竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

文字の大きさ
56 / 144
魔法学校編

仲直り3

しおりを挟む
 おじいちゃん・・・
 
 どうやらローリーは我の事を年寄りだと思って、今まで介護をしてくれていたようである。

「アル? 急にどうしたの? 大丈夫?」

 あまりのショックに執務をほっぽり出して、寝室に引きこもってしまった我を心配して見に来たようだ。
 気にかけてくれるのはとても嬉しいが、それも介護の一環だと思うと気持ちは複雑である。
 黙っていると、ベッドの中で丸くなる我を上掛けの上からローリーが優しく抱きしめてくれる。

「竜王国の公表なんて、歴史を塗り替える大事変だもんね。上手くいかないことばかりなんでしょう? わたしが手伝えたらいいんだけど、こんな子供が出しゃばっていい問題じゃないし、どうしたらいいのかしら。不甲斐ない番いでごめんね、アル」

 ・・・・・・

 実のところ、ローリーが心配している竜王国の公表についての根回しは、かなり上手くいっている。
 はっきり言うと、上手くいかないのは、ローリーに関する事ばかりだ。

「どうしたら、元気になる? わたしに出来る事なら、何だってするわ。ねえ、アル、どうすればいい?」
 

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・


「なら、魔力を、ローリーの魔力を分けてくれるか?」

 上掛けから顔をちょびっと出して、ずっと想い焦れていたことを言ってみた。

「あ! そうよね! なんで気がつかなかったのかしら。元気の源と言えば魔力よね。もちろんいいわ。でも、どうやればいいの? いつも貰うばかりで、どうやってあげればいいのか分からないわ」

「我とローリーは番いだから、我を愛しいと、魔力を捧げたいと強く念じてくれれば、自然に魔力は流れると思う」

「分かった。やってみる」

 ローリーはすんなり了承した。
 魔力の交換は竜族にとって最上級の愛情表現である。
 魔力を差し出すことは、自分を差し出すことにかわりないからだ。

「え? いいのか?」

「もちろん。どうして? いつもアルがしてくれていることじゃない。えっと、じゃあ、アル、恥ずかしいから目を瞑って!」

「わ、分かった」

 緊張して思わず声が震える。
 ドキドキと期待を膨らましてローリーを待っていると、ゆっくり顔を近付けてくる気配がして、そうっと柔らかな唇が、押し付けられた。
 じっと待っていられなくて、閉じたまま押しつけられた唇を舌を伸ばしてぺろりと舐めた。

「アル!! じっとしていて!!」

「す、すまん、つい。だが、いくら番いでも、口を閉じたままでは、魔力は流れないぞ?」

「分かってるわよ! これから、そうしようと思ってたの! と、とにかく、じっとしててよ?!」

 赤くなってしどろもどろなローリーが、なんとも、あー、とんでもなくかわゆいぞ!
 我の中に情熱の炎がともったのを感じたが、必死にそれを押さえつけて平静を装った。
 弱ったじじいでないと、ローリーは魔力を分けてくれない気がするからな。

 じっと魔力が流れ込んでくるのを待つ。
 ローリーが口をゆっくり開けていき、小さな舌が我の唇を擽る。
 我はそれに応えるように口を開いて、唇をしっかり重ね合わせていく。
 舌を絡めたくなったが、またローリーに怒られるのは分かっていたし、集中して頑張っているローリーの邪魔をしてはいけない。
 と、一瞬爽やかな風が吹き抜けた。
 体が、頭が、雷に打たれたように痺れる。

 ああ、ローリーの魔力はなんと爽やかなんだろう。
 すがすがしい朝の光のように透明感があって、清廉で、眩しい。
 我を想う温かな気持ちや、芽吹いたばかりの甘い気持ちも感じられた。

 ローリーの頭を手で押さえ貪るように口に吸いつき、もっともっとと求めた。
 ああ、幸せに満たされていく。

 うっとりとローリーの魔力に酔いしれていると、口を離したローリーが我を窺い見る。

「ちゃんと渡せた? 途中までは上手く出来たと思ったんだけど。何故か途中から、逆にアルの方から流れて来て、渡せなくなっちゃった」

 ああ、ついに、ついに、魔力の交換を実現してしまった!
 落ち込んでいた気分は、今や天にも昇る心地である。

「ローリー、ありがとう!! 我もローリーが大好きだ! ローリーが同じ気持ちになってくれるまで、我はいくらだって待つ。いくらだって待てるぞ!」

 ローリーをぎゅうぎゅう抱きしめた。






「竜王様、ご機嫌ですね」
 
 フンフフン、つい鼻歌を口ずさんでしまうほど、浮かれていると自分でも思う。
 だが、ローリーにはあまり浮かれたところを見られぬようにしなければ。

 あれから、ローリーは我が疲れた顔をしていたり、難しい顔をしていたりすると、我をちょいちょいと手招きして物陰に連れて行き、魔力を分けてくれるようになった。
 だから、我は寂しくなると干からびたじじいの振りをする。
 すると、ローリーは我を優しく甘やかしてくれるのだ。
 体こそ重ねておらぬが、我とローリーの心はしっかりと結ばれておる。



 ローリーの休みが終わって、学校がまた始まった。
 いちゃラブ生活が出来なくなったのは寂しいが、学校への出禁は解けたのだから、また覗きに行けばよいのだ。
 真摯に魔法に向き合う凛々しいローリーの姿が見れるしな。
 優しいローリーも好きだが、強くて美しいローリーもなかなかに、すこぶる魅力的なのだ。

 ローリーの話では、あの子供は表彰式の前に消えてしまったらしい。
 邪魔者もおらぬ今、ゆっくり、じっくり、うっとり、ローリーを眺めようと学校に向かった。
 
 ローリーによると、アレは学校に憑いている座敷わらしで、悪さばかりするものだから懲らしめるためにローリーが一計を案じ、子分にしてやろうとしたら逃げて行ったそうだ。
 我が番いながら、あのような得体の知れないモノを子分にしようなど、なんと豪胆なと驚くばかりであるが、同じようにローリーに謀られた者としては、身につまされる思いがする。
 我はアレが嫌いだし、ローリーを攻撃したことも許してはおらぬが、少しばかり同情しなくもない。
 ローリーは容赦がないからな。

 ププ。
 とはいうものの、我を小馬鹿にしていたアレがローリーにいいようにあしらわれたかと思うと、またコレはコレでいい気味である。



「何でお前がいるのだ! 我のローリーから離れよ!」

 いないはずのモノがいた。
 思わず姿を晒して、ローリーの隣にへばり付いていたモノを引き剥がした。






しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

憧れの騎士さまと、お見合いなんです

絹乃
恋愛
年の差で体格差の溺愛話。大好きな騎士、ヴィレムさまとお見合いが決まった令嬢フランカ。その前後の甘い日々のお話です。

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

処理中です...