竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

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出会い編

魔獣狩り2

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 今夜もやはりローリーは夢を見て泣いていた。親を想って泣いているのだろうか。
 我はもう起こさず、再び深い眠りへと導く魔法をかけた。
 ローリーが哀れでならない。



 翌朝、暫くの間は、ゆっくりと食事をとれないだろうということで、しっかり朝食をとった後出発した。
 ローリーは昨日話していた通り、途中で脇道に入って行った。
 しばらく歩くと道と呼べるものはなくなり、林の中に入ると、ローリーが振り返り言った。

「ここからは魔物がうようよいる領域だ。だから、一人ずつ結界を張っておく。ただし、これはふいの攻撃用で、一回こっきりしか使えないからな。一度の攻撃を弾いた後は守りが無くなるから、早急に相手を倒す必要があるぞ」

「分かった」

「承知した」

 我らには必要ないが、今は人間の振りをしなければならない。ローリーすまぬ。

 ローリーは杖を取りだし、一人ずつ呪文を唱えてくれた。

「行くぞ」

 ローリーは真剣な顔をして、探知魔法を使い辺りを窺っている。 
 ローリーが止まった。

「来るぞ」

 ディーンが前に出て剣を構える。
 シュルシュルという音が辺りから聞こえたと思ったら、2メートル程の蛇がうようよとこちらに向かって這って来る。
 一匹が大きく口を開けて、飛び掛かって来たと思ったら、次々後に続く。
 ディーンと我も飛び掛かって来るものは全て切り捨てていくが、何しろ数が多過ぎる。

「キリがないな」

 ディーンがぼやいた。

「オレに任せろ」

 黙って後ろに隠れていたローリーが前に出て来て、杖の先から炎をほとばしらせ、その炎を地面へ付ける。
 すると炎が辺り一面へと広がっていく。
 それと同時にローリーは左手を上に上げ、ゆっくりとふんわり下ろした。

 火に炙られた蛇は飛び上がり逃げようとするが、何かに阻まれたかのように出る事叶わず、爆ぜては戻されまた爆ぜては戻され、暫くすると大人しくなった。
 我もディーンもあっという間の出来事に声も出なかった。

「蛇の蒸し焼き一丁あがり!」

 へへっとローリーが得意げに言った。
 ヒューと口笛をふき、ディーンがローリーを褒める。

「お前やるじゃないか。一気に全滅させやがった。でもさ、普通、火魔法っていったら火炎で焼き尽くすもんじゃないのか?」

「オレは人間なんだよ? おとぎ話の竜じゃあるまいし。そんな火魔法ぶっ放したら魔力をゴッソリ持っていかれちゃうよ。これから、魔獣狩りをしようってのに、そんなことできるわけないだろ。省エネだよ。省エネ!」

「え?」

「ディーン、来るぞ」

 蒸し焼きの蛇の山がゴソリと盛り上がり、中から巨大な蛇が鎌首をもたげる。

「これは俺がやる」

 ニヤリと笑ってディーンが飛び出して行った。



 
 その後もちらほらと魔物が襲って来たが、難なく切り伏せ、魔石が出れば拾った。
 
 そして、ジャイアントボアの群れが今、目の前にいる。 

「大きな群れだが、こいつらはまっすぐ突き進むしか能がないから簡単だ」

 ローリーは火魔法で群れの周りを囲み、突き進んでくる群れに向かって氷魔法を放った。
 辺りが冷気に満ちていく。
 動きは鈍ったもののこちらに向かってくる群れに、ディーンが突っ込んで、次々と首を落としていく。
 すり抜けたものは我とローリーが片付けた。
 ローリーは器用に氷の刃を風魔法で飛ばし、ジャイアントボアの首を刎ねる。
 ぬしと思われる巨大なジャイアントボアも現れたが、ディーンが難なく切り伏せた。
 首を落としたジャイアントボアの体は次々と霧散し、魔石だけが残った。
 大きさは大小様々であったが、三十ばかりの魔石を拾った。

「なんかあっけなかったね。ディーンがあっという間にやっつけちゃったよ」

「まあ、お前の魔法で動きが鈍かったからな。それより、お前だよ! あの虫が這う結界といい、蛇の蒸し焼きといい、氷の刃を飛ばして首を落とすとか! すげえな! 俺、こんな魔法初めて見たよ」

「えっへん! すごいだろう! オレのオリジナルだからな。言っとくけど、魔法の構築は難しいんだぞ」

 ローリーが誇らしげに言うと、ディーンがすかさずそれに答える。

「えばるな! でもああ、そうだな。ローリーって感じがする。なんていうか、性格の底意地の悪さが魔法に顕れているよ」

 ローリーの鼻をつまみ、からかった。

「あ、くそっ、このやろう、なんだと! もういっぺん言ってみろ! これから、もし、虫がうじゃうじゃやって来ても助けてやらないんだからな! 覚えとけよ!」

「え、いや、それは困る。すまん、許してくれ。つい、口がすべった」

「全然、謝る気ないじゃないか!」


 ・・・・・・


 えっと、二人の仲がものすごく・・・・・良さそうに見えるのは、我の気のせいかな?
 

「ローリーすまぬ。許してやってくれ。ディーンは魔法が使えぬのでな、ローリーが羨ましくて、憎まれ口をたたくのだ。我はすごいと思うぞ。我など、このような魔法、考えも及ばなかった。本当に驚いた」
 
 ちょっと引っかかるものはあったものの、我が仲裁に入り魔法を褒めると、ローリーはようやく機嫌を直してくれた。
 ディーンはすぐにローリーをからかって遊ぼうとする。
 本当にしようのない奴だ。 

 あっ! でもコレって、もしかして、ひょっとすると、喧嘩するほど仲がいいってやつなんじゃあ・・・
 二人は仲良し? 我は? 我は、誰とも喧嘩しない。
 叱られることはあっても。
 宰相とか宰相とか・・・宰相・・・

 ・・・・・・

 我は大人だからな。こんなことで拗ねたりしないぞ。



 寝る場所はちゃんと真ん中に陣取った。
 
 我はローリーが眠ったのを確かめると、うなされてはいなかったがいつもの睡眠魔法をかけた。
 そして身体に手をかざし、我の魔力をローリーに気付かれぬ程度補充する。
 ローリーは今日の戦闘や休むためのこの強固な結界を張るのに、かなりの魔力を消耗している。
 
 我は眠ったふりをしているディーンに呼びかける。

「ディーンよ。ローリーの口車に騙されてはならぬ。ここは、お前達が思っている程甘いところではない。ローリーの魔力の消耗は激しい。我が魔法を使えぬ今、我はローリーを守る事に徹するゆえ、魔物を蹴散らすのはお前の役目じゃ、よいな」


「御意」





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