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出会い編
竜王様はショタこん?
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竜王様の様子がおかしい。
令嬢には全く近付こうとしなかった竜王様が、ローリーには張り付いて離れない。
最初俺は、竜王様は父性に溢れる方だから、小さな子供を放っておけなかったのだろうと思っていた。
あんなに帰りたいとごねていたのに、道案内に雇うと言い出し、俺が渋れば癇癪起こして捨てゼリフを吐く始末。
何に興味を持たれたのか、ローリーは確かに妙な子供ではあるが。
空間を歪ませている魔力然り、ガキのくせにこんな場所で魔法使い稼業なんぞしていること然り。
親はいないのだろうか?
だから、あれほどカネに執着してるのか?
そんなローリーに対して、とにもかくにも竜王様の態度が甘あまなのに驚く。
ここ数十年は育てなければならない子竜もいなかったし、魔石作りに熱中していて子供の相手をしていなかったから、懐かしくてローリーを構っているのかとも思ったが、やっぱり何かおかしい。
ただ孫を甘やかしたいじじいか?
いや、散々竜王様に甘えてきた俺が言えることではないな。
俺は、竜王国が人間の女を受け入れ始めた初期のころの竜族と人間との子供だ。
あの忌まわしい出来事の後、居残った数少ない竜族の若い雄達は、番いを求めて人間の国へと旅立った。
竜族が大陸全土に広く住み、人間と共存していた頃には、人間と番いになる竜族も存在していたという事実が判明したのだ。
多くの同胞を失った竜王国で、絶望に打ちひしがれていた竜族にとっては、これは一縷の希望となった。
そうして、その希望を背負って旅立った雄達は、幸運にもみな番いを得て戻る事ができた。
しかし、国内に人間の数は少なく、また鎖国をして久しかったから、人間に慣れない竜族至上主義の輩も多かった。
だからきっと、その頃の人間は今よりももっと竜王国の中で住み辛かったのだろう。
人間の母親は生まれたばかりの俺を捨てた。
生粋の竜族と人間の間に生まれるのはハーフだが、表面に現れる特徴は竜族と同じ。
竜族の子供は竜の姿で生まれる。
十数年経てば人型もとれるようになるが、それまで待てなかったのだろう。
母親は人間の国に戻った。
父親は母親と離れたくなかった。
小竜の俺を連れて人間の国で暮らすのは難しい。
俺は母親にも父親にも捨てられたのだ。
そんな俺を引き取って育ててくれたのが竜王のアルベルト様である。
俺は竜王様から離れるのを嫌がり、執務中であろうが市中の見回り中であろうが、常に竜王様の肩の上に留まって過ごした。
俺はまた捨てられるのが怖かったのだ。
竜王国に身を削って尽くしている、誰よりも優しく誰よりも美しい孤独な黒竜に寄り添う番いを、俺はどうしても見つけたい。
そして、その番いと共に、誰よりも幸せになってもらいたいと思っていたのだが・・・・・・
今現在、竜王様は拗ねていらっしゃる。
俺とローリーが二人してあははうふふと追いかけっこを楽しんで、竜王様をひとりぼっちに、仲間外れにしたといじけておられるのだ。
あれがどうして、あははうふふとなるのかは分からないけど、ローリーにムカついて追いかけたのは事実で、ローリーが逃げたのも事実である。
俺がローリーを捕まえて戻ると、悄然と立ち尽くした竜王様がいた。
で、今は大岩に向かって膝を抱えて座り、こちらを見ようともせず恨めしげにぶつぶつ文句を言っている。
我はどうせおじさんだからハブられるのだとか、おじさんだからあははうふふはさせてもらえないのだとか、おじさんワードを連呼している。
「おい、お前、アレなんとかしろよ」
俺はローリーに言った。
「はあ? なんでオレが?」
「お前がおじさんって言ったから、拗ねてるんじゃないか」
「えー? うそだろ。マジで? なんで? もしかして、まだ根に持ってんの?」
「いいから、なんとかしろ。お前の責任だ」
「えー、勘弁してくれよー」
なんでオレがーとか、もう嫌だーとか、ブツクサ言っていたが、最後は諦めたように、もうー、しょうがないなーとローリーはしぶしぶ竜王様に近付いて行った。
そして竜王様の横にしゃがみこんで明るく話しかける。
「えっと、アルはおじさんっていうより、大人の男? えーと、渋い大人の魅力が溢れてるっていうか、落ち着いていて包容力があるっていうか、ディーンみたいな軽っ軽な若造じゃなくって、スッゴくカッコいいよ! オレ憧れちゃうな~、ははは」
営業丸出しのトークとスマイルに、俺はどん引きだったけど、竜王様はアッサリ陥落した。
「おじさんとはそういう意味だったのだな。我は知らなかった。スッゴくカッコいいか? ローリーは憧れちゃうのか? そうか、そうか、カッコいいか」
竜王サマ、照れ照れデレデレ、気持ち悪いデス。
俺はハッとした。
もしかして、もしかして、もしかして、竜王様って、まさかの、ショタこん???
