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外伝 レオンハルト編
グレンの呟き
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「お前随分偉そうだけど、いくつなんだよ?」
「レノルドなんて遠い所から、なんでポルトに来たんだ?」
「兄弟はいるのか? やっぱり皆魔法使いなのか?」
隊長は、ハルを約束通り、私的に雇ったレノルド出身の優秀な魔法使いだと紹介した。
班の連中は、突然仲間入りして来た他国出身の魔法使いに興味深々だ。
ハルには助けてもらってるし、何よりあの小さい身体で己の身の丈はあろうかという大剣で魔獣を一刀両断にした腕前を目にすれば、どのような人物か興味がわくのもしようがないとは思うが。
それに、最近はレオンの影響を受けてか、魔法にも慣れてきたしな、忌避感も薄まっている。
「偉そうなのは当たり前だ。149歳だからな。俺はお前達の何倍も生きている人生の先輩だ。なんでポルトに来たのかは、たまたまだな。故郷の国には簡単に出入り出来ない結界が張られていてな、特に成人しない者は一人では国から出られないんだ。でも、俺は国でじっとしてるのに飽き飽きしてたし、母上に魔法の課題ばっか出されるのにもうんざりしてて、どうしても国を抜け出したかったから、旅に出る兄上にくっ付いて国を出たんだ。そしたら、フローラが旅の途中のポルトにいた。俺は一目でフローラが俺の運命の相手だと分かった。それで、兄上とは別れて、俺だけここに残ったんだ。フローラからは離れられないから、仕方がない。兄弟は上に8人いる。俺は一番下の末っ子だ。家族全員魔法は使える。以上だ」
「「「・・・・・・」」」
・・・・・・
ハルは至極真面目な表情で、尋ねた全ての質問に一つ一つ生真面目に答えてくれたようだが、俺にはよく理解が出来なかった。
年は、本当の年を言って、好きな女に子供だと思われるのが嫌だったんだろう。
俺も男だ。気持ちは分からなくもない。
「149って、」
だから、俺は突っ込みを入れようとしたデュオルクの足を蹴飛ばして、小声でここはスルーしてやれと諭した。
デリカシーのない奴は、これだからいかん。
俺のように、若者の心の機微を汲み取ってやれるのが、スマートな洗練された大人の男というものだ。
で、ハルのさっきの話はつまり、兄ちゃんと一緒に旅に出たが、その途中でフローラに一目惚れして、ストーカーになったということだ。
だから、俺は心配りが出来る優しいスマートな大人として、そこらへんは避けて無難なところを話題にした。
「ははは、9人兄弟か、貴族なのに随分子沢山なんだな」
政略結婚の多い貴族は、跡取りとその跡取りが駄目になった時のスペアとしてもう一人、大抵二人の子供を義務として持つ事が多い。
そして、その義務を果たした後は、男も女も愛人を作って恋愛を楽しむと聞く。
そんな者が多い中、珍しくハルの両親は仲が良いようだ。
「ああ、父上は母上が大好きだからな。それに子煩悩で、俺達は全員、父上の肩の上で育ててもらったんだ」
「そうか、俺も小さい頃はよく親父の肩に登って遊んだよ」
「だがな、六番目と七番目の間はあんまり年数が開いてなくて、仕方がないから六番目の姉上はまだ小さいのに無理やり肩から下ろされてしまったらしい。今でもその事を根に持ってて、何かというと引き合いに出してブーブー文句を言ってるよ」
「兄弟で取り合いか、俺にも弟がいるからよく分かるよ」
ハルは懐かしげに愛情のこもった眼差しをして、故郷の家族の話をした。
そして、その時のハルは、いつもの年齢に見合わない偉ぶった口調ではなく、すっかり家族の末っ子としてのハルに戻っていた。
すると、横から遠慮がちにデュオルクがハルに話し掛ける。
「なぁ、今日はあの大剣は持ってないのか?」
「ああ、俺も聞きたかったんだ。もう一度見たいと思って!」
俺も俺もと言う仲間達に、実のところ俺もこいつのあの大剣は気になっていた。
剣士であれば、あのように見事な大ぶりの剣に興味を持たないはずがない。
「持っているぞ」
ハルが言った途端、その手にはあの剣が握られていた。
「「「「おおおおおぉぉぉぉぉー!!!!!」」」」
「ちょっと、持たせてくれ!」
「「「俺も俺も!」」」
「重いぞ。気を付けろよ」
「すげぇ!」「うぉぉ!」「かっけぇー!」
皆は嬉々として大剣を手にして、大喜びだ。
俺も後で持たせてもらおう。
「すごいね! あんなに大きな剣、初めて見たかも! 魔法で軽くして振るの?」
「いや、あれは俺の魔力で作られたものだから、俺は自分の手足のように扱えるよ」
ハルとフローラは仲良く話をしている。
恋人同士というよりは、弟と姉みたいな感があるのは否めないが。
だが、相手はあのフローラなのだから、結構善戦してるんじゃないか?
