれて、家のことをやってくれたので助かった。
翌朝、宣言通りジョヴァンニと小太りの中年がやってきたが、魔神を撃破した女騎士のことを何かしらないか?という軽い尋問を玄関先で繰り広げただけで、私達はずっと家にいて何も知らないとシラを切り通した。
ジョヴァンニは第2の勇者の誕生か?と慌てた様子で、何処かへと走り去っていったが、もう一人の小太りの中年はこちらをいつまでも訝しげに見ていた。ちょっとごり押ししすぎただろうか。
ちなみに、リーヴ様は元々一つの国に所属しているわけではないらしく、なんでもそれどころか、ある帝国の姫様の処女を奪ったということで、指名手配されているらしい。リーヴ様がほとんど撃破したようなものという話も広がって、勇者はあの場にいなかったという話に信憑性が増したように思う。
さらに、翌日には、黒狼族の使者が町長の元へ訪れ…今後は、人間たちと積極的な交流…そして、国として同盟を結びたいと申し出たことで、事態は急速に事が進み。
その一週間後には、この私達が住むブレイブタウンが所属する国、旦那様が異世界から初めて降り立った国である、バフナル王国と、先祖の名前にちなみフェルナール王国と名付けられた黒狼族の国は、正式に国交を結び同盟を結ぶことになった。両者の首都には大使館が置かれることになり、今後、より一層人間と黒狼族は交流を深めることになるだろう。
私達のように、黒狼族と人間のカップルが数多く生まれるかもしれない。
だけど、そのことに異を唱えたのはカタルダ王国だ。誰の者でもないはずの大森林で一方的に国家を樹立させ、さらにはバフナル王国と同盟を結ぶということは、これら全てはバフナル王国の陰謀であり、侵略行為であると騒ぎ立てた。
事態はだんだんと面倒な方向に向かっている。それに対して、やはり森で引きこもっていたほうが楽だったのでは?と考える黒狼族の者も少数いたが、新たな脅威に対応できないかもしれない不安が、それらをかき消し、また、人間に助けられた恩を尊ぼうと、交流に障害が出ることはなかった。
フェルナール王国とバフナル王国の同盟の調印式には、招待状は届いたが、旦那様も私も騒がれることを嫌って、特に旦那様は政治利用されることを特に嫌って、辞退することにした。
私達が夜中に呼び出した忍び…ジュナというらしい女性から聞いた話によると、生き残ったデミエルフ達…つまりあの魔力をブーストする円筒の魔道具を使わずデーモン化しなかったデミエルフ達と、カタルダの国に残って出撃しなかった非戦闘員だったデミエルフ達は、総じてカタルダから武力を持って追い出された。
罪状は、勝手な他国への武力介入である。難民の暴走が原因であり、我々はむしろ被害者だという当初の想定通りの口上を述べ続けた。
これにより、銀狼族のように、デミエルフ達は次々と奴隷商に捕まっては売られて行き、それを免れた者たちも逃げる過程で世界へ散り散りになっていった。
噂では、私達にミスリル製の武具を提供したマグラニア王国が、積極的にデミエルフの難民を受け入れているらしい…。
何か、私達が誰かに手のひらで操られているようで気分が悪い…。
ちなみに、リーヴ様は黒狼族の城に入り浸っており、ジュナのことを口説き続けているそうだ。
ジュナも満更ではないようなのだけど、他にも女がいるんじゃないかと警戒している様子だったそうだ。
そして、今、私はいつものようにローズマイルでメーシェと一緒にお茶をしていた。
あれからも、頻繁に相談していたら、メーシェが呆れ果てたのだろうか?私達の家の隣に引っ越してきてくれた。
夫のゲッツァも一緒に来ており、バフナル王国の人達と絆を深めるためのプロジェクトの一環だという。
「メーシェ。私は、とても馬鹿なことをしてしまったわ」
どこか遠くを見なが憂い気にため息をつきながら話し始める私を、メイド服ではなく普通の黒いブラウスとスカートに身を包んだメーシェが、またですか…といった具合に話を聞いている。
「姫様…。いいですか、回数を重ねないと、そうそう気持ち良くはならないのですよ…人によってはいつまでもそうならない方もいらっしゃいます」
「メーシェ?一体何の話をしているの…?」
「おや?違いましたか」
「私ね…旦那様に呪いをかけてしまったかもしれないわ」
私は、魔神を倒した旦那様に、興奮の熱に浮かされながら口走ってしまったこと、それに対して旦那様が言ったことをメーシェに話した。
「ふむぅ。考えすぎというか…。うーん、その場合は仕方がない気もしますが…。勇者様もそれほど深い意味で言ったわけではないかもしれませんし…」
