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罪作りな男6
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はぁ~。
どうすっかな~。
妙なことになっちゃったよな~。
俺は高岡さんのスマホでみんなの遊ぶ姿を録画しながら、思考を巡らせる。
「もうちょい右だ」
「このくらい?」
「よし、それでいい」
「え、うそ! すごい! 本当にとれたよ!」
大和のアシストを受けて、目的のものをゲットした河崎は飛び跳ねて喜んでいる。
大小さまざまなティディベアが詰まったUFOキャッチャーの前で、大和は溺愛する双子の妹のために、妹の友人のご機嫌をせっせととっていた。
「あの子達、すごいね。またとったよ?」
「ねぇ、あの男の子かっこよくない?」
次々に釣果をあげる大和達は、周囲の人間の注意を引いた。
大和には人を魅了し、惹きつける力があった。
腕っぷしは強く、頭もキレる。
面も悪くないから女受けはいいし、大和の場合、近づきがたい雰囲気もカッコいい。
何より、身内になればどこの誰よりも頼りがいがある。
男も惚れる、男の中の男。
大和という男はおよそ欠点と呼べるものがない完璧な漢だった。
「ほら、愛美もやってみろ」
「うん、自信ないけど、やってみる!」
「愛美さん、頑張って!」
そんな男が、好きな相手を双子の妹とか、本気で思い込んでる。
しかも、原因は家庭の事情っぽい。
なんかすごく切ない。
「よし、そこだ!」
「やったー! とれたよ! 大和くん、ありがとう!」
「良かったな」
「愛美さん、良かったですね!」
それにしても、本当にデレデレだな。
高岡さんがやってくる前の、クラスメイトを冷めた目で睥睨していた頃の面影はどこにも無くて、大和はものすごく幸せそうだった。
家族でも双子でも、本人は大満足みたいだし、ま、いっか。
「大和、俺もやりたい!」
くっついたっちゃーくっついたしな!
ミッション完了! 俺も遊ぶぞ~!!
と、思ったのもつかの間・・・
絶好調だった大和が調子にのりすぎて、もう高岡さんに家族関係を解消されそうになっている。
というのも、ゲーセンで遊んだ後、ショップを見て回っている最中、大和は高岡さんにとにかくプレゼントをしたがって、高岡さんが嫌がっているのにもかかわらず、しつこく付きまとっていた。
もちろん、俺達はそれとなく注意したり引き離そうとしたり、一生懸命頑張った。
けど、相手はあの大和で、束になってかかろうが俺達のかなう相手ではなく、結果、困った高岡さんが家族をやめる!と大和に宣言した次第。
川越が間に入り、最悪の状況は回避したけど、問題は未だ解決出来ていなかった。
「大和くん、気持ちは分かるけど、さすがに本物は重いよ」
「俺はただ、愛美に似合いそうだと思ったから・・・」
「中学生がするプレゼントじゃないって言ってるの!」
「今日は愛美が家族になってくれた特別な日だからさ」
「・・・・・・」
なぜなら、問題の大和が暖簾に腕押し、糠に釘。
この危機的状況にあって、川越がこんこんと諭しても、反省している素振りがまったく見られないのだ。
「わかった。じゃあさ、パトロンでもあるまいし、なんでもかんでも買ってやるって愛美さんにつきまとうのだけはやめてくれる?」
「なんでだ? 俺はパトロンというか愛美の庇護者なんだ。金だって十分あるんだし、」
「お金の問題じゃないの! 愛美さんは、やめて欲しい、迷惑だってハッキリ言ってたでしょう?!」
「愛美は奥ゆかしいんだよ。なぁ、川越、愛美にどう言えば伝わるのかな、俺達の間柄で遠慮は必要ないんだって」
「・・・・・・」
大和はいたって真面目な顔で尋ね、川越は絶句した。
俺も驚いた。
どうやら、大和は高岡さんの言葉を受け入れられず、聞かなかったことにしたらしい。
川越は、大和が傷付いて心を再び閉ざしてしまうことをずっと怖れていたから、大和の様子に怯えた顔を見せた。
でも、俺には大和が心を閉ざしているというより、ショックで単に現実逃避に走ってるだけに見える。
俺もしょっちゅう現実逃避してるから、よくわかる。
その心情も。
こういう時、特に男は、正論で責められると余計に意固地になって引きこもる。
大和だって、本当はわかってるのだ。
そして、戻りたいとも思ってる。
だから、俺は逃避先から戻って来れるよう、大和が受け入れられるくらいにハードルを低くしてやった。
「あ、あのさ、大和、た、たぶんだけど、高岡さんはプレゼントされることに馴れてないんじゃないかな。人間ってさ、馴れてないことをされると、怖いだろ? 誰だって怖いと逃げたくなる。大和は高岡さんの気持ちを一番に考えてやるべきじゃないかな」
