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魔法学校編
仲直り2
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「アル、おはよう!」
ちょうど起きたところに、ローリーが元気いっぱいな様子で寝室に飛び込んできた。
「ああ、ローリー元気になったのだな」
「ええ、アルのおかげでね! 傷もすっかり治してくれて、ありがとう。それから、昨日はいつの間にか寝ちゃったみたいで、ごめんね」
ローリーは恥ずかしそうに謝ると、我の服を見繕ってクローゼットから出してくれる。
その上、着替えの手伝いまでしてくれて、我の手を引いて食堂へと連れて行くのだった。
「はい、あ~ん」
・・・・・・
これは一体どういう事なのだろうか。
食堂に揃っていた皆も一様に驚いている。
「仲直りしたんだな。だが、それにしても、サービスが良すぎないか? 一体どういう風の吹きまわしだ?」
ディーンが訊いた。
おお、ディーンよ、我が訊きたくて、訊けなかった事をよくぞ訊いてくれた!
戦々恐々とローリーの給仕を受けていた我は、これで謎が解けると安堵した。
するとローリーは俯いて、恥ずかしげに我を上目遣いにちらっと見たかと思うと頬を赤く染め、ごにょごにょとディーンに答える。
「えっと、その、わたしが意地を張ったばかりに、アルにいっぱい心配かけたでしょう? その間、アルってばご飯もちゃんと食べてなかったみたいだし、だから・・・」
「なんだ、お前、もしかして、番いの繋がりに目覚めたのか!?」
ディーンが驚いて声を上げた。
我はそのディーンの言葉に驚いて声を上げそうになった。
そ、そうなのか!?
「え? あー、まあ、そう・・・なのかな?」
ローリーは照れたように答えた。
「ローリー、それは本当か? 本当に本当か? 我を好きになったのか? 愛しく思ってくれておるのか?」
我がローリーに詰め寄ると、恥ずかしそうにコクンと頷いてくれた。
「そうか、そうだったのか。では、昨日のアレも我の気のせいではなかったのだな。ああ、我はとても嬉しい。ローリー、ありがとう!」
感無量で、涙がぽろりとこぼれた。
「そうか、やっと、やっと・・・」
食堂にいた皆が、おめでとうございます、良かったですねと祝福してくれた。
こうして、我とローリーは、いつにも増して仲良く過ごすようになった。
つまり、ラブラブだ。
ローリーは休みに入ってからずっと毎日、側にやって来て世話を焼いてくれるのだ。
寝る時と執務中以外は、ずっと我に寄り添っていると言ってもいいくらいである。
執務以外の時間は、離宮の庭を連れ立って散歩をしたり、我に本を読んでくれたり、お茶をしたりしてのんびり一緒に過ごしている。
買い物のために出掛けた時には、手を繋いで、街を案内してくれた。
以前は保護者に付き添われているようで嫌だと一緒に歩くことすら、拒絶されていたのに。
魔力も嫌がらずに受け取ってくれる。
そして、なんと「学校にも来ていいよ」と言われたのだ!
魔法に関する干渉はされたくはないけど、なるべく我に心配をかけないようにしたいからと。
我は涙が出るほど、いや、実際、涙がぽろりと流れたが、嬉しかった。
それはローリーが、我を頭から排除しないで、自身の側に存在することを認めてくれたという事だからだ。
ローリーはいつも我を案じて、優しくしてくれる。
だから、うんと幸せなはずなのだ。
いや、実際幸せだ。
それは本当だ。嘘ではない。
ただ、なんというか、一つだけ、不満がないわけでもない。
それは、ローリーが魔力を注ぐ以外の口づけを、恥ずかしがって、なかなかさせてくれぬのだ。
想いが通じ合ったのだから、我など、もう体を重ねてもよいのではないかと思うくらいなのに。
人間だからなのか、幼い故なのかは分からぬが、どうにもそのあたりの気持ちに温度差があって、我としては少々物足りない。
いや、そんな贅沢を言ってはいけない事は分かっておるのだ。
それに、人間の社会に身を置いている以上、やはり少なくとも成人するまでは、待たねばならんと思うしな。
もう求婚してもよいだろうか?
成人してからという約束であったが、ローリーが我を番いとして認識した今となっては、そのような条件など関係ないのではなかろうか。
それに、婚約者になれば、さすがに口づけくらいはさせてもらえるはず。
いや、出来ればそれ以上のこともしたい。
求婚したその日に結婚ってありかな?
