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恋人編
二人の関係1
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「あの! グローリアさん! 僕はハロルド=クラプトン、クラプトン子爵家の三男です。競技大会でグローリアさんの魔法を拝見して感銘を受けました! 僕は今まで不真面目だったけど、グローリアさんの魔法を見て目が覚めたんです。僕もグローリアさんのようになりたいって思いました。これからは心を入れ替えて頑張るつもりです!」
またか!
執務の合間にちょっとローリーの顔でも覗いて来ようと学校に転移してくれば、ローリーより少し年下と思われる中等科の少年が、ローリーに熱心に話しかけていた。
教室内はざわついていて、座っている生徒ばかりでなく、立ち歩いてお喋りしている生徒もいる様子から、どうやら今は授業中ではなく休憩時間らしい。
で、アイツはどこに行ったのだ!
きょろきょろ辺りを探しても教室の中に姿はなく、代わりにチラチラとローリーの様子を窺っている雄が数人目に入った。
隙あらば自分も声をかけたいと思っているに違いない。
新しい学期を迎えて、普段の学業成績や競技大会での実績が高く評価され、ローリーは飛び級をし中等科に進級した。
これは、競技大会を観覧していた王宮関係者の圧力も作用しているのではないかと思う。
早く卒業させて実践的に魔法使いとして働かせたいのだ。
我が危惧していたように、案の定ローリーは観ていた者達を、あらゆる意味において魅了してしまった。
実際、競技大会終了後、王宮の様々な部署の関係者がせっせと両親に接触してきている。
本当は本人に会いたいのだろうが、学校の寄宿舎には行きづらいだろうからな。
まずは両親を取り込み、外堀を埋めようという作戦なんだろう。
これは、優秀な者を真っ先に得るためにツバを付けておく、いわゆる青田買いだ。
おいしい条件をちらつかせて釣るつもりなのだろうが・・・ププ、何をしようが、無駄な努力だがな!
もう既にローリーは我のツバまみれで、他のツバが入る余地など、これっぽっちもない。
おまけに言うなら、顔の傷だって舐めて治してやったばかりだし!
だが、青田買いの他にも、求婚の申し込みやローリーの能力を利用したい者が面会に来たりして、腹立たしく鬱陶しいことに変わりはない。
だが、まぁ、このような輩は権力にモノを言わせて追い払えばよいのだ。
「それで、あの、グローリアさんにご教示をお願いしたくて」
我は結界の内側から、発せられた言葉の真意を見定めるべく目を眇めて、この前にいる若い雄を注視する。
そう、権力でどうにでもなる大人は問題ない。
困るのはこ奴のような、ローリーに憧憬を抱き、純粋な子供のフリをして近づいてくる年若い雄どもだ。
ローリーもあからさまに言い寄ってくる年長者には、警戒もするし手厳しいのだが、魔法使いであるローリーを慕ってくる弟のような年若い相手には、将来有望な魔法使い候補なのだからと優しく接する。
ローリーは全く男心を分かっておらんのだ。
憧憬は淡い恋心のようなもの、優しくすればつけ上がり、恋心は強い恋情へ、そして下心を伴った情熱へと簡単にシフトチェンジしてしまう。
「ハロルド君、ありがとう! そう言って貰えて嬉しいわ。わたしもまだ勉強中の身だけれど、わたしで良ければ、」
「ちょっと待って! ああ、親分、親分が直々教えることないよ。こういうのは子分の僕に任せて?」
やきもきしていれば、やっとアイツが戻って来て二人の間に割り込んだ。
「ね、キミ、僕が代わりにたっぷりご教示してやるから、安心していいよ?」
「え? あの、僕は、」
「僕じゃあ不服なの?」
「・・・・・・」
「あの、ハロルド君、ティムは見た目は小さいけど、魔法の腕は確かなのよ? 心配いらないわ。共に素晴らしい魔法使いになれるように頑張りましょうね!」
