竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

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出会い編

求愛作戦3

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 ディーンにあれでは褒めるどころか、逆に悪口だと説教された。
 ごちゃごちゃと、全く意味が分からない。
 でも、とりあえず頷いておいた。
 説教は聞いているフリをする。セオリーだな。

 しかし、困った。
 求愛作戦その一はどうやら失敗のようである。
 次に移るべきか。
 求愛作戦その二。
 優しくして、好意を示す。
 女性というものは、好意を向けられて初めて異性として意識し始めるらしい。

 ふと気が付くと、いつの間にかディーンはいなくなっていて、我は一人で悶々と考えて込んでいたらしい。
 慌てて馬車に戻ると、ローリーが声をかけて来る。
 超能力? 特別な力を使うと疲れる? 
 何の事か我は分からなくて戸惑っていると、何やら二人で小声で内緒話を始めた。
 仲良くじゃれあっているように見える。
 もう一度言う! 
 我はのけ者で、二人で仲良くじゃれあっているように見える!
 思わず心の声が漏れた。

「お前たちは仲良しでいいな」



 二人はそれから言い訳がましく、我にいろいろ話しかけてくる。
 それがまた、仲良く二人で結託し合っているように見えて、腹立たしく、そして悲しい。
 
 しかし、我はローリーの愛を得るために、もういじいじしたりしないのだ。
 シャキッとして、大人の振る舞いをしなくてはならん。
 そして、次なる求愛作戦その二を実行するのだ。


 御者が馬に水を飲ませたいと言うので、小川の畔で休憩をとることにした。
 ローリーが馬車を降りようとするところを制して、我が先に降り、ローリーに手を貸して馬車から降ろしてやった。
 優しくして、好意を示すのだ。
 女性をエスコートするのは紳士の務めでもあるしな。
 だから、ローリーが小川に近付いて落っこちないように気を付けたり、石に躓いて転ばないように手を貸してやったりした。
 
 ローリーは馬が好きなようで、水を飲んだり、草を食んだりしているところをじっと眺めている。
 そして我は、そんなローリーをじっと眺めている。
 ああ、いけないいけない。
 あんまりじろじろ見てはいけないと、ディーンに注意されたのだった。
 ついローリーを眺めていると、時間を忘れてしまう。
 
 そこで視線をそらせて周りを見ると、ふと可愛らしい小さな桃色の花が目に入った。
 小さくてローリーのように愛らしい花だと眺めていて、パッと閃いた。
 そうだ、花束にしてプレゼントしよう。
 人間は求婚する時に、花束と指輪を贈るのではなかったか。
 求婚とは究極の好意を示す行為だ。
 
 早速、咲いている花を摘んだ。
 うむ、思ったよりも少ないな。
 これじゃあ、花束とならないような気がする。
 
 しかし、他に花は咲いておらず、困っていたところ目に付いたのが、形の変わった葉っぱだった。
 なかなか愛らしい形の葉っぱだから、きっとローリーは気に入ってくれるだろうと花束の一員に加えてやった。
 花束らしくなったので、ローリーに渡すことにする。

 緊張しながら、ローリーに近付いて行く。
 えーと、なんて言って渡せばいいのだ?
 まさか、けっこんしてくださいとは言えないしな。
 
 えーと、えーと、

「ローリー、これ、好きだから、やる!」

 言って、花束をローリーに押しつけた。
 自分の顔がどんどん赤くなっていくのが分かる。
 恥ずかしくて、もうどんな顔をしてローリーの前にいればいいのかわからない。
 だから、両手で顔を隠し、馬車まで走って戻ってしまった。

 馬車の中にはディーンがいて、急いで戻った我に驚いている。
 でも、うっかり告白まがいのことをしてしまった我は、恥ずかしいやら、どうしてよいやら。
 ああ、ローリーはどう思っただろうか?
 


 ローリーが戻って来た。
 手には何も持っていない。

 アレ?

「アル、ちゃんとあげて来たよ。喜んで食べてたよ!」

 ローリーはにっこり笑って、我に報告する。

「「え?」」

 ディーンと我の声が重なった。

「馬はクローバーが大好きだからね!」

 

 どうやら我が想いを込めて渡した花束は、馬の餌と勘違いされたようである。





 落ち込んでもいられないので、求愛作戦その三に移行する。
 求愛作戦その三。
 男らしさアピール作戦。
 悪者がやって来たら、姫を守る騎士のごとく、前に出て戦うべし!
 命の危機から自分を盾にして守ってくれる強い男には、感動して惚れるに違いない。

 ちょうどその時、馬車の中に悪者の蜂が飛び込んで来た。
 狭い馬車の中を嫌な羽音をさせながら、飛び回る。
 虫が嫌いなディーンはぎゃあぎゃあとわめいて逃げ回る。
 よし、ここは姫を守る騎士のごとく、我が蜂を成敗してくれる!と思ったけど、どうやって成敗すれば良いのだ?
 手で叩いたら、手のひらを刺されそうである。
 
 どうしようと迷っていたら、蜂が我の顔めがけて飛んで来てしまった。
 思わず、ぎゃあーと目を瞑ったら、目の前でボッツという音がした。
 ゆっくり目を開けると、炭になった蜂が落ちている。
 ローリーが火魔法を使って退治してくれたようだった。

「大丈夫か?」
 
 にっこり余裕の笑みを我らに向けて、気遣う言葉をかけてくれた。
 悪者を前にして、怯むことなく立ち向かい、強い男アピールしたのは、ローリーだった。






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