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外伝 レオンハルト編
ルカテリーナ=バークレイという麗人(あにうえ)1
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俺がやり過ぎだと言ったのは、リボンを付けられた事じゃない。
兄上が金髪碧眼の、泣きボクロ付きの、色っぽい男装の麗人に変化をしたからだ。
髪や瞳の色、面影を変えるのは分かる。
兄弟だから、特に俺達9人兄弟はよく似ているから、付きまとっていた俺に似ているとなると何がしか警戒される可能性がある。
だけど、性別まで変えなくてもよくね?
ゼッタイ他人事だと思って、ノリノリで遊んでるに違いないと思った。
完敗だ。
今、目の前で繰り広げられた光景を見る限り、俺は間違っていた。
兄上が女性に変化してから今に至るまでの言動や行動は、たまたまそうしたように見えてたけど、実際は全て計算してやっていたのだ。
兄上の目的とする着地点へと、知らず知らずのうちに導かれている。
それを証拠に邪魔な男達を蹴散らし、フローラの信頼をばっちり勝ち得て、今日会ったばかりだというのにもう親友の座をもぎ取っている。
確かに考えてみれば、男嫌いのフローラが見ず知らずの男の言うことなどに、耳を貸すわけがなかった。
兄上の見事な手腕を目の当たりにして、ぐうの音も出ない。
フローラの誕生パーティーは、南国特有の大きな花があちこちで華やかに咲き誇っていて美しい、オルランド邸の前庭園で開かれていた。
軽やかな音楽が流れ、ダンスをしたり、用意されている軽食をつまんだり、談笑したりと出席者は思い思いにくつろいでいる。
主役のフローラには、既にプレゼントを渡して挨拶を済ませている人達に違いない。
俺は兄上の上着のポケットからちょこんと顔を出して、目をぐるぐる動かしてフローラの居場所を探す。
若い男が多いな。
婿候補というわけか。
男達に囲まれているフローラを見付けた。
掃き溜めに鶴のように、フローラだけが美しく輝いていた。
その顔が心なしか青ざめて、歪んで見えたとしても。
『ドレス姿のフローラはなんて綺麗なんだろう! ねぇ、兄上』
「お前なぁ、色ボケも大概にしとけよ」
兄上は俺に呆れたというような溜め息を吐くと、颯爽とフローラの元に歩いて行く。
はぁ? なんで叱られてんの俺? ただ、フローラが綺麗だって言っただけじゃん!
自分に番いがいないからって、妬かないでもらいたいんだけど!
心の中で兄上にブーたれていれば、兄上がフローラに近付くにつれて、不穏な言葉が途切れ途切れに耳に入ってくる。
「裏切り者の娘のくせに、お高くとまりやがって。美人をハナにかけてるのかも知れないが、貴族としてはとうに売れ残りだ。そんなお前のところに婿に来てやろうっていうんだ、有り難く受けろよ」
「おい、フローラ嬢に失礼だろう。フローラ嬢、あなたはとても美しい。私は年齢など気にしませんよ。是非、私を選んで下さい。私が婿に入ったら、あなたに代わって、このオルランド侯爵家を必ず盛り立てて差し上げます。女性のあなたは家に入り、跡継ぎの子供を生んで下されば良いのです」
「だいたい侯爵家とはいえ、」
な、
驚いてフローラを近くでよく見れば、蛇のような男達にねっとりと絡みつかれ、哀れにも小動物のように怯え身動きすらままならぬ様子で追い詰められていた。
「ちょっと、失礼。そこな下郎、どいて下さる?」
兄上がフローラを囲んでいる男達を掻き分け、というか強引に引き剥がし、フローラの前に辿り着く。
「あ、おい、何をするんだ」「うわぁ」「やめろ」「おい、失礼だろう」「うぎゃっ」
フローラは、囲んでいた男達をぽいぽいと投げ捨てた兄上に驚いて、目を丸くして固まっている。
兄上はにっこり笑って、フローラの前で剣士の礼を取る。
「お初にお目にかかります。私はオーティス国王妃、ダイアナ様に仕えるルカテリーナ=バークレイと申します」
フローラや周りの人間に己の身分を証明するように、オーティス国の紋章で飾られた剣を掲げた。
「あなたと同じ魔法剣士よ。女性の魔法剣士が居るって小耳に挟んで、それなら挨拶でもしていこうかしらと思って。いけなかったかしら?」
「い、いいえ! 突然だったから驚いたけど、来て下さって嬉しいわ。女性でありながら魔法剣士として王妃様にお仕えしてるなんて、素晴らしいわ。私とは違って、きっとあなたは優秀な魔法剣士なのね」
フローラは、自嘲と憧れと羨望が混じった眼差しを兄上に向けた。
「まぁ、そうね。うふっ」
そして、呆然と立ち尽くす周りの男達を無視して、兄上はフローラと二人できゃあきゃあお喋りに花を咲かせたのだった。
兄上ってば、俺の事もすっかり忘れてない?
