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スクールカースト1
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「ね、大和くん、ネットいじめって知ってる?」
きたよ。
やっぱり、見逃してくれなかった。
学校からの帰り道、いつものように愛美のカバンを持って隣を歩いていると、唐突に避ける間もなく聞かれた。
「そりゃまぁ、・・・な」
やっと青木の件が、うまい具合に落ち着いたところなのに。
なんでこう、じっとしていられないのかな、コイツは!
うちのクラスには、保健室登校している女がいる。
二年の終わりにネットいじめを受けて、不登校になった。
未遂に終わったらしいけど、自殺を図ったとの噂もある。
「愛美、俺何度も忠告してるよな?! 平和に学校生活を送りたかったら、他グループの友人関係に手を出すなって! 青木の件は上手い方向に転がったから良かったようなものの、下手すりゃ余計に拗れるんだぞ。そうなったら、責任とれねーだろ!」
大人しい青木は相変わらずクラスの弄られ役ではあるけれど、河合の態度が変わった事で、からかいも蔑むようなものではなくなり、逆に酷く馬鹿にするクラスメイトがいれば、河合が止めている。
元から青木は河合が好きだったから、きっと嬉しいに違いない。
だがこれは、ひとえに河合がいい奴だったから、上手くいったに過ぎない。
河合の出方によっては、青木はグループから弾かれて、ぼっち決定。
青木は河合と同じサッカー部だから、クラスで孤立するだけでなく、部活でも仲間はずれの憂き目に遭うところだった。
「うーん、でも、青木くんが楽しんでるとは思えなかったんだもん。せっかく学校に来ているのに、もったいないでしょう?」
・・・・・・
そーなんだよ。
コレなんだよ。
俺がコイツに強く言えないのは、コレのせいなんだよ。
愛美のズレた感覚は、病気のせいで、ずっと満足に学校に通えなかったせいだ。
寂しい闘病生活を送っていた愛美にとって、焦がれた学校は友達がたくさんいて、楽しいところでなければならない。
なんつーか、病院での妄想期間が長かったせいで、頭ん中がお花畑に病んじまったんだなぁ。
愛美のユートピアでは、みんな幸せなのだ。
哀れな花畑の住人の愛美に、現実を付き付けるのは不憫だと黙っていたのだが。
俺の力にも限界があるしな、やはり真実を知らせるべきだろう。
「わかった! 可哀相だと思って黙っていたが、もう、ハッキリ言うぞ! 学校はお前が思っているような楽しい場所でも、優しい場所でもねぇ! いいかよく聞け、学校での居場所は己の力でもぎ取らなきゃなんねーもんなんだ。お前に他人の世話をしてる余裕はない! だいたいお前のスペックなんて、三軍にも入れないくらいサイテーなんだぞ。川越がいなかったら、”ぼっち”確定だ。世話になってる川越にメーワクかけないように、大人しくしていろ!」
愛美は目を丸くして驚いている。
「・・・・・・えーっと?」
やっぱり何も分かっていなかった。
「あのな、スクールカーストつってだな、今の学校はお前がずっと夢見てきたような楽しいところじゃねぇんだよ。そいつのスペックで決まる身分階級によって、学校生活が左右される厳しい時代なんだ。一軍は花形運動部の人気者や情報通の洒落た連中、逆に三軍は地味で大人しい、特筆するものもない、なに考えてんのかわかんねー連中を指す。学校生活を楽しく謳歌出来てるのは一部の特権階級の生徒だけ。他の生徒達は、毎日を戦々恐々と過ごしている。なぜなら、三軍以下は問答無用で蔑まれてイジメを受けるからだ。お前のグループは川越や河崎は一軍だが、谷口やお前が入ってるから相殺されてかろうじて二軍だ。二軍の立場は行動如何によって、一軍にも三軍にも成り得る。これ以上、厄介事を起こせばグループは確実に三軍格下げだぞ。お前だって、グループの足を引っ張りたくはないだろう?」
「だけど、」
「クラスで生き抜くのはタイヘンなんだよ」
「でも、」
「でもじゃない、川越の苦労も分かってやれ」
俺に面倒をかけんな!
