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第2章 最後の良心
第13話 嵐の前の…。
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①
タカクラデパート3Fの男子トイレで、細身で神経質そうな男、宮本がどこか千鶴に似た女を組み敷いて犯している。
「千鶴ちゃん!千鶴ちゃん!ちづるちゃん!」
「嫌ぁああ!痛い!痛いって!やめてよ!気持ち悪い!気持ち悪いってぇ!」
「うるさいっ!」
宮本が女の鼻を乱暴に殴打すると、女は呻きながら両手で鼻を抑えながら涙と鼻血を流した。
「千鶴じゃないのに…あたし千鶴じゃないのに…なんで?こんな目に合うの?いやだぁ…」
「はぁはぁはぁ…!千鶴ちゃん!絶対僕が助けてあげるからね…!千鶴ちゃん…!」
額から流れる汗がぽたぽたと女の顔にかかるたび、恨めしそうに気持ち悪そうに女が宮本を睨んだ。
「なんだその目は!」
宮本が更に女の今度はお腹を殴打する。
「うぐっがはぁ…。あ、あんたね…。千鶴のどこがいいのよ…あ、あんな誰にでも媚を売って…誰にでも股を開く女…。あんた何を言われたか知らないけどね…あんたに言うようなことはみんなに言ってんだよ!あんたが特別じゃないの!誰があんたなんか好きになるか!」
宮本がの目がかっと見開いて、動きをぴたりと止めた。
宮本の無感情な表情に女は小さく「ひっ」と悲鳴を上げる。
「そんなことは…わかってるんだよ。でも、千鶴ちゃんはそうせざるを得なかったんだ…だから…だから僕が救ってあげるんだよ。そうしたら…僕にも振り向くかもしれないだろ?」
暗い暗い水の底から何かが湧き上がってくるような冷たく低いその声に女は身の毛もよだつ思いをし、じんわりと冷や汗をかく感覚が鮮明に感じられた。
「仲間を…みんなをゾンビに襲わせたのよ…?あたしの友達もお母さんも食べられちゃったのよ?それを助けるというの?」
「うん。千鶴ちゃんは助ける」
「ばかがぁ!いかれてんのかよぉ!?あたしにのっかっていたぶって!それで、人殺しを助ける?ふざけんなぁああ!」
女が宮本を押しのけようと必死に両手で胸を叩いたり、体をくねらせたりするが、ひ弱な印象とは裏腹に岩のように宮本の体は動かなかった。
暴れる女を無表情に見つめていた宮本は、左手で暴れる女の左手を地面に押さえつけ、右手で首を絞め始めた。
「くっ…がっ…はぁ…うっ…」
女の顔が真っ赤に染まる。
「うるさいって言ったじゃん」
「死ね…。…おかあさん…」
女は最期にそうつぶやくと一気に脱力し尿と便で地面を汚していく。
虚ろになった瞳は涙を一杯にためながら、遥か虚空を見つめていた。
「…あっ…」
その様子を見て、宮本は今まで感じたこともない快感が頭を支配し、女の中にあった自分のモノはその全てを白く吐き出した。
急に頭が冴えていく感覚と共に、動かなくなった女に死体となる千鶴のイメージを重ねる。
「ひっ!…ひゃあああああああああああ!」
宮本は悲鳴を上げながら女から飛びのき、地面にへたりこんだ。
「死んだ…死んだよぉ!なんで死んじゃったんだ!僕も人殺しになっちゃったの?やだよぉ!怖いよぉ!…ちづるぅうう!どこだー!?ちづるううう!僕人殺しになっちゃったよぉ!」
宮本は慌てて崩れた自分の衣類を整えると飛び出すようにその場を走り去り、非常階段から2Fフロアへと駆け降りた。
「怖いよぉ…怖いよぉ…千鶴ぅ…。ちづるぅうう…。…みぃーつけたっ」
ブツブツつぶやきながら降りた先のフロアの非情ドアを開けると、宮本は念願の千鶴の姿をその目に捉えた。
だが、異物がいる。愛とか言う女と知らない男が千鶴のそばにいて、多田と対峙している。
「なんだよ…あいつ…あいつも千鶴を犯したんだろぉ…!殺してやる…助けなきゃ…殺してやる…」