「・・・・・・」
少年はがっくりと肩を落とし、礼を言うと立ち去って行った。
男女を問わず、年少者ほどこの傾向は強いが、ローリーはハイネケン魔法学校の生徒の魔法や学業に対する意識を、競技大会以降衝撃的に一変させた。
ローリーの魔法に感銘を受けた生徒が多いこの中等科の授業では、真剣に取り組む者が格段に増え、ティムのご教示とやらの効果?なのか、能力の向上も著しい。
中等科への飛び級を果たしたのは、ローリーだけでなく他にも数名いて、その中にはこの子供、ティムも含まれていた。
ローリーにべったりくっ付いているティムを見た時には、追い払う気まんまんだった。
だが、やめた。
一番の理由は、まさにコレである。
ローリーに群がってくる若い雄どもを追い払う存在が必要だったのだ。
今までその役目を果たしていたディーンは初等科に残り、常にローリーの側に居て守ることがかなわなくなってしまった。
黒い呪いもローリーにばれてしまった以上続けることも出来ず、困っておったところにティムが自分なら簡単に追い払えると申し出て来たのだ。
胡散臭いヤツではあるが利害は一致して、ローリーの親分・子分の契約は有効であるから、危害を加えることもないだろうと、見逃している。
授業が始まり、きりりとした真剣な眼差しで講義を聴き入るローリーを眺めながら、先日の真夜中のお出かけデートについて思いを馳せた。
あの月夜の晩は、かなり甘い雰囲気になって、絶対にイケた!と思ったのだがなぁ。
幻想的な月光が明るい陽光に変化するのに伴って、月の女神だったローリーは、翌朝にはすっかり塩に戻っていた。
我とローリーの関係は、互いに番いと認識してはいるものの真の意味では番っておらぬゆえ、まだ番いではないし、その上、ローリーは、我を番いとして大切に想ってくれている事は確かだが、どうにも、番い=家族のように我を認識している感が否めない。
ローリーがその気になるまでじっくり待つつもりであったが、有象無象の輩がローリーに様々な思惑を持って群がってくる状況においては、悠長な事を言ってはおれん。
中にはローリーを言葉巧みに騙し、欺き、隙をついて我の元から掠奪しようとする者が現れぬとも限らんしな。
どうにかせねばと思案するも、良い考えは浮かばず、ここはティムに任せて、執務に戻る事にした。
またか!
執務の合間にちょっとローリーの顔でも覗いて来ようと学校に転移してくれば、ローリーより少し年下と思われる中等科の少年が、ローリーに熱心に話しかけていた。
教室内はざわついていて、座っている生徒ばかりでなく、立ち歩いてお喋りしている生徒もいる様子から、どうやら今は授業中ではなく休憩時間らしい。
で、アイツはどこに行ったのだ!
きょろきょろ辺りを探しても教室の中に姿はなく、代わりにチラチラとローリーの様子を窺っている雄が数人目に入った。
隙あらば自分も声をかけたいと思っているに違いない。
新しい学期を迎えて、普段の学業成績や競技大会での実績が高く評価され、ローリーは飛び級をし中等科に進級した。
これは、競技大会を観覧していた王宮関係者の圧力も作用しているのではないかと思う。
早く卒業させて実践的に魔法使いとして働かせたいのだ。
我が危惧していたように、案の定ローリーは観ていた者達を、あらゆる意味において魅了してしまった。
実際、競技大会終了後、王宮の様々な部署の関係者がせっせと両親に接触してきている。
本当は本人に会いたいのだろうが、学校の寄宿舎には行きづらいだろうからな。
まずは両親を取り込み、外堀を埋めようという作戦なんだろう。
これは、優秀な者を真っ先に得るためにツバを付けておく、いわゆる青田買いだ。
おいしい条件をちらつかせて釣るつもりなのだろうが・・・ププ、何をしようが、無駄な努力だがな!
もう既にローリーは我のツバまみれで、他のツバが入る余地など、これっぽっちもない。
おまけに言うなら、顔の傷だって舐めて治してやったばかりだし!
