【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました

田中又雄

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初デート

「それじゃ、行こっか」と、凛花の声は甘いが、目が微妙に引き攣っている。

 俺はにやりとして、彼女の手を握り返した。

「そうだね、マイハニー。まずはカフェでまったりしようか」

 てか、なんで自分がこんなキャラになってしまったかというと、普通に話すだけの平常心を保てなかったためである。

 カフェに入ると、窓際の席を確保する。
春の陽光が差し込み、桜の花びらが外で舞うのを眺めながらメニューを開く。
俺はわざと凛花の肩に寄り添うように座った。
すると、ものすごく嫌そうな顔を何とか噛み締めて殺す。

「昔から甘いもの好きだろ?これとかどう?」

 凛花はメニューを睨みながら、短く息を吐いた。

「……じゃあ、ストロベリーフラペチーノのこのケーキで」
「じゃあ俺もそれにしようかな」と、注文した。

 そして、注文が来ると、彼女はフォークでケーキを一口食べて、営業スマイルを保ちつつ俺の話を聞く。

 ようやく、少し冷静になり、昔のような喋り方で昔の思い出を振り返るように話した。

「そういえば、中学の頃、テスト前に一緒に勉強したよな。あの時、凛花のノートがめちゃくちゃ汚くてさ…」
「昔の話はいいから! 今はデート中でしょ!」
「デート中だって昔の話するでしょ」
「普通レンタル彼女は初対面なわけで、昔話とかしないから!」
「…はいはい」

 彼女の声が少し尖る。
これじゃあ、あんまりデートという気分がしない、

 それからカフェを出て、次は駅前のショッピングモールへ移動。

 エスカレーターで上りながら、俺はそっと凛花の手を握る。
凛花の体がビクッと硬直する。

「ちょっと…」
「手を繋ぐくらいは普通するだろ…多分」
「するけど…あーはいはい」と、仕方なさそうに握り返してきた。

 基本はドン引きの表情だけど、ちゃんと楽しそうに振る舞ったり、慣れているんだろうなということはよく分かった。

 多分、レンタル彼女としてだけでなく、こうして男と出かけることも、もう彼女にとっては特別なことではないことは理解していた。

 そしね、服屋に入って、春物のワンピースを勧めてみる。

「これ、凛花に似合いそう。試着してみてよ」

 少し苦笑いしながら試着室に入り、出てきた姿は完璧だった。

 淡いブルーのワンピースが、彼女の髪の色とマッチして、まるで雑誌のモデルみたいだった。

「……どう? 似合う?」
「いいと思う。よし、買っちゃおう」
「ちょっ…これ結構高いけど」
「いいのいいの」

 結局、押し切って俺は買うことにした。
次はアクセサリーショップ。
俺が選んだイヤリングをつけてもらう。

「これ、つけてみて。似合うと思う」

 鏡の前で、凛花は少し不満そうな顔になる。

「これ…似合ってる?」
「うん…俺はそう思うけど」

 結局、それも買ってプレゼントすることにした。

 それから、少し歩いていると、あっという間に2時間が過ぎた。

 今日の日のために何度も予行練習をしたおかげで、それなりにカップルとして楽しめた気がした。

「ピピピピ」と音が鳴ると、スマホを取り出す。

 凛花は即座に俺から離れ、表情が一変して、冷たい視線を向けてくる。

「はい、終了。お疲れ様でした」
「え、もう? 延長とかないんだっけ…」
「ないから。てか、私が拒否するし。てか、なんでこんなことしたの? 馬鹿なの?」

 俺は苦笑いしながら、「……お前こそ、なんでこんなことしてんだよ」と聞く。

 レンタル彼女とか真っ先に思い浮かぶバイト先ではない気がしたから。

「別にあんたに関係ないじゃん。お金稼げるからやってるだけよ。一人暮らしの大学生は結構生活費かかるし」

 凛花は髪を耳にかけて、ため息をつく。

「……今は彼氏とか、いないの?」

 彼女の目が一瞬鋭くなった。

「……何? まだ私のこと好きなの?それでこんなことされるの普通に迷惑なんだよね」と、スマホをいじりながら目を合わせずにそう言われた。

 その言葉は、前以上に深く、痛かった。
俺は自覚してた。
自分がキモいことしてるって。
でも、このたった2時間だけでも、昔した約束みたいな夢を見たかったんだ。

 けど、結局満たされることなんてなかった。
分かっていたけど…辛かった。

「……ごめん。もう二度としないし…凛花とはもう二度と関わらないから」と、涙が込み上げてきたので、そのまま背を向けて、足早に去った。

 それから家に帰って、ベッドに倒れ込む。三万円が消えた財布を見て、ため息が出た。
結局、心の傷が増えただけだった。
あーあ、やらなきゃよかったな、こんな事。
その日はそのまま眠りについた。


 ◇翌朝

 憂鬱な朝を迎えた。
それからは何もやる気が起きずにダラダラと過ごし、大学でも凛花を見かけると身を隠したり…本当にやらなきゃよかったと後悔していた。

 それから家に帰り布団にくるまっていたが、このまま引きこもってるわけにもいかない。

 予想外の出費で来月は相当な節約生活になるはずだ。

 そうだ…アルバイトを探そう。

「出来るだけ人と直接関わりたくないんだよな……」

 それならネットで求人を漁る。
接客は無理。特に飲食も嫌。

 そんな中、目に入ったのは「チャットオペレーター」のバイト。
時給1,500円。
テキストオンリーだし、まさに俺にとっては理想の仕事だった。

「これなら……いけそうだ」

 応募すると、メールで面接の案内が送られてきた。
どうやらリモート面接らしい。

 後日、緊張しながらも面接と共にタイピングテストや適性検査などを終えて、数日後に合格通知が来た。


 ◇

 初出勤日。
緊張で胃が痛い。
駅前のビルに集合時間より早く着いて、エレベーターで5回まで上がり、エレベーターホールで待っていた。

 あーあ、怖い人が上司だったらどうしよう…。
スマホを弄りながら、深呼吸をしていた。

 すると、エレベーターが開いて、二人の女の子が入ってきた。

 一人は凛花。
もう一人は、確か凛花の大学の友達。
化粧が派手めで、凛花と楽しげに話してる。
ギャルっぽい感じの女の子だった。

 すると、凛花の目が俺を捉え、凍りついた。

「なっ……!? なんであんたがここに……」

 俺も言葉を失った。
まさか、凛花もここのアルバイトを受けていたなんて…。

 そして俺たちは最悪の再会を果たした。
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