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出会い編
直球勝負
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どうにもディーンの求愛作戦であるが、我は失敗ばかりしているように思う。
大きなため息が出た。
我はどうすれば良いのだ。
「アル、元気がないみたいだけど、どこか具合でも良くないのか?」
このところ、ローリーが我を気にかけてくれるようになった。
それにおかしな失敗をしても、優しく笑って許してくれる。
求愛作戦は失敗ばかりと思ったけど、そうでもないのだろうか?
我はローリーをじっと見つめた。
ディーン曰く、ローリーは普通の女の子ではないから、攻め所が難しいらしい。
当人は女の子であることを隠しているわけだから、あからさまに女を意識させるようなことをすると警戒されてしまうだろうとも。
ディーンの言うことはどうにも難解である。
つまり、ローリーは普通の女の子ではない。
だから、普通の方法ではなくローリー専用の方法で、気に入られるようにしなければならない、とそういう事か?
ローリー専用など、ローリーにしか分からんではないか。
ふむ、ならば、本人に聞くのが一番か。
「なあ、ローリー。我はローリーに好かれたいと思っておる。どうしたらローリーは我を気に入ってくれる?」
ローリーは一瞬驚いた顔を見せ、くすっと困り顔で苦笑いした。
「真剣な顔をして、一体何を言い出すのかと焦ったけど、そんな事で悩んでいたのか?」
「我の深刻な悩みだ」
本当の事だ。
「アルは本当にもう、ば」
ローリーはそこまで言って、急にピタリと黙ってしまった。
「ば?」
我が問い返すと、もごもごと何やら言う。
「ば! そう、ば、ば、えーと、えーと、ばらが似合うなあと思って!」
「ばら?」
一体何の事だろう?
「そう、薔薇の花! 美しい人は性別を越えて、薔薇が似合うと思うなあ!」
ローリーの取り繕った感がハンパない。
そうは思ったが、我は大人だから口には出さなかった。
というわけで、ハイ、コレと言って、ローリーは一本の紅い薔薇の花をどこからかさっと取り出して、我にくれた。
「え?」
「アルの事、好きだよ。オレの一番の問題を解決する手掛かりを与えてくれた。それだけで十分だよ。これはオレの感謝の気持ち」
え? え? え? い、今、ローリーは何と言った?
「ちゃんと聞いてる? もう、オレはアルの事好きなんだから、何もする必要はない。そのままでいいんだよ?」
やっぱり、我の事を好きだと言ったぞ。
それに、薔薇の花もくれた。
「えっと、もう一回言ってくれ」
「アルの事、好きだよ?」
ああ、ああ、本当に?
「それは、本当に、本当か?」
「本当だよ。逆にオレはどうしてそんなにオレに好かれたいのか不思議だよ」
「好ましいと思っている者に好かれたいと思うのは、不思議でもなんでもないだろう?」
「だから、どうしてそこまで好ましいと、ま、いいや」
ローリーは言いかけて、諦めたように途中で言うのを止めた。
そうだ、我は気になっていたことをこわごわ聞いてみた。
「なあ、ローリー、その、我とローリーの関係は少しは進展したと思っても良いのだろうか」
「関係?」
「そ、その、我はローリーにとっては客の一人なわけだろう? そこから、その、違う関係になれたのだろうか?」
ローリーがなんと答えるかどきどきして待つ。
「オレは客だからって誰とでも寝るわけじゃないよ」
!!
そうなのだ。
あれからも毎晩、ローリーはベッドに誘ってくれて、一緒に寝ているのだ。
我が潜り込んでいるわけではない。
ローリーが部屋の隅にいる我をわざわざ連れに来てくれて、ベッドに入れてくれるのだ。
我はローリーにとって、客の一人ではあるが特別な客で、ベッドを共にする関係だったのだな!
あれから、ローリーとはかなり親密な関係になったように思う。
馬車の中では話し相手になってくれるし、街では手を繋いでくれる。
ローリーが買い物をしたいけど、お金が足りないというので、もちろん我が買ってプレゼントした!
ディーンがまた何か言いたげだったが、ローリーが頼ってくれた事が嬉しくて、うきうきしている我を見て、諦めたようだ。
ご飯も我が食べさせてやったり、お返しにとローリーが食べさせてくれたりする。
夜も一緒にベッドに入っている。
昨夜は思い切って手を繋いで寝てもいいかと尋ねてみた。
そしたら、いいよと手を繋いでくれた。
今までも実はこっそり繋いでいたのだけど、本人の了承を得たから、これからはもうビクビクしなくて済む。
心臓にすごく悪そうだったから、助かった。
我とローリーは今までにないほど仲良しになった。
今ならば、役立たずの竜王でも許してくれるのではないだろうか。
大きなため息が出た。
我はどうすれば良いのだ。
「アル、元気がないみたいだけど、どこか具合でも良くないのか?」
このところ、ローリーが我を気にかけてくれるようになった。
それにおかしな失敗をしても、優しく笑って許してくれる。
求愛作戦は失敗ばかりと思ったけど、そうでもないのだろうか?
