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第14話 ソロモン72の悪魔
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◇
「ふぁあ...寝不足だぁ...」
「...あんた、たくさん寝てるでしょ?」
「...いやぁ...昨日はいろいろあってなぁ...」
「あら、もしかしてアインとお楽しみでもしてたのかしら?」
「し、してないです...//だ、誰かと...そういうことしてたんですか...?」
「いや、してないから」
早朝に全員を集めたのだった。
理由は一つである。
昨日、あったことを伝えるのだった。
「実は昨日、この城にボヘミア国の人間が侵入しようとしてな」
「...」「...」「...」と、全員が押し黙る。
しかし、ナーベがその沈黙を破り、話始める。
「...けど、こうしてここに無事にここにいるということは...問題はなかったと考えてよいのかしら?」
「その通り。撃退したからな」
「...誰が撃退したんですか?」
「まぁ...俺だな。てことでそろそろ俺と...そしてセバちゃんについて話しておこうと思ってな。ひとまず俺についてだが...巷で噂の【X】は俺だ」
「...は」「え?」という二人と知っていたかのように無反応なナーベ。
いや、ナーベは知っているはずだ。
俺の正体は明かしていないが、あの【X】の噂。
左で炎呪があると...それをナーベは知っているからな。
しかしそうなると...。
「...待ちなさいよ」と、震えた声で言うのはリベルだった。
「リベルの心配していることなら問題ない。知ってるだろ?もう炎呪は治った」と、綺麗な左腕を見せる。
けど、それは綺麗に見えるように魔法で繕っているだけだ。
「だとしても...よ。ダンジョンって...あんな危険なダンジョンなんて...私のために...命を懸けたっていうの?」
「違うって。あの時も言ったろ?俺が【業火の龍】に挑んだのは俺の散財のせいだ。リベルのことがなくてもいずれはそうなっていた」
「...なんで黙ってたのよ」
「それは無用な心配をだな...」
「...」と、涙を貯めて俯くリベル。
「...ナーベさんには話していたんですか?」と、今度はアインが呟く。
「いや、話してはいない。バレただけだ」
「体調不良で...寝込んでいたのはそういうことですか?」
「...まぁな」
「...そういう時こそ...私を...頼ってくれればいいじゃないですか...?」
「...その通りだな。ぐーの音も出ない。だから、今後はそういうのはなしにしようと思って...話した」
「...」「...」
「...黙っていて...すまない」と、頭を下げた。
「...別にあんたのことを責めてない...。何も知らなかった自分が...情けないだけだから」
「...私も同じです」
そんな悲しい顔をしてほしくなかったから。
もう...そんな顔を見たくないから...。黙っていたんだ。
あのゲーム内でさんざん見た...絶望と悲哀と屈辱と後悔の表情...。
「...」
「おぼっちゃまはずっと奥様達のことを最優先で考えてきました」と、セバちゃんが話始める。
「いつもどうしたら奥様達が笑ってくれるか。この幸せな時間を守れるか...そればかりを考えているんです」
「ちょ!!//」と、止めようとする俺を静止するようにそのまま続ける。
「だから、本当はこの話もしないつもりだったと思います。それでもここで話す決断をしたおぼっちゃまのためにもどうか、『本当あんたはバカなんだから』って、『私のことを大切にしてくれてありがとうございます...』と笑ってそう言っていただけないでしょうか?」
「...セバちゃん」
「...そうね。わかっていた。私のことを...私の家族のことを...助けたあんたのことだもんね。知っていた。あんたはどうしようもないほどの...お人好しなんだから...。本当あんたはバカなんだから」と、涙を浮かべながらそう笑うのだった。
「...そうですね。知ってました...。本当...そういうところも...大好きです。私のこと...大切にしてくれてありがとうございます」と、頭を下げる。
「...ありがとう...二人とも...セバちゃんも、ナーベも...」
「...本当、仕方のない旦那様なんだから。さて、話の続きと行きましょう。本題はここじゃないでしょう?城に攻めてきたボヘミア国の人達を撃退して...それで?」
「...あぁ。この先、こういうことが続くはずだ。今回攻めてきた連中はボヘミア国にとっては捨てて問題ない駒だったはずだ。だけど、今後もそうとは限らない。だから俺は...ボヘミア国に攻撃を仕掛けようと思う」
「...まさか、一国相手に単独で?」
「いや、セバちゃん...いや、セバスと二人でな」
「...勝算はどの程度?」
「セバス。どう思う?」
「恐らく100%かと」と、当たり前のように告げる。
「...それ本当に?相手は小国といえどそれなりの戦力を持っているはずよ」
「私とお坊ちゃまがいれば問題ないかと。しかし、すべての戦力を把握しているわけではないので、あくまでも恐らくと言わせていただければと思います」
「...あなたも何者なの?」と、ナーベが言う。
「私の名前は...セバス。しかしこれは先代様につけていただきました言ってしまえば異名というものです。本名はソロモンといいます」
ソロモン...それは72の悪魔を使役する最強の王だった。
※※※※
お知らせ
本日18時15分より第5話の動画投稿を行いますので、見ていただけると幸いです!