宮本は背後から店舗と店舗の死角をつきながら千鶴へと近づいていく。
②
タカクラデパートの2F。広いフロアの真ん中は今は動かないエスカレータが配置されており、その周りを所狭しと様々な服飾ブランドが店舗を構えていた跡地がある。
そして、1Fからエスカレータを登ってきた俺たちの目の前距離にして20mも離れていないところに多田という男がいた。
「すいません。突然驚かせて申し訳ございません。私達はあなた方に危害を加えようとは思っていません。まずは、お互いを知りませんか?」
俺の目の前で甘いマスクをしたイケメンが大声を張り上げている。そうはいっても才能だろうか?特段威圧感は感じず、むしろ心地よさを感じる優しい声色だった。きっと声優になったらブレイクするんじゃないかと思うほど。
「千鶴。知ってるか?」
俺は背後にいた千鶴に小声で話しかけた。
「天国のリーダー的存在っす。びっくりするくらい献身的で悪いリーダーじゃなかったっす」
「そうか…。話をしてみるが敵対してくるようなら最悪殺すしかないぞ」
「わかってるっすけど…私がこっちにいる限り敵対しないのは難しそうな気がするっすねぇ」
「あいつは、お前を知っているのか?」
「何回か話したことがあるくらいっすけど。でもまぁ、私がゾンビけしかけたのは仲間から聞いて知ってるでしょうね」
「あいつは、千鶴を救ってくれなかったのか?」
「救ってくれたらこんなことにはなってないっすよ…。そもそも私がそういうことになってるってのも知らないんじゃないっすかね」
ふむ…。天国のリーダーなら生き残りを率いていて、今もこうしてる間も物陰から仲間がこちらに狙いを定めているかもしれない。対話を試みるしかないか。
「多田さんとおっしゃいましたか。俺は…」
可能な限り爽やかな笑顔と抑揚をつけて話しかけた途中で男の声がわりこんだ。
「おぉぉ!イかれたネクロフィリア野郎じゃねーかぁ!生きていたのか!」
よく知らない服飾ブランドの店舗から平野が大声を張り上げながら出てきた。
「平野か。お前もよく生きていたな。イカれたネクロフィリア野郎?それは、お前もだろ。お前の場合は、敵の捕虜の四肢を切断して遊んでたよな。ダルマになった女捕虜を飾って眺めては犯してたじゃねーか」
「おいおい。ここでそれをバラすなよぉ。恥ずかしいじゃねぇかぁ」
「ひっ」
後ろで千鶴の悲鳴が聞こえる。
「平野さん…そんなの初めて聞きましたけど…」
「いやねぇ。俺って敵は容赦しない主義だからよぉ!いやぁ、たまるものはたまるしよぉ。暴れられたり逃げられたら面倒じゃんかぁ」
平野があっけらかんと話している。隠していたというより話す必要がなかったから話さなかっただけとでも言いたげだ。
「お前の秘密基地はダルマになった女ゾンビだらけだったな。生きた人間は四肢を切断すると腐っちまう時があるが、ゾンビならその心配がないから長く楽しむならゾンビをコレクションした方が良い…そう言ってたじゃねーか」
「おまっ…そこまで言う?」
「俺は平野よりはイカれてないと思うよ」
「いやいや、お前はゾンビにしか勃たたねーだろ!俺は生きた人間もゾンビもどっちもいけるの!」
「なんの張り合いですか…」
多田が呆れた顔でつぶやいた。
「おっとすまねぇ。思い出話は今はいいんだわ!あとでしようぜ!今はよぉ!そこの千鶴ちゃんを渡してくれんかねぇ?ちょっと色々聞きたいんだよなぁ」
平野が鋭い視線を千鶴に送りながら叫んだ。
「断ると言ったら?」
「うーん、うちのリーダーはよぉ。対話以外はなかなか許してくれないんだよなぁ。だからまずは話し合い…そう、話し合いの場に強制的に参加してもらう…」
平野がおどけていた空気を一変させ、獲物を狙うハンターのような気迫をみせる。千鶴にむけたより殺気をこめた鋭い視線を俺にたたきつけてくる。
