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罪作りな男5
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カゾクヲ・・・ヤメル?
耳がキーンとして、周囲の音は何一つ聞こえないのに、その言葉だけが頭の中に響いている。
家族の繋がりはやめるとか、やめないとかそういうもんじゃないだろう?
この世に生まれて、俺はずっとずっと、お前を探していた気がするのに。
漸く出会えた魂の片割れなのに、なんで、愛美はわからないんだよ!
「大和くんの気持ちは嬉しいけど、私には返せるものがないから、・・・困る」
「何言ってんだよ。家族なんだから、返す必要なんて、」
「だから! 大和くんの、そういうの、困るの」
「なんでだよ!」
怒りすら湧き上がる。
「大和くん! 愛美さんは嫌だって言ってるの! 愛美さんに嫌われたいの?!」
が、その一方で、俺と愛美は他人で家族じゃない、共にいられる保障なんて何もないんだと頭の片隅で叫ぶ自分もいた。
「愛美さん、大和くんは嬉しくて、つい調子に乗っちゃっただけなの。私がちゃんと話すから。だから、許してあげて? やめるなんて、悲しいこと言わないで? ね? るみ、愛美さんをお願い」
「あ、うん。愛美さん、行こ? 谷口も、行くよ!」
「は、はい!」
俺は混乱していた。
「大和くん、気持ちは分かるけど、さすがに本物は重いよ」
「俺はただ、愛美に似合いそうだと思ったから・・・」
「中学生がするプレゼントじゃないって言ってるの!」
「今日は愛美が家族になってくれた特別な日だからさ、」
「・・・・・・」
川越は溜め息をついて、再び口を開く。
「わかった。じゃあさ、パトロンでもあるまいし、なんでもかんでも買ってやるって愛美さんにつきまとうのだけはやめてくれる?」
「なんでだ? 俺はパトロンというか愛美の庇護者なんだ。金だって十分あるんだし、」
「お金の問題じゃないの! 愛美さんは、やめて欲しい、迷惑だってハッキリ言ってたでしょう?!」
「愛美は奥ゆかしいんだよ。なぁ、川越、愛美にどう言えば伝わるのかな、俺達の間柄で遠慮は必要ないんだって」
「・・・・・・」
「あ、あのさ、大和、た、たぶんだけど、高岡さんはプレゼントされることに馴れてないんじゃないかな。人間ってさ、馴れてないことをされると、怖いだろ? 怖ければ、当然逃げたくなる。大和は、高岡さんの気持ちを一番に考えてやるべきじゃないかな」
河合に指摘されて、目が覚めた。
「そうか・・・・・・そうだよな」
河合の言う通りだ。
愛美はまだ卵から孵ったばかりの雛なのだ。
愛美は俺の謝罪をすんなり受け入れ許してくれたし、やめると言った事も撤回してくれたけど、俺はすっかり怖くなってしまった。
知らぬ間にまた何か失敗を犯して怖がらせるんじゃないか、無神経な人と嫌われて、愛想を尽かされるんじゃないか、とか。
傍には行きたいのに、愛美の前でどう振る舞えばいいのかわからない。
嫌われる要素しか思い浮かばない。
不安ばかり大きくて、自分の行動に自信が持てない。
この俺が・・・
こんなこと、生まれて初めてだった。
しかし、愛美を連れ帰る時間となり、いつまでも隠れているわけにはいかず、うっかり失態を演じないよう気を引き締めて愛美のもとへ向かう。
「これ、俺達全員から。パンケーキ奢って貰ったお返しだ。今日の記念になればと思ってさ。受け取ってくれ」
二人で先に帰るため挨拶すると、河合から袋を渡された。
開けてみろと言うので、袋から取り出す。
「何だ? スマホケース?」
「うん。高岡さん」
「あ、うん」
河合に促され、愛美が真新しいピンク色のスマホケースに入った自身のスマホを俺に差し出す。
「あっ」
それは、俺がもらったスマホケースと同じもので、色だけが違っていた。
「双子なら、お揃いじゃないとな! だろ?」
河合が気が利くだろとばかりにウインクで合図して寄越す。
愛美を見れば、照れくさそうに笑っていた。
「愛美、いいのか? 本当に、俺が、・・・その、これを持っても」
「うん。さっきはごめんなさい。私ね、自分だって大和くんにいろいろ無理を言って困らせてるのに、大和くんばかり責めたりするのはおかしいって反省したの」
本来、俺はフィルムだけ貼ってケースは付けない派だけど、愛美とお揃いなら話は別だ。
「ありがとう、愛美。それに、みんなも」
その場でケースに収め、お揃いの色違いのケースに入れられた俺と愛美のスマホを並べて眺める。
並んだ二つのスマホは、まるで俺達のようで、なんともほほ笑ましいじゃないか。
具現化することで、俺と愛美の不確かだった二人の繋がりが、確かなものへと変わった瞬間だった。
耳がキーンとして、周囲の音は何一つ聞こえないのに、その言葉だけが頭の中に響いている。
家族の繋がりはやめるとか、やめないとかそういうもんじゃないだろう?