学校があるから嫌だとか言うかな?
いや、別に結婚してからも学校へは通えばよいのではないか?
竜王国に行くのは学校を卒業してからでよいとして、とりあえず結婚だけするというのはどうだろう。
ああ、そうしよう。それがいい。
それならば、ローリーの魔法の勉強に関して邪魔をすることにならぬし、干渉にも当てはまらぬ、よな?
「アル? 難しい顔して、どうしたの? 竜王様のお仕事が大変なの?」
ああ、うっかり考え事に没頭してしまったようだ。
今は、執務の間の休憩時間で、ローリーが我のために薬草茶を煎れてくれたのだった。
薬草茶はあまり美味いとは言えないが、ローリーが我を気遣って煎れてくれたと思うと感慨もひとしおである。
「あ、いや、まあな」
「精神的ストレスが一番体に良くないのに」
先ほどから、ローリーは執務で疲れたでしょうと言って肩を揉んでくれている。
ローリーは本当に優しいな。
「でも、アルが元に戻って本当に良かった。心配かけて本当にゴメンね。アルはおじいちゃんだから、心配し過ぎるとミイラみたいにやつれて干からびちゃうんだね。竜族は病気では滅多に死なないって聞いてたけど、わたし、アルが死んじゃうんじゃないかって思ってすごく怖かった。わたし、それで分かったの。これが番いの繋がりなんだって! アルもきっとこんな気持ちだったんだって。わたし、アルがとても大切なの。だから、お願い、無理は絶対しないでね!」
・・・・・・
「あ、そうだ! アルは年齢の事を気にして若作りしてるみたいだけど、わたし、そんなのちっとも気にしないよ? むしろ、おじいちゃんっ子だったからお年寄りの面倒をみるのは得意だし! 二人で仲良く暮らしていこうね!」
・・・・・・
突っ込みどころが満載で、どこから突っ込んでいけばよいのか分からない。
・・・・・・
えーとえーと、何だっけ? ショックのせいで頭も回らないようだ。
ローリーの言う通り、我は病気では死なないが、精神的ストレスによって死ぬかも知れない。
ちょうど起きたところに、ローリーが元気いっぱいな様子で寝室に飛び込んできた。
「ああ、ローリー元気になったのだな」
「ええ、アルのおかげでね! 傷もすっかり治してくれて、ありがとう。それから、昨日はいつの間にか寝ちゃったみたいで、ごめんね」
ローリーは恥ずかしそうに謝ると、我の服を見繕ってクローゼットから出してくれる。
その上、着替えの手伝いまでしてくれて、我の手を引いて食堂へと連れて行くのだった。
「はい、あ~ん」
・・・・・・
これは一体どういう事なのだろうか。
食堂に揃っていた皆も一様に驚いている。
「仲直りしたんだな。だが、それにしても、サービスが良すぎないか? 一体どういう風の吹きまわしだ?」
ディーンが訊いた。
おお、ディーンよ、我が訊きたくて、訊けなかった事をよくぞ訊いてくれた!
戦々恐々とローリーの給仕を受けていた我は、これで謎が解けると安堵した。
するとローリーは俯いて、恥ずかしげに我を上目遣いにちらっと見たかと思うと頬を赤く染め、ごにょごにょとディーンに答える。
「えっと、その、わたしが意地を張ったばかりに、アルにいっぱい心配かけたでしょう? その間、アルってばご飯もちゃんと食べてなかったみたいだし、だから・・・」
「なんだ、お前、もしかして、番いの繋がりに目覚めたのか!?」
ディーンが驚いて声を上げた。
我はそのディーンの言葉に驚いて声を上げそうになった。
そ、そうなのか!?