「鈴ちゃんは、私なら人間不信になってしまった佐藤さんの心を開けられるかも知れないって、言ってくれたよ?」
・・・・・・
きたよ。
やっぱり、見逃してくれなかった。
学校からの帰り道、いつものように愛美のカバンを持って隣を歩いていると、唐突に避ける間もなく聞かれた。
「そりゃまぁ、・・・な」
やっと青木の件が、うまい具合に落ち着いたところなのに。
なんでこう、じっとしていられないのかな、コイツは!
うちのクラスには、保健室登校している女がいる。
二年の終わりにネットいじめを受けて、不登校になった。
未遂に終わったらしいけど、自殺を図ったとの噂もある。
「愛美、俺何度も忠告してるよな?! 平和に学校生活を送りたかったら、他グループの友人関係に手を出すなって! 青木の件は上手い方向に転がったから良かったようなものの、下手すりゃ余計に拗れるんだぞ。そうなったら、責任とれねーだろ!」
大人しい青木は相変わらずクラスの弄られ役ではあるけれど、河合の態度が変わった事で、からかいも蔑むようなものではなくなり、逆に酷く馬鹿にするクラスメイトがいれば、河合が止めている。
元から青木は河合が好きだったから、きっと嬉しいに違いない。
だがこれは、ひとえに河合がいい奴だったから、上手くいったに過ぎない。
河合の出方によっては、青木はグループから弾かれて、ぼっち決定。
青木は河合と同じサッカー部だから、クラスで孤立するだけでなく、部活でも仲間はずれの憂き目に遭うところだった。
「うーん、でも、青木くんが楽しんでるとは思えなかったんだもん。せっかく学校に来ているのに、もったいないでしょう?」
・・・・・・
そーなんだよ。
コレなんだよ。
俺がコイツに強く言えないのは、コレのせいなんだよ。
愛美のズレた感覚は、病気のせいで、ずっと満足に学校に通えなかったせいだ。
寂しい闘病生活を送っていた愛美にとって、焦がれた学校は友達がたくさんいて、楽しいところでなければならない。
なんつーか、病院での妄想期間が長かったせいで、頭ん中がお花畑に病んじまったんだなぁ。
愛美のユートピアでは、みんな幸せなのだ。
哀れな花畑の住人の愛美に、現実を付き付けるのは不憫だと黙っていたのだが。
俺の力にも限界があるしな、やはり真実を知らせるべきだろう。
「わかった! 可哀相だと思って黙っていたが、もう、ハッキリ言うぞ! 学校はお前が思っているような楽しい場所でも、優しい場所でもねぇ! いいかよく聞け、学校での居場所は己の力でもぎ取らなきゃなんねーもんなんだ。お前に他人の世話をしてる余裕はない! だいたいお前のスペックなんて、三軍にも入れないくらいサイテーなんだぞ。川越がいなかったら、”ぼっち”確定だ。世話になってる川越にメーワクかけないように、大人しくしていろ!」
愛美は目を丸くして驚いている。
「・・・・・・えーっと?」
やっぱり何も分かっていなかった。
「あのな、スクールカーストつってだな、今の学校はお前がずっと夢見てきたような楽しいところじゃねぇんだよ。そいつのスペックで決まる身分階級によって、学校生活が左右される厳しい時代なんだ。一軍は花形運動部の人気者や情報通の洒落た連中、逆に三軍は地味で大人しい、特筆するものもない、なに考えてんのかわかんねー連中を指す。学校生活を楽しく謳歌出来てるのは一部の特権階級の生徒だけ。他の生徒達は、毎日を戦々恐々と過ごしている。なぜなら、三軍以下は問答無用で蔑まれてイジメを受けるからだ。お前のグループは川越や河崎は一軍だが、谷口やお前が入ってるから相殺されてかろうじて二軍だ。二軍の立場は行動如何によって、一軍にも三軍にも成り得る。これ以上、厄介事を起こせばグループは確実に三軍格下げだぞ。お前だって、グループの足を引っ張りたくはないだろう?」
「だけど、」
「クラスで生き抜くのはタイヘンなんだよ」
「でも、」
「でもじゃない、川越の苦労も分かってやれ」
俺に面倒をかけんな!
「鈴ちゃんは、私なら人間不信になってしまった佐藤さんの心を開けられるかも知れないって、言ってくれたよ?」
・・・・・・
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