動画URLは一番上の【動画投稿について】からご確認いただければ幸いです!
「ふぁあ...寝不足だぁ...」
「...あんた、たくさん寝てるでしょ?」
「...いやぁ...昨日はいろいろあってなぁ...」
「あら、もしかしてアインとお楽しみでもしてたのかしら?」
「し、してないです...//だ、誰かと...そういうことしてたんですか...?」
「いや、してないから」
早朝に全員を集めたのだった。
理由は一つである。
昨日、あったことを伝えるのだった。
「実は昨日、この城にボヘミア国の人間が侵入しようとしてな」
「...」「...」「...」と、全員が押し黙る。
しかし、ナーベがその沈黙を破り、話始める。
「...けど、こうしてここに無事にここにいるということは...問題はなかったと考えてよいのかしら?」
「その通り。撃退したからな」
「...誰が撃退したんですか?」
「まぁ...俺だな。てことでそろそろ俺と...そしてセバちゃんについて話しておこうと思ってな。ひとまず俺についてだが...巷で噂の【X】は俺だ」
「...は」「え?」という二人と知っていたかのように無反応なナーベ。
いや、ナーベは知っているはずだ。
俺の正体は明かしていないが、あの【X】の噂。
左で炎呪があると...それをナーベは知っているからな。
しかしそうなると...。
「...待ちなさいよ」と、震えた声で言うのはリベルだった。
「リベルの心配していることなら問題ない。知ってるだろ?もう炎呪は治った」と、綺麗な左腕を見せる。
けど、それは綺麗に見えるように魔法で繕っているだけだ。
「だとしても...よ。ダンジョンって...あんな危険なダンジョンなんて...私のために...命を懸けたっていうの?」
「違うって。あの時も言ったろ?俺が【業火の龍】に挑んだのは俺の散財のせいだ。リベルのことがなくてもいずれはそうなっていた」
「...なんで黙ってたのよ」
「それは無用な心配をだな...」
「...」と、涙を貯めて俯くリベル。
「...ナーベさんには話していたんですか?」と、今度はアインが呟く。
「いや、話してはいない。バレただけだ」
「体調不良で...寝込んでいたのはそういうことですか?」
「...まぁな」
「...そういう時こそ...私を...頼ってくれればいいじゃないですか...?」
「...その通りだな。ぐーの音も出ない。だから、今後はそういうのはなしにしようと思って...話した」
「...」「...」
「...黙っていて...すまない」と、頭を下げた。
「...別にあんたのことを責めてない...。何も知らなかった自分が...情けないだけだから」
「...私も同じです」
そんな悲しい顔をしてほしくなかったから。
もう...そんな顔を見たくないから...。黙っていたんだ。
あのゲーム内でさんざん見た...絶望と悲哀と屈辱と後悔の表情...。
「...」
「おぼっちゃまはずっと奥様達のことを最優先で考えてきました」と、セバちゃんが話始める。
「いつもどうしたら奥様達が笑ってくれるか。この幸せな時間を守れるか...そればかりを考えているんです」
「ちょ!!//」と、止めようとする俺を静止するようにそのまま続ける。
「だから、本当はこの話もしないつもりだったと思います。それでもここで話す決断をしたおぼっちゃまのためにもどうか、『本当あんたはバカなんだから』って、『私のことを大切にしてくれてありがとうございます...』と笑ってそう言っていただけないでしょうか?」
「...セバちゃん」
「...そうね。わかっていた。私のことを...私の家族のことを...助けたあんたのことだもんね。知っていた。あんたはどうしようもないほどの...お人好しなんだから...。本当あんたはバカなんだから」と、涙を浮かべながらそう笑うのだった。
「...そうですね。知ってました...。本当...そういうところも...大好きです。私のこと...大切にしてくれてありがとうございます」と、頭を下げる。
「...ありがとう...二人とも...セバちゃんも、ナーベも...」
「...本当、仕方のない旦那様なんだから。さて、話の続きと行きましょう。本題はここじゃないでしょう?城に攻めてきたボヘミア国の人達を撃退して...それで?」
「...あぁ。この先、こういうことが続くはずだ。今回攻めてきた連中はボヘミア国にとっては捨てて問題ない駒だったはずだ。だけど、今後もそうとは限らない。だから俺は...ボヘミア国に攻撃を仕掛けようと思う」
「...まさか、一国相手に単独で?」
「いや、セバちゃん...いや、セバスと二人でな」
「...勝算はどの程度?」
「セバス。どう思う?」
「恐らく100%かと」と、当たり前のように告げる。
「...それ本当に?相手は小国といえどそれなりの戦力を持っているはずよ」
「私とお坊ちゃまがいれば問題ないかと。しかし、すべての戦力を把握しているわけではないので、あくまでも恐らくと言わせていただければと思います」
「...あなたも何者なの?」と、ナーベが言う。
「私の名前は...セバス。しかしこれは先代様につけていただきました言ってしまえば異名というものです。本名はソロモンといいます」
ソロモン...それは72の悪魔を使役する最強の王だった。
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