ハルはストーカーだが、ストーキングされてる張本人のフローラが嫌がっていないのだから、まぁ、放置でいいだろう。
ハルは若いがなかなかの男だし、そんな男にこれだけ惚れられたら、さすがのフローラも絆されるかも知れないしな。
フローラには、今まで不幸だった分幸せになって欲しい。
「レノルドなんて遠い所から、なんでポルトに来たんだ?」
「兄弟はいるのか? やっぱり皆魔法使いなのか?」
隊長は、ハルを約束通り、私的に雇ったレノルド出身の優秀な魔法使いだと紹介した。
班の連中は、突然仲間入りして来た他国出身の魔法使いに興味深々だ。
ハルには助けてもらってるし、何よりあの小さい身体で己の身の丈はあろうかという大剣で魔獣を一刀両断にした腕前を目にすれば、どのような人物か興味がわくのもしようがないとは思うが。
それに、最近はレオンの影響を受けてか、魔法にも慣れてきたしな、忌避感も薄まっている。
「偉そうなのは当たり前だ。149歳だからな。俺はお前達の何倍も生きている人生の先輩だ。なんでポルトに来たのかは、たまたまだな。故郷の国には簡単に出入り出来ない結界が張られていてな、特に成人しない者は一人では国から出られないんだ。でも、俺は国でじっとしてるのに飽き飽きしてたし、母上に魔法の課題ばっか出されるのにもうんざりしてて、どうしても国を抜け出したかったから、旅に出る兄上にくっ付いて国を出たんだ。そしたら、フローラが旅の途中のポルトにいた。俺は一目でフローラが俺の運命の相手だと分かった。それで、兄上とは別れて、俺だけここに残ったんだ。フローラからは離れられないから、仕方がない。兄弟は上に8人いる。俺は一番下の末っ子だ。家族全員魔法は使える。以上だ」
「「「・・・・・・」」」
・・・・・・
ハルは至極真面目な表情で、尋ねた全ての質問に一つ一つ生真面目に答えてくれたようだが、俺にはよく理解が出来なかった。
年は、本当の年を言って、好きな女に子供だと思われるのが嫌だったんだろう。
俺も男だ。気持ちは分からなくもない。
「149って、」
だから、俺は突っ込みを入れようとしたデュオルクの足を蹴飛ばして、小声でここはスルーしてやれと諭した。
デリカシーのない奴は、これだからいかん。
俺のように、若者の心の機微を汲み取ってやれるのが、スマートな洗練された大人の男というものだ。
で、ハルのさっきの話はつまり、兄ちゃんと一緒に旅に出たが、その途中でフローラに一目惚れして、ストーカーになったということだ。
だから、俺は心配りが出来る優しいスマートな大人として、そこらへんは避けて無難なところを話題にした。
「ははは、9人兄弟か、貴族なのに随分子沢山なんだな」
政略結婚の多い貴族は、跡取りとその跡取りが駄目になった時のスペアとしてもう一人、大抵二人の子供を義務として持つ事が多い。
そして、その義務を果たした後は、男も女も愛人を作って恋愛を楽しむと聞く。
そんな者が多い中、珍しくハルの両親は仲が良いようだ。
「ああ、父上は母上が大好きだからな。それに子煩悩で、俺達は全員、父上の肩の上で育ててもらったんだ」
「そうか、俺も小さい頃はよく親父の肩に登って遊んだよ」
「だがな、六番目と七番目の間はあんまり年数が開いてなくて、仕方がないから六番目の姉上はまだ小さいのに無理やり肩から下ろされてしまったらしい。今でもその事を根に持ってて、何かというと引き合いに出してブーブー文句を言ってるよ」
「兄弟で取り合いか、俺にも弟がいるからよく分かるよ」
ハルは懐かしげに愛情のこもった眼差しをして、故郷の家族の話をした。
そして、その時のハルは、いつもの年齢に見合わない偉ぶった口調ではなく、すっかり家族の末っ子としてのハルに戻っていた。
すると、横から遠慮がちにデュオルクがハルに話し掛ける。
「なぁ、今日はあの大剣は持ってないのか?」
「ああ、俺も聞きたかったんだ。もう一度見たいと思って!」
俺も俺もと言う仲間達に、実のところ俺もこいつのあの大剣は気になっていた。
剣士であれば、あのように見事な大ぶりの剣に興味を持たないはずがない。
「持っているぞ」
ハルが言った途端、その手にはあの剣が握られていた。
「「「「おおおおおぉぉぉぉぉー!!!!!」」」」
「ちょっと、持たせてくれ!」
「「「俺も俺も!」」」
「重いぞ。気を付けろよ」
「すげぇ!」「うぉぉ!」「かっけぇー!」
皆は嬉々として大剣を手にして、大喜びだ。
俺も後で持たせてもらおう。
「すごいね! あんなに大きな剣、初めて見たかも! 魔法で軽くして振るの?」
「いや、あれは俺の魔力で作られたものだから、俺は自分の手足のように扱えるよ」
ハルとフローラは仲良く話をしている。
恋人同士というよりは、弟と姉みたいな感があるのは否めないが。
だが、相手はあのフローラなのだから、結構善戦してるんじゃないか?
ハルはストーカーだが、ストーキングされてる張本人のフローラが嫌がっていないのだから、まぁ、放置でいいだろう。
ハルは若いがなかなかの男だし、そんな男にこれだけ惚れられたら、さすがのフローラも絆されるかも知れないしな。
フローラには、今まで不幸だった分幸せになって欲しい。
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