困った。正直、平野は手ごわい。
平野に兵役の経験はなかったはずだが、一緒に戦い、その姿を見ていた。
驚異的にも思えるほど戦闘のセンスが高く、いつも率先して前に出て敵陣につっこみ、敵を切り刻んでいた。
俺が本気の時はククリナイフを愛用しているのも、平野からどんな下手くそでもスパスパ斬れるからと勧められたからだ。
「天国から逃げてきて大変だったでしょう?どれくらい生き残ってるんだい?」
俺は多田により爽やかに世間話をするように話しかけた。
「そうですね…今は僕たちを合わせて10人です。ここで補給させていただきました」
10人か…。
平野がアチャーと顔を手で覆って大げさにがっかりしている。
どうも多田は本当にこちらと争うつもりなく、対話で解決しようとしているようだ。
「ここに来るまでの間、ゾンビが全然いなかった。あれはあんた達が掃除してくれたのかな?」
「え?いえ?僕たちが来た時既にゾンビはいませんでした。てっきり共食いで全滅したのかとほっとしていましたが…」
多田のセリフを聞いて嫌な予感がした。あの屈強な男ゾンビが餌を求めてここにきて食べつくしたのではないかと言う予感が…さらに言えば、そのままここを去ってくれていればいいのだが、最悪の場合この近く、下手したらこの建物内にいてもおかしくないではないか?ということだ。
確かにゾンビは減っていた。しかし、タカクラデパート周辺は元々人口も多かったことからここ最近、ふーこと近くを通った時もまだまだたくさんいたはずだ。
こんなにも全く出会わないなんてことはないはずだ。
首筋をひやりとしたものが流れていく。
「あぁん?なんだお前?なんか知ってるのか?」
「ちょっと嫌な予感がしててな」
「おいおい。お前のは当たるから嫌なんだよ。どうしたぁ?言ってみろやぁ…あん?宮本?」
「きゃあああああああああああああ!!!」
背後から突然千鶴の大きな悲鳴が聞こえ俺はびくっとしながら振り返った。
タカクラデパート3Fの男子トイレで、細身で神経質そうな男、宮本がどこか千鶴に似た女を組み敷いて犯している。
「千鶴ちゃん!千鶴ちゃん!ちづるちゃん!」
「嫌ぁああ!痛い!痛いって!やめてよ!気持ち悪い!気持ち悪いってぇ!」
「うるさいっ!」
宮本が女の鼻を乱暴に殴打すると、女は呻きながら両手で鼻を抑えながら涙と鼻血を流した。
「千鶴じゃないのに…あたし千鶴じゃないのに…なんで?こんな目に合うの?いやだぁ…」
「はぁはぁはぁ…!千鶴ちゃん!絶対僕が助けてあげるからね…!千鶴ちゃん…!」
額から流れる汗がぽたぽたと女の顔にかかるたび、恨めしそうに気持ち悪そうに女が宮本を睨んだ。
「なんだその目は!」
宮本が更に女の今度はお腹を殴打する。
「うぐっがはぁ…。あ、あんたね…。千鶴のどこがいいのよ…あ、あんな誰にでも媚を売って…誰にでも股を開く女…。あんた何を言われたか知らないけどね…あんたに言うようなことはみんなに言ってんだよ!あんたが特別じゃないの!誰があんたなんか好きになるか!」
宮本がの目がかっと見開いて、動きをぴたりと止めた。
宮本の無感情な表情に女は小さく「ひっ」と悲鳴を上げる。
「そんなことは…わかってるんだよ。でも、千鶴ちゃんはそうせざるを得なかったんだ…だから…だから僕が救ってあげるんだよ。そうしたら…僕にも振り向くかもしれないだろ?」
暗い暗い水の底から何かが湧き上がってくるような冷たく低いその声に女は身の毛もよだつ思いをし、じんわりと冷や汗をかく感覚が鮮明に感じられた。
「仲間を…みんなをゾンビに襲わせたのよ…?あたしの友達もお母さんも食べられちゃったのよ?それを助けるというの?」
「うん。千鶴ちゃんは助ける」
「ばかがぁ!いかれてんのかよぉ!?あたしにのっかっていたぶって!それで、人殺しを助ける?ふざけんなぁああ!」