だが、青田買いの他にも、求婚の申し込みやローリーの能力を利用したい者が面会に来たりして、腹立たしく鬱陶しいことに変わりはない。
だが、まぁ、このような輩は権力にモノを言わせて追い払えばよいのだ。
「それで、あの、グローリアさんにご教示をお願いしたくて」
我は結界の内側から、発せられた言葉の真意を見定めるべく目を眇めて、この前にいる若い雄を注視する。
そう、権力でどうにでもなる大人は問題ない。
困るのはこ奴のような、ローリーに憧憬を抱き、純粋な子供のフリをして近づいてくる年若い雄どもだ。
ローリーもあからさまに言い寄ってくる年長者には、警戒もするし手厳しいのだが、魔法使いであるローリーを慕ってくる弟のような年若い相手には、将来有望な魔法使い候補なのだからと優しく接する。
ローリーは全く男心を分かっておらんのだ。
憧憬は淡い恋心のようなもの、優しくすればつけ上がり、恋心は強い恋情へ、そして下心を伴った情熱へと簡単にシフトチェンジしてしまう。
「ハロルド君、ありがとう! そう言って貰えて嬉しいわ。わたしもまだ勉強中の身だけれど、わたしで良ければ、」
「ちょっと待って! ああ、親分、親分が直々教えることないよ。こういうのは子分の僕に任せて?」
やきもきしていれば、やっとアイツが戻って来て二人の間に割り込んだ。
「ね、キミ、僕が代わりにたっぷりご教示してやるから、安心していいよ?」
「え? あの、僕は、」
「僕じゃあ不服なの?」
「・・・・・・」
「あの、ハロルド君、ティムは見た目は小さいけど、魔法の腕は確かなのよ? 心配いらないわ。共に素晴らしい魔法使いになれるように頑張りましょうね!」
「・・・・・・」
少年はがっくりと肩を落とし、礼を言うと立ち去って行った。
男女を問わず、年少者ほどこの傾向は強いが、ローリーはハイネケン魔法学校の生徒の魔法や学業に対する意識を、競技大会以降衝撃的に一変させた。
ローリーの魔法に感銘を受けた生徒が多いこの中等科の授業では、真剣に取り組む者が格段に増え、ティムのご教示とやらの効果?なのか、能力の向上も著しい。
中等科への飛び級を果たしたのは、ローリーだけでなく他にも数名いて、その中にはこの子供、ティムも含まれていた。
ローリーにべったりくっ付いているティムを見た時には、追い払う気まんまんだった。
だが、やめた。
一番の理由は、まさにコレである。
ローリーに群がってくる若い雄どもを追い払う存在が必要だったのだ。
今までその役目を果たしていたディーンは初等科に残り、常にローリーの側に居て守ることがかなわなくなってしまった。
黒い呪いもローリーにばれてしまった以上続けることも出来ず、困っておったところにティムが自分なら簡単に追い払えると申し出て来たのだ。
胡散臭いヤツではあるが利害は一致して、ローリーの親分・子分の契約は有効であるから、危害を加えることもないだろうと、見逃している。
授業が始まり、きりりとした真剣な眼差しで講義を聴き入るローリーを眺めながら、先日の真夜中のお出かけデートについて思いを馳せた。
あの月夜の晩は、かなり甘い雰囲気になって、絶対にイケた!と思ったのだがなぁ。
幻想的な月光が明るい陽光に変化するのに伴って、月の女神だったローリーは、翌朝にはすっかり塩に戻っていた。
我とローリーの関係は、互いに番いと認識してはいるものの真の意味では番っておらぬゆえ、まだ番いではないし、その上、ローリーは、我を番いとして大切に想ってくれている事は確かだが、どうにも、番い=家族のように我を認識している感が否めない。
ローリーがその気になるまでじっくり待つつもりであったが、有象無象の輩がローリーに様々な思惑を持って群がってくる状況においては、悠長な事を言ってはおれん。
中にはローリーを言葉巧みに騙し、欺き、隙をついて我の元から掠奪しようとする者が現れぬとも限らんしな。
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