どうすっかな~。
妙なことになっちゃったよな~。
俺は高岡さんのスマホでみんなの遊ぶ姿を録画しながら、思考を巡らせる。
「もうちょい右だ」
「このくらい?」
「よし、それでいい」
「え、うそ! すごい! 本当にとれたよ!」
大和のアシストを受けて、目的のものをゲットした河崎は飛び跳ねて喜んでいる。
大小さまざまなティディベアが詰まったUFOキャッチャーの前で、大和は溺愛する双子の妹のために、妹の友人のご機嫌をせっせととっていた。
「あの子達、すごいね。またとったよ?」
「ねぇ、あの男の子かっこよくない?」
次々に釣果をあげる大和達は、周囲の人間の注意を引いた。
大和には人を魅了し、惹きつける力があった。
腕っぷしは強く、頭もキレる。
面も悪くないから女受けはいいし、大和の場合、近づきがたい雰囲気もカッコいい。
何より、身内になればどこの誰よりも頼りがいがある。
男も惚れる、男の中の男。
大和という男はおよそ欠点と呼べるものがない完璧な漢だった。
「ほら、愛美もやってみろ」
「うん、自信ないけど、やってみる!」
「愛美さん、頑張って!」
そんな男が、好きな相手を双子の妹とか、本気で思い込んでる。
しかも、原因は家庭の事情っぽい。
なんかすごく切ない。
「よし、そこだ!」
「やったー! とれたよ! 大和くん、ありがとう!」
「良かったな」
「愛美さん、良かったですね!」
それにしても、本当にデレデレだな。
高岡さんがやってくる前の、クラスメイトを冷めた目で睥睨していた頃の面影はどこにも無くて、大和はものすごく幸せそうだった。
家族でも双子でも、本人は大満足みたいだし、ま、いっか。
「大和、俺もやりたい!」
くっついたっちゃーくっついたしな!
ミッション完了! 俺も遊ぶぞ~!!
と、思ったのもつかの間・・・
絶好調だった大和が調子にのりすぎて、もう高岡さんに家族関係を解消されそうになっている。
というのも、ゲーセンで遊んだ後、ショップを見て回っている最中、大和は高岡さんにとにかくプレゼントをしたがって、高岡さんが嫌がっているのにもかかわらず、しつこく付きまとっていた。
もちろん、俺達はそれとなく注意したり引き離そうとしたり、一生懸命頑張った。
けど、相手はあの大和で、束になってかかろうが俺達のかなう相手ではなく、結果、困った高岡さんが家族をやめる!と大和に宣言した次第。
川越が間に入り、最悪の状況は回避したけど、問題は未だ解決出来ていなかった。
「大和くん、気持ちは分かるけど、さすがに本物は重いよ」
「俺はただ、愛美に似合いそうだと思ったから・・・」
「中学生がするプレゼントじゃないって言ってるの!」
「今日は愛美が家族になってくれた特別な日だからさ」
「・・・・・・」
なぜなら、問題の大和が暖簾に腕押し、糠に釘。
この危機的状況にあって、川越がこんこんと諭しても、反省している素振りがまったく見られないのだ。
「わかった。じゃあさ、パトロンでもあるまいし、なんでもかんでも買ってやるって愛美さんにつきまとうのだけはやめてくれる?」
「なんでだ? 俺はパトロンというか愛美の庇護者なんだ。金だって十分あるんだし、」
「お金の問題じゃないの! 愛美さんは、やめて欲しい、迷惑だってハッキリ言ってたでしょう?!」
「愛美は奥ゆかしいんだよ。なぁ、川越、愛美にどう言えば伝わるのかな、俺達の間柄で遠慮は必要ないんだって」
「・・・・・・」
大和はいたって真面目な顔で尋ね、川越は絶句した。
俺も驚いた。
どうやら、大和は高岡さんの言葉を受け入れられず、聞かなかったことにしたらしい。
川越は、大和が傷付いて心を再び閉ざしてしまうことをずっと怖れていたから、大和の様子に怯えた顔を見せた。
でも、俺には大和が心を閉ざしているというより、ショックで単に現実逃避に走ってるだけに見える。
俺もしょっちゅう現実逃避してるから、よくわかる。
その心情も。
こういう時、特に男は、正論で責められると余計に意固地になって引きこもる。
大和だって、本当はわかってるのだ。
そして、戻りたいとも思ってる。
だから、俺は逃避先から戻って来れるよう、大和が受け入れられるくらいにハードルを低くしてやった。
「あ、あのさ、大和、た、たぶんだけど、高岡さんはプレゼントされることに馴れてないんじゃないかな。人間ってさ、馴れてないことをされると、怖いだろ? 誰だって怖いと逃げたくなる。大和は高岡さんの気持ちを一番に考えてやるべきじゃないかな」
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