女が宮本を押しのけようと必死に両手で胸を叩いたり、体をくねらせたりするが、ひ弱な印象とは裏腹に岩のように宮本の体は動かなかった。
暴れる女を無表情に見つめていた宮本は、左手で暴れる女の左手を地面に押さえつけ、右手で首を絞め始めた。
「くっ…がっ…はぁ…うっ…」
女の顔が真っ赤に染まる。
「うるさいって言ったじゃん」
「死ね…。…おかあさん…」
女は最期にそうつぶやくと一気に脱力し尿と便で地面を汚していく。
虚ろになった瞳は涙を一杯にためながら、遥か虚空を見つめていた。
「…あっ…」
その様子を見て、宮本は今まで感じたこともない快感が頭を支配し、女の中にあった自分のモノはその全てを白く吐き出した。
急に頭が冴えていく感覚と共に、動かなくなった女に死体となる千鶴のイメージを重ねる。
「ひっ!…ひゃあああああああああああ!」
宮本は悲鳴を上げながら女から飛びのき、地面にへたりこんだ。
「死んだ…死んだよぉ!なんで死んじゃったんだ!僕も人殺しになっちゃったの?やだよぉ!怖いよぉ!…ちづるぅうう!どこだー!?ちづるううう!僕人殺しになっちゃったよぉ!」
宮本は慌てて崩れた自分の衣類を整えると飛び出すようにその場を走り去り、非常階段から2Fフロアへと駆け降りた。
「怖いよぉ…怖いよぉ…千鶴ぅ…。ちづるぅうう…。…みぃーつけたっ」
ブツブツつぶやきながら降りた先のフロアの非情ドアを開けると、宮本は念願の千鶴の姿をその目に捉えた。
だが、異物がいる。愛とか言う女と知らない男が千鶴のそばにいて、多田と対峙している。
「なんだよ…あいつ…あいつも千鶴を犯したんだろぉ…!殺してやる…助けなきゃ…殺してやる…」
宮本は背後から店舗と店舗の死角をつきながら千鶴へと近づいていく。
②
タカクラデパートの2F。広いフロアの真ん中は今は動かないエスカレータが配置されており、その周りを所狭しと様々な服飾ブランドが店舗を構えていた跡地がある。
そして、1Fからエスカレータを登ってきた俺たちの目の前距離にして20mも離れていないところに多田という男がいた。
「すいません。突然驚かせて申し訳ございません。私達はあなた方に危害を加えようとは思っていません。まずは、お互いを知りませんか?」
俺の目の前で甘いマスクをしたイケメンが大声を張り上げている。そうはいっても才能だろうか?特段威圧感は感じず、むしろ心地よさを感じる優しい声色だった。きっと声優になったらブレイクするんじゃないかと思うほど。
「千鶴。知ってるか?」
俺は背後にいた千鶴に小声で話しかけた。
「天国のリーダー的存在っす。びっくりするくらい献身的で悪いリーダーじゃなかったっす」
「そうか…。話をしてみるが敵対してくるようなら最悪殺すしかないぞ」
「わかってるっすけど…私がこっちにいる限り敵対しないのは難しそうな気がするっすねぇ」
「あいつは、お前を知っているのか?」
「何回か話したことがあるくらいっすけど。でもまぁ、私がゾンビけしかけたのは仲間から聞いて知ってるでしょうね」
「あいつは、千鶴を救ってくれなかったのか?」
「救ってくれたらこんなことにはなってないっすよ…。そもそも私がそういうことになってるってのも知らないんじゃないっすかね」
ふむ…。天国のリーダーなら生き残りを率いていて、今もこうしてる間も物陰から仲間がこちらに狙いを定めているかもしれない。対話を試みるしかないか。
「多田さんとおっしゃいましたか。俺は…」
可能な限り爽やかな笑顔と抑揚をつけて話しかけた途中で男の声がわりこんだ。
「おぉぉ!イかれたネクロフィリア野郎じゃねーかぁ!生きていたのか!」
よく知らない服飾ブランドの店舗から平野が大声を張り上げながら出てきた。
