竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

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外伝 レオンハルト編

レオンハルト=シュヴァイツという男(りゅう)

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「浮かれ過ぎだ!」

  レオンは俺の忠告を聞いて、宿屋を飛び出していった。
  状況把握が得意で世渡り上手なあいつにしては、おかしな行動ばかりとって、番いに嫌われていた。
  どうにも竜族というものは、番いを前にすると冷静な判断が出来なくなるようだ。

  俺達兄弟は母上から、厳しい教育を受けて育った。
  一つは魔法教育だ。
  俺達はハーフだから、生粋の竜族とは異なり本能では魔法が使えないため、後天的に学ぶ必要がある。
  竜族なのに魔法が使えないなど、悲劇のなにものでもないが、母上自身がかなり優秀な魔法使いであるため、俺達に求める水準が高くて本当に大変だった。

  もう一つは、人間の習性や人間社会に関する幅広い知識なのだが、これは、竜族が最優先にする番いを人間にも求めるようになったからだ。
  竜族は人型をとれば人間そっくりになれるけれど、やはり種族が違うせいで習性は異なる。

  人間を番いに持つようになった今でこそ、集団で暮らすようになったが、元来竜族は巣立って独立すれば単独で行動し、番いと出会えば番いと一生を共にする。
  だから、竜族が一番大切なのは番いであって、親でも子でもない。
  だが、人間はそうではない。
  集団での生活を好み、家族の繋がりは強く、仲間に対する愛情も深い。

  三女ダイアナの番いは、オーティス国におけるたった一人の世継ぎの王子だった。
  国を背負う王族ともなれば、立場や義務を放棄して番いだけを選択する事は難しい。
  また、王子には既に隣国の王女である婚約者がいて、結婚する直前に二人は出会ってしまった。
  年若く純粋で誠実な王子の苦悩は計り知れないもので、それを間近で見ていたダイアナも苦しんだ。
  だが、出会ってしまった以上、二人はもう離れられない。
  追い詰められたダイアナは母上に助けを求め、結果として、三つの国を巻き込んだ様々な問題は母上の政治手腕によって丸く収められた。

  それ以来俺達は、人間の番いを愛し守りたければ番い自身だけでなく、番いが大切にしているもの全てを愛する努力をせよとの教えを受ける事になる。
  そして、それを実行するためには、魔法はもちろん幅広い知識と強い力を身に付けなければならないと、母上は俺達をしごきまくった。

  しかし今現在、番いが見付かっているのは、長男のゼファイドと三女のダイアナの二人だけ。
  黒竜の血を引く俺達は、魔力が強過ぎるせいか、対になる魔力を持つ番いが見付かりにくいみたいだ。
  俺など、視察という名の番い探しの旅をもう何度もしているのに、その気配すら感じない。

  なのに、兄弟の9番目の末っ子であるレオンが見付けやがった!
  生意気で甘ったれの、あのチビ助に!
  次兄である俺を差し置いて! 俺の半分も生きていないのに! 
  信じられない! 信じたくない! なんと理不尽な世の中だ!

  とは思うものの、俺もレオンには甘いな。
  もうしばらくの間だけ一緒にいてくれと泣きつかれて、視察を遂行しながらでも、ポルト国に滞在してやってるのだから。
  これが三男のルド相手なら、甘えるな!と蹴り飛ばしていただろう。
  夜になって宿に戻ると、レオンが俺の帰りを待ち構えていた。




  俺は今、レオンに頼まれて、フローラ嬢の誕生パーティーに潜入するために、王都にあるオルランド侯爵邸の前までやって来ている。

  レオン曰わく、求婚は全く上手くいっておらず、フローラ嬢に付きまとわないで欲しいとはっきり拒否られたとか。
  もちろん振られたからといって、諦めるわけにも離れるわけにもいかないので、作戦を変えると言った。

 『フローラは爬虫類が好きなんだ。実家にいた時にはトカゲを何匹も飼っていたらしい。だから、この姿ならフローラは絶対に食いつくと思う。兄上、俺、可愛いだろう?』

  フローラ嬢に自分を売り込んでくれと頼まれた。
  しばらくは、傍でフローラ嬢を見守り観察しながら、次の手を考える計画らしい。

 「ふーん、それは面白そうだな」

  レオンは皆に可愛がられて育ったから、ひねくれたところがなくて、明るく素直な性格だ。
  そしてもう一つ、レオンの一番の特徴であり、美点はこの柔軟性。
  一つの方法に固執しないで、あらゆる方向からの視点で考え、柔軟に対応していく。
  この発想もユニークでレオンらしい。
  まぁ、レオンじゃなきゃ、そもそも無理な話だがな。
  俺達他の兄弟だって変化魔法は使えるけど、せいぜい別の人間になるくらい。
  というか、他の生き物になろうなどと考えた事がない。必要もないしな。
  だが、レオンの様々な生き物の姿になれる変化魔法は、特筆に値するほど秀逸だ。



 『兄上、ちょっとこれはやり過ぎだよ。ひょっとして遊んでない?!』

  手のひらサイズになった鮮やかな緑色のカメレオンのレオンの首に大きな赤いリボンを結んでやった。
  緑に赤が映えて、なかなか可愛いではないか。

 「プレゼントなんだから、リボンは必要だろう? それによく似合っているぞ」

  ニヤニヤして茶化してやると、カメレオンの目玉がぐるりと一回転し、ジト目になった。
  へー、表情も案外豊かだな。

  円錐形に飛び出した大きな目はひょうきんだし、くるくると巻かれた尻尾やふた股に分かれた手足の指は愛嬌があって確かに愛らしい。
  爬虫類が好きなフローラ嬢ならば、きっと気に入ることだろう。

  だが、番いの愛を勝ち取るまでには、まだまだ道のりが長そうだ。
  レオンにエールを送るつもりで声をかけた。

 「行くぞ」



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