「え? あー、まあ、そう・・・なのかな?」
ローリーは照れたように答えた。
「ローリー、それは本当か? 本当に本当か? 我を好きになったのか? 愛しく思ってくれておるのか?」
我がローリーに詰め寄ると、恥ずかしそうにコクンと頷いてくれた。
「そうか、そうだったのか。では、昨日のアレも我の気のせいではなかったのだな。ああ、我はとても嬉しい。ローリー、ありがとう!」
感無量で、涙がぽろりとこぼれた。
「そうか、やっと、やっと・・・」
食堂にいた皆が、おめでとうございます、良かったですねと祝福してくれた。
こうして、我とローリーは、いつにも増して仲良く過ごすようになった。
つまり、ラブラブだ。
ローリーは休みに入ってからずっと毎日、側にやって来て世話を焼いてくれるのだ。
寝る時と執務中以外は、ずっと我に寄り添っていると言ってもいいくらいである。
執務以外の時間は、離宮の庭を連れ立って散歩をしたり、我に本を読んでくれたり、お茶をしたりしてのんびり一緒に過ごしている。
買い物のために出掛けた時には、手を繋いで、街を案内してくれた。
以前は保護者に付き添われているようで嫌だと一緒に歩くことすら、拒絶されていたのに。
魔力も嫌がらずに受け取ってくれる。
そして、なんと「学校にも来ていいよ」と言われたのだ!
魔法に関する干渉はされたくはないけど、なるべく我に心配をかけないようにしたいからと。
我は涙が出るほど、いや、実際、涙がぽろりと流れたが、嬉しかった。
それはローリーが、我を頭から排除しないで、自身の側に存在することを認めてくれたという事だからだ。
ローリーはいつも我を案じて、優しくしてくれる。
だから、うんと幸せなはずなのだ。
いや、実際幸せだ。
それは本当だ。嘘ではない。
ただ、なんというか、一つだけ、不満がないわけでもない。
それは、ローリーが魔力を注ぐ以外の口づけを、恥ずかしがって、なかなかさせてくれぬのだ。
想いが通じ合ったのだから、我など、もう体を重ねてもよいのではないかと思うくらいなのに。
人間だからなのか、幼い故なのかは分からぬが、どうにもそのあたりの気持ちに温度差があって、我としては少々物足りない。
いや、そんな贅沢を言ってはいけない事は分かっておるのだ。
それに、人間の社会に身を置いている以上、やはり少なくとも成人するまでは、待たねばならんと思うしな。
もう求婚してもよいだろうか?
成人してからという約束であったが、ローリーが我を番いとして認識した今となっては、そのような条件など関係ないのではなかろうか。
それに、婚約者になれば、さすがに口づけくらいはさせてもらえるはず。
いや、出来ればそれ以上のこともしたい。
求婚したその日に結婚ってありかな?
学校があるから嫌だとか言うかな?
いや、別に結婚してからも学校へは通えばよいのではないか?
竜王国に行くのは学校を卒業してからでよいとして、とりあえず結婚だけするというのはどうだろう。
ああ、そうしよう。それがいい。
それならば、ローリーの魔法の勉強に関して邪魔をすることにならぬし、干渉にも当てはまらぬ、よな?
「アル? 難しい顔して、どうしたの? 竜王様のお仕事が大変なの?」
ああ、うっかり考え事に没頭してしまったようだ。
今は、執務の間の休憩時間で、ローリーが我のために薬草茶を煎れてくれたのだった。
薬草茶はあまり美味いとは言えないが、ローリーが我を気遣って煎れてくれたと思うと感慨もひとしおである。
「あ、いや、まあな」
「精神的ストレスが一番体に良くないのに」
先ほどから、ローリーは執務で疲れたでしょうと言って肩を揉んでくれている。
ローリーは本当に優しいな。
「でも、アルが元に戻って本当に良かった。心配かけて本当にゴメンね。アルはおじいちゃんだから、心配し過ぎるとミイラみたいにやつれて干からびちゃうんだね。竜族は病気では滅多に死なないって聞いてたけど、わたし、アルが死んじゃうんじゃないかって思ってすごく怖かった。わたし、それで分かったの。これが番いの繋がりなんだって! アルもきっとこんな気持ちだったんだって。わたし、アルがとても大切なの。だから、お願い、無理は絶対しないでね!」
・・・・・・
「あ、そうだ! アルは年齢の事を気にして若作りしてるみたいだけど、わたし、そんなのちっとも気にしないよ? むしろ、おじいちゃんっ子だったからお年寄りの面倒をみるのは得意だし! 二人で仲良く暮らしていこうね!」
・・・・・・
突っ込みどころが満載で、どこから突っ込んでいけばよいのか分からない。
・・・・・・
えーとえーと、何だっけ? ショックのせいで頭も回らないようだ。
ローリーの言う通り、我は病気では死なないが、精神的ストレスによって死ぬかも知れない。
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