「いえ…。旦那様は勇者をやめたがっているのと同時に、続けるしかないとも思っていらしたんだわ…。揺れ動く心を…私の軽率な態度が…言葉が…背中を…押してしまったの…」
自分で言っていて情けなくなってきて、段々と涙がぼろぼろとこぼれていき、両手で顔を隠しながら声を殺して泣いてしまった。
周りの奥様がざわざと騒ぐ声が聞こえるが、触れてはいけないと思ったのだろう…いつもの井戸端会議のように話しかけてくる方はいなかった。むしろ、いなくてよかった。
「一体…これから私…どう接すればいいのかしら…」
私が泣いていると、聞き覚えの無い低い女の声で
「聖剣は勇者様が持っているデュランダルだけではないようですよ」
と聞こえてきたので、顔から手を離し前を見ると、いつの間にかメーシェの隣に青い髪で、前髪を長く左から右へ極端に分けていて右目が隠れている女の子が座っていた。歳は私と同じ18歳くらいだろうか?髪の色に合わせたのか、白と青を基調としたワンピースを着ていて、胸元が谷間がのぞけるくらい開いている。
「えっと、あなたは?」
「失礼。私はエウメネと申します。この町の有名人である勇者の奥様が、わんわん泣いてらっしゃるので、いけないとは思いつつ…ついつい話を盗み聞きしてしましました。申し訳ございません」
エウメネという女性が、深々と頭を下げてくる。いつの間にかメーシェの隣に座っていたかと思えば、土下座でもしようかくらいの勢いで礼儀正しく謝罪してくるその姿…なんだか、図々しいのかなんなのかよくわからない。
「聖剣がまだあるってどういうこと?」
私は、聖剣が複数あるという話が、私の泣いている理由に何の関係があるのかさっぱりわからなくて、聞き返した。
「ですから。あなたが勇者になればいいのでは?話は聞きましたよ。戦闘経験が無ければ訓練も受けたことがないお姫様が、結婚式で勇者様と互角の戦いを繰り広げたそうですね。それだけの力があるなら、経験を積んで、色々と訓練もされれば…勇者になるのも夢ではないのでは?」
まくしたてるようにそういうエウメネの言葉に、私は目からうろこが落ちる想いだった。
「そうか…そうですよね…!なんでこんな簡単なことに気が付かなかったのだろう!!そうよ!私が勇者になって、旦那様の重荷を受け継げばいいんだわ…!ありがとう!エウメネ!教えてくれて!」
メーシェがいささか訝し気にエウメネを見ている。私もエウメネを信頼するわけではない。あとで、どういった人物か調べさせる必要があるだろう。
しかし、エウメネがどうであれ、このアイディアは素晴らしいと思った。
なんで、今まで気が付かなかったのだろうか。
エラは、勇者になるには色々と適性が必要と言っていた、そして次世代の勇者も少しづつではあるが育ち始めていると…。
適性が一体どんなものなのかはわからない。だけど、勇者よりまだ弱いとはいえ、しっかり経験と訓練を積めば、同等以上になりえる私が目指して何が悪いのだろうか?
その結果、旦那様から勇者という重荷をひき取れれば…。
「そうよ…。まだ恋か愛かもわからない…この気持ち…。旦那様より強くなって、私が勇者となれば…真の対等の関係になれる…そうすれば…きっと、この気持ちは本当の愛になるんだわ!!」
私はばっと椅子から立ち上がって、嬉しい気持ちを抑えるかのように両手で頬を抑える。
尻尾は、どんなに抑えようとしても、激しく左右に振られてしまう。
旦那様に知られれば、気を使われて阻止されてしまうだろう。
これは、女同士の秘密にして、こっそり…こーっそりと探すのだ…勇者になる方法を…。
それには、まず聖剣を手に入れる必要がある。
旦那様とは、これからどんどん世界を冒険する約束を既にしている。
世界を冒険していれば、聖剣のありかを知る機会もあるだろう…。
そうだ…それが良い…。
勇者となった私が、元勇者となった旦那様と子供をつくる…。
その子供は、もしかしたら神話から数えても唯一無二の最強の存在になるかもしれない!
あぁ…それは…とてもとても素敵なことだ…。
考えただけで…。いや、今はやめよう。はしたない。
「姫様…愛とはそういうことではないと思いますが…」
メーシェが複雑な表情でそう言ったが、今の私にはよく聞こえなかった。
ふふふ…。私が勇者となるその時まで、いや、なったその後も…旦那様は私が誠心誠意…甘く…甘く…その心を溶かしてあげましょう…。
そして、私が勇者になった時、守るんだ…旦那様を…その子供を…私自身の力で…。
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