この世に生まれて、俺はずっとずっと、お前を探していた気がするのに。
漸く出会えた魂の片割れなのに、なんで、愛美はわからないんだよ!
「大和くんの気持ちは嬉しいけど、私には返せるものがないから、・・・困る」
「何言ってんだよ。家族なんだから、返す必要なんて、」
「だから! 大和くんの、そういうの、困るの」
「なんでだよ!」
怒りすら湧き上がる。
「大和くん! 愛美さんは嫌だって言ってるの! 愛美さんに嫌われたいの?!」
が、その一方で、俺と愛美は他人で家族じゃない、共にいられる保障なんて何もないんだと頭の片隅で叫ぶ自分もいた。
「愛美さん、大和くんは嬉しくて、つい調子に乗っちゃっただけなの。私がちゃんと話すから。だから、許してあげて? やめるなんて、悲しいこと言わないで? ね? るみ、愛美さんをお願い」
「あ、うん。愛美さん、行こ? 谷口も、行くよ!」
「は、はい!」
俺は混乱していた。
「大和くん、気持ちは分かるけど、さすがに本物は重いよ」
「俺はただ、愛美に似合いそうだと思ったから・・・」
「中学生がするプレゼントじゃないって言ってるの!」
「今日は愛美が家族になってくれた特別な日だからさ、」
「・・・・・・」
川越は溜め息をついて、再び口を開く。
「わかった。じゃあさ、パトロンでもあるまいし、なんでもかんでも買ってやるって愛美さんにつきまとうのだけはやめてくれる?」
「なんでだ? 俺はパトロンというか愛美の庇護者なんだ。金だって十分あるんだし、」
「お金の問題じゃないの! 愛美さんは、やめて欲しい、迷惑だってハッキリ言ってたでしょう?!」
「愛美は奥ゆかしいんだよ。なぁ、川越、愛美にどう言えば伝わるのかな、俺達の間柄で遠慮は必要ないんだって」
「・・・・・・」
「あ、あのさ、大和、た、たぶんだけど、高岡さんはプレゼントされることに馴れてないんじゃないかな。人間ってさ、馴れてないことをされると、怖いだろ? 怖ければ、当然逃げたくなる。大和は、高岡さんの気持ちを一番に考えてやるべきじゃないかな」
河合に指摘されて、目が覚めた。
「そうか・・・・・・そうだよな」
河合の言う通りだ。
愛美はまだ卵から孵ったばかりの雛なのだ。
愛美は俺の謝罪をすんなり受け入れ許してくれたし、やめると言った事も撤回してくれたけど、俺はすっかり怖くなってしまった。
知らぬ間にまた何か失敗を犯して怖がらせるんじゃないか、無神経な人と嫌われて、愛想を尽かされるんじゃないか、とか。
傍には行きたいのに、愛美の前でどう振る舞えばいいのかわからない。
嫌われる要素しか思い浮かばない。
不安ばかり大きくて、自分の行動に自信が持てない。
この俺が・・・
こんなこと、生まれて初めてだった。
しかし、愛美を連れ帰る時間となり、いつまでも隠れているわけにはいかず、うっかり失態を演じないよう気を引き締めて愛美のもとへ向かう。
「これ、俺達全員から。パンケーキ奢って貰ったお返しだ。今日の記念になればと思ってさ。受け取ってくれ」
二人で先に帰るため挨拶すると、河合から袋を渡された。
開けてみろと言うので、袋から取り出す。
「何だ? スマホケース?」
「うん。高岡さん」
「あ、うん」
河合に促され、愛美が真新しいピンク色のスマホケースに入った自身のスマホを俺に差し出す。
「あっ」
それは、俺がもらったスマホケースと同じもので、色だけが違っていた。
「双子なら、お揃いじゃないとな! だろ?」
河合が気が利くだろとばかりにウインクで合図して寄越す。
愛美を見れば、照れくさそうに笑っていた。
「愛美、いいのか? 本当に、俺が、・・・その、これを持っても」
「うん。さっきはごめんなさい。私ね、自分だって大和くんにいろいろ無理を言って困らせてるのに、大和くんばかり責めたりするのはおかしいって反省したの」
本来、俺はフィルムだけ貼ってケースは付けない派だけど、愛美とお揃いなら話は別だ。
「ありがとう、愛美。それに、みんなも」
その場でケースに収め、お揃いの色違いのケースに入れられた俺と愛美のスマホを並べて眺める。
並んだ二つのスマホは、まるで俺達のようで、なんともほほ笑ましいじゃないか。
具現化することで、俺と愛美の不確かだった二人の繋がりが、確かなものへと変わった瞬間だった。
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