「平野か。お前もよく生きていたな。イカれたネクロフィリア野郎?それは、お前もだろ。お前の場合は、敵の捕虜の四肢を切断して遊んでたよな。ダルマになった女捕虜を飾って眺めては犯してたじゃねーか」
「おいおい。ここでそれをバラすなよぉ。恥ずかしいじゃねぇかぁ」
「ひっ」
後ろで千鶴の悲鳴が聞こえる。
「平野さん…そんなの初めて聞きましたけど…」
「いやねぇ。俺って敵は容赦しない主義だからよぉ!いやぁ、たまるものはたまるしよぉ。暴れられたり逃げられたら面倒じゃんかぁ」
平野があっけらかんと話している。隠していたというより話す必要がなかったから話さなかっただけとでも言いたげだ。
「お前の秘密基地はダルマになった女ゾンビだらけだったな。生きた人間は四肢を切断すると腐っちまう時があるが、ゾンビならその心配がないから長く楽しむならゾンビをコレクションした方が良い…そう言ってたじゃねーか」
「おまっ…そこまで言う?」
「俺は平野よりはイカれてないと思うよ」
「いやいや、お前はゾンビにしか勃たたねーだろ!俺は生きた人間もゾンビもどっちもいけるの!」
「なんの張り合いですか…」
多田が呆れた顔でつぶやいた。
「おっとすまねぇ。思い出話は今はいいんだわ!あとでしようぜ!今はよぉ!そこの千鶴ちゃんを渡してくれんかねぇ?ちょっと色々聞きたいんだよなぁ」
平野が鋭い視線を千鶴に送りながら叫んだ。
「断ると言ったら?」
「うーん、うちのリーダーはよぉ。対話以外はなかなか許してくれないんだよなぁ。だからまずは話し合い…そう、話し合いの場に強制的に参加してもらう…」
平野がおどけていた空気を一変させ、獲物を狙うハンターのような気迫をみせる。千鶴にむけたより殺気をこめた鋭い視線を俺にたたきつけてくる。
困った。正直、平野は手ごわい。
平野に兵役の経験はなかったはずだが、一緒に戦い、その姿を見ていた。
驚異的にも思えるほど戦闘のセンスが高く、いつも率先して前に出て敵陣につっこみ、敵を切り刻んでいた。
俺が本気の時はククリナイフを愛用しているのも、平野からどんな下手くそでもスパスパ斬れるからと勧められたからだ。
「天国から逃げてきて大変だったでしょう?どれくらい生き残ってるんだい?」
俺は多田により爽やかに世間話をするように話しかけた。
「そうですね…今は僕たちを合わせて10人です。ここで補給させていただきました」
10人か…。
平野がアチャーと顔を手で覆って大げさにがっかりしている。
どうも多田は本当にこちらと争うつもりなく、対話で解決しようとしているようだ。
「ここに来るまでの間、ゾンビが全然いなかった。あれはあんた達が掃除してくれたのかな?」
「え?いえ?僕たちが来た時既にゾンビはいませんでした。てっきり共食いで全滅したのかとほっとしていましたが…」
多田のセリフを聞いて嫌な予感がした。あの屈強な男ゾンビが餌を求めてここにきて食べつくしたのではないかと言う予感が…さらに言えば、そのままここを去ってくれていればいいのだが、最悪の場合この近く、下手したらこの建物内にいてもおかしくないではないか?ということだ。
確かにゾンビは減っていた。しかし、タカクラデパート周辺は元々人口も多かったことからここ最近、ふーこと近くを通った時もまだまだたくさんいたはずだ。
こんなにも全く出会わないなんてことはないはずだ。
首筋をひやりとしたものが流れていく。
「あぁん?なんだお前?なんか知ってるのか?」
「ちょっと嫌な予感がしててな」
「おいおい。お前のは当たるから嫌なんだよ。どうしたぁ?言ってみろやぁ…あん?宮本?」
「きゃあああああああああああああ!!!」
背後から突然千鶴の大きな悲鳴が聞こえ俺はびくっとしながら振り返った。
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