我はローリーをじっと見つめた。
ディーン曰く、ローリーは普通の女の子ではないから、攻め所が難しいらしい。
当人は女の子であることを隠しているわけだから、あからさまに女を意識させるようなことをすると警戒されてしまうだろうとも。
ディーンの言うことはどうにも難解である。
つまり、ローリーは普通の女の子ではない。
だから、普通の方法ではなくローリー専用の方法で、気に入られるようにしなければならない、とそういう事か?
ローリー専用など、ローリーにしか分からんではないか。
ふむ、ならば、本人に聞くのが一番か。
「なあ、ローリー。我はローリーに好かれたいと思っておる。どうしたらローリーは我を気に入ってくれる?」
ローリーは一瞬驚いた顔を見せ、くすっと困り顔で苦笑いした。
「真剣な顔をして、一体何を言い出すのかと焦ったけど、そんな事で悩んでいたのか?」
「我の深刻な悩みだ」
本当の事だ。
「アルは本当にもう、ば」
ローリーはそこまで言って、急にピタリと黙ってしまった。
「ば?」
我が問い返すと、もごもごと何やら言う。
「ば! そう、ば、ば、えーと、えーと、ばらが似合うなあと思って!」
「ばら?」
一体何の事だろう?
「そう、薔薇の花! 美しい人は性別を越えて、薔薇が似合うと思うなあ!」
ローリーの取り繕った感がハンパない。
そうは思ったが、我は大人だから口には出さなかった。
というわけで、ハイ、コレと言って、ローリーは一本の紅い薔薇の花をどこからかさっと取り出して、我にくれた。
「え?」
「アルの事、好きだよ。オレの一番の問題を解決する手掛かりを与えてくれた。それだけで十分だよ。これはオレの感謝の気持ち」
え? え? え? い、今、ローリーは何と言った?
「ちゃんと聞いてる? もう、オレはアルの事好きなんだから、何もする必要はない。そのままでいいんだよ?」
やっぱり、我の事を好きだと言ったぞ。
それに、薔薇の花もくれた。
「えっと、もう一回言ってくれ」
「アルの事、好きだよ?」
ああ、ああ、本当に?
「それは、本当に、本当か?」
「本当だよ。逆にオレはどうしてそんなにオレに好かれたいのか不思議だよ」
「好ましいと思っている者に好かれたいと思うのは、不思議でもなんでもないだろう?」
「だから、どうしてそこまで好ましいと、ま、いいや」
ローリーは言いかけて、諦めたように途中で言うのを止めた。
そうだ、我は気になっていたことをこわごわ聞いてみた。
「なあ、ローリー、その、我とローリーの関係は少しは進展したと思っても良いのだろうか」
「関係?」
「そ、その、我はローリーにとっては客の一人なわけだろう? そこから、その、違う関係になれたのだろうか?」
ローリーがなんと答えるかどきどきして待つ。
「オレは客だからって誰とでも寝るわけじゃないよ」
!!
そうなのだ。
あれからも毎晩、ローリーはベッドに誘ってくれて、一緒に寝ているのだ。
我が潜り込んでいるわけではない。
ローリーが部屋の隅にいる我をわざわざ連れに来てくれて、ベッドに入れてくれるのだ。
我はローリーにとって、客の一人ではあるが特別な客で、ベッドを共にする関係だったのだな!
あれから、ローリーとはかなり親密な関係になったように思う。
馬車の中では話し相手になってくれるし、街では手を繋いでくれる。
ローリーが買い物をしたいけど、お金が足りないというので、もちろん我が買ってプレゼントした!
ディーンがまた何か言いたげだったが、ローリーが頼ってくれた事が嬉しくて、うきうきしている我を見て、諦めたようだ。
ご飯も我が食べさせてやったり、お返しにとローリーが食べさせてくれたりする。
夜も一緒にベッドに入っている。
昨夜は思い切って手を繋いで寝てもいいかと尋ねてみた。
そしたら、いいよと手を繋いでくれた。
今までも実はこっそり繋いでいたのだけど、本人の了承を得たから、これからはもうビクビクしなくて済む。
心臓にすごく悪そうだったから、助かった。
我とローリーは今までにないほど仲良しになった。
今ならば、役立たずの竜王でも許してくれるのではないだろうか。
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