令嬢には全く近付こうとしなかった竜王様が、ローリーには張り付いて離れない。
最初俺は、竜王様は父性に溢れる方だから、小さな子供を放っておけなかったのだろうと思っていた。
あんなに帰りたいとごねていたのに、道案内に雇うと言い出し、俺が渋れば癇癪起こして捨てゼリフを吐く始末。
何に興味を持たれたのか、ローリーは確かに妙な子供ではあるが。
空間を歪ませている魔力然り、ガキのくせにこんな場所で魔法使い稼業なんぞしていること然り。
親はいないのだろうか?
だから、あれほどカネに執着してるのか?
そんなローリーに対して、とにもかくにも竜王様の態度が甘あまなのに驚く。
ここ数十年は育てなければならない子竜もいなかったし、魔石作りに熱中していて子供の相手をしていなかったから、懐かしくてローリーを構っているのかとも思ったが、やっぱり何かおかしい。
ただ孫を甘やかしたいじじいか?
いや、散々竜王様に甘えてきた俺が言えることではないな。
俺は、竜王国が人間の女を受け入れ始めた初期のころの竜族と人間との子供だ。
あの忌まわしい出来事の後、居残った数少ない竜族の若い雄達は、番いを求めて人間の国へと旅立った。
竜族が大陸全土に広く住み、人間と共存していた頃には、人間と番いになる竜族も存在していたという事実が判明したのだ。
多くの同胞を失った竜王国で、絶望に打ちひしがれていた竜族にとっては、これは一縷の希望となった。
そうして、その希望を背負って旅立った雄達は、幸運にもみな番いを得て戻る事ができた。
しかし、国内に人間の数は少なく、また鎖国をして久しかったから、人間に慣れない竜族至上主義の輩も多かった。
だからきっと、その頃の人間は今よりももっと竜王国の中で住み辛かったのだろう。
人間の母親は生まれたばかりの俺を捨てた。
生粋の竜族と人間の間に生まれるのはハーフだが、表面に現れる特徴は竜族と同じ。
竜族の子供は竜の姿で生まれる。
十数年経てば人型もとれるようになるが、それまで待てなかったのだろう。
母親は人間の国に戻った。
父親は母親と離れたくなかった。
小竜の俺を連れて人間の国で暮らすのは難しい。
俺は母親にも父親にも捨てられたのだ。
そんな俺を引き取って育ててくれたのが竜王のアルベルト様である。
俺は竜王様から離れるのを嫌がり、執務中であろうが市中の見回り中であろうが、常に竜王様の肩の上に留まって過ごした。
俺はまた捨てられるのが怖かったのだ。
竜王国に身を削って尽くしている、誰よりも優しく誰よりも美しい孤独な黒竜に寄り添う番いを、俺はどうしても見つけたい。
そして、その番いと共に、誰よりも幸せになってもらいたいと思っていたのだが・・・・・・
今現在、竜王様は拗ねていらっしゃる。
俺とローリーが二人してあははうふふと追いかけっこを楽しんで、竜王様をひとりぼっちに、仲間外れにしたといじけておられるのだ。
あれがどうして、あははうふふとなるのかは分からないけど、ローリーにムカついて追いかけたのは事実で、ローリーが逃げたのも事実である。
俺がローリーを捕まえて戻ると、悄然と立ち尽くした竜王様がいた。
で、今は大岩に向かって膝を抱えて座り、こちらを見ようともせず恨めしげにぶつぶつ文句を言っている。
我はどうせおじさんだからハブられるのだとか、おじさんだからあははうふふはさせてもらえないのだとか、おじさんワードを連呼している。
「おい、お前、アレなんとかしろよ」
俺はローリーに言った。
「はあ? なんでオレが?」
「お前がおじさんって言ったから、拗ねてるんじゃないか」
「えー? うそだろ。マジで? なんで? もしかして、まだ根に持ってんの?」
「いいから、なんとかしろ。お前の責任だ」
「えー、勘弁してくれよー」
なんでオレがーとか、もう嫌だーとか、ブツクサ言っていたが、最後は諦めたように、もうー、しょうがないなーとローリーはしぶしぶ竜王様に近付いて行った。
そして竜王様の横にしゃがみこんで明るく話しかける。
「えっと、アルはおじさんっていうより、大人の男? えーと、渋い大人の魅力が溢れてるっていうか、落ち着いていて包容力があるっていうか、ディーンみたいな軽っ軽な若造じゃなくって、スッゴくカッコいいよ! オレ憧れちゃうな~、ははは」
営業丸出しのトークとスマイルに、俺はどん引きだったけど、竜王様はアッサリ陥落した。
「おじさんとはそういう意味だったのだな。我は知らなかった。スッゴくカッコいいか? ローリーは憧れちゃうのか? そうか、そうか、カッコいいか」
竜王サマ、照れ照れデレデレ、気持ち悪いデス。
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