兄上が金髪碧眼の、泣きボクロ付きの、色っぽい男装の麗人に変化をしたからだ。
髪や瞳の色、面影を変えるのは分かる。
兄弟だから、特に俺達9人兄弟はよく似ているから、付きまとっていた俺に似ているとなると何がしか警戒される可能性がある。
だけど、性別まで変えなくてもよくね?
ゼッタイ他人事だと思って、ノリノリで遊んでるに違いないと思った。
完敗だ。
今、目の前で繰り広げられた光景を見る限り、俺は間違っていた。
兄上が女性に変化してから今に至るまでの言動や行動は、たまたまそうしたように見えてたけど、実際は全て計算してやっていたのだ。
兄上の目的とする着地点へと、知らず知らずのうちに導かれている。
それを証拠に邪魔な男達を蹴散らし、フローラの信頼をばっちり勝ち得て、今日会ったばかりだというのにもう親友の座をもぎ取っている。
確かに考えてみれば、男嫌いのフローラが見ず知らずの男の言うことなどに、耳を貸すわけがなかった。
兄上の見事な手腕を目の当たりにして、ぐうの音も出ない。
フローラの誕生パーティーは、南国特有の大きな花があちこちで華やかに咲き誇っていて美しい、オルランド邸の前庭園で開かれていた。
軽やかな音楽が流れ、ダンスをしたり、用意されている軽食をつまんだり、談笑したりと出席者は思い思いにくつろいでいる。
主役のフローラには、既にプレゼントを渡して挨拶を済ませている人達に違いない。
俺は兄上の上着のポケットからちょこんと顔を出して、目をぐるぐる動かしてフローラの居場所を探す。
若い男が多いな。
婿候補というわけか。
男達に囲まれているフローラを見付けた。
掃き溜めに鶴のように、フローラだけが美しく輝いていた。
その顔が心なしか青ざめて、歪んで見えたとしても。
『ドレス姿のフローラはなんて綺麗なんだろう! ねぇ、兄上』
「お前なぁ、色ボケも大概にしとけよ」
兄上は俺に呆れたというような溜め息を吐くと、颯爽とフローラの元に歩いて行く。
はぁ? なんで叱られてんの俺? ただ、フローラが綺麗だって言っただけじゃん!
自分に番いがいないからって、妬かないでもらいたいんだけど!
心の中で兄上にブーたれていれば、兄上がフローラに近付くにつれて、不穏な言葉が途切れ途切れに耳に入ってくる。
「裏切り者の娘のくせに、お高くとまりやがって。美人をハナにかけてるのかも知れないが、貴族としてはとうに売れ残りだ。そんなお前のところに婿に来てやろうっていうんだ、有り難く受けろよ」
「おい、フローラ嬢に失礼だろう。フローラ嬢、あなたはとても美しい。私は年齢など気にしませんよ。是非、私を選んで下さい。私が婿に入ったら、あなたに代わって、このオルランド侯爵家を必ず盛り立てて差し上げます。女性のあなたは家に入り、跡継ぎの子供を生んで下されば良いのです」
「だいたい侯爵家とはいえ、」
な、
驚いてフローラを近くでよく見れば、蛇のような男達にねっとりと絡みつかれ、哀れにも小動物のように怯え身動きすらままならぬ様子で追い詰められていた。
「ちょっと、失礼。そこな下郎、どいて下さる?」
兄上がフローラを囲んでいる男達を掻き分け、というか強引に引き剥がし、フローラの前に辿り着く。
「あ、おい、何をするんだ」「うわぁ」「やめろ」「おい、失礼だろう」「うぎゃっ」
フローラは、囲んでいた男達をぽいぽいと投げ捨てた兄上に驚いて、目を丸くして固まっている。
兄上はにっこり笑って、フローラの前で剣士の礼を取る。
「お初にお目にかかります。私はオーティス国王妃、ダイアナ様に仕えるルカテリーナ=バークレイと申します」
フローラや周りの人間に己の身分を証明するように、オーティス国の紋章で飾られた剣を掲げた。
「あなたと同じ魔法剣士よ。女性の魔法剣士が居るって小耳に挟んで、それなら挨拶でもしていこうかしらと思って。いけなかったかしら?」
「い、いいえ! 突然だったから驚いたけど、来て下さって嬉しいわ。女性でありながら魔法剣士として王妃様にお仕えしてるなんて、素晴らしいわ。私とは違って、きっとあなたは優秀な魔法剣士なのね」
フローラは、自嘲と憧れと羨望が混じった眼差しを兄上に向けた。
「まぁ、そうね。うふっ」
そして、呆然と立ち尽くす周りの男達を無視して、兄上はフローラと二人できゃあきゃあお喋りに花を咲かせたのだった。
兄上ってば、俺の事もすっかり忘れてない?
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