すあま 短編集

すあま

文字の大きさ
4 / 4

愛猫

しおりを挟む
覚悟しておいてください

 そう、医者に言われたそうだ。

 親に産み捨てられてウチに来た美猫。黒と白の靴下は、おなかでつながり、鼻から下の唇からも白い毛がお腹まで繋がったツートンカラー。成猫になったら、手足に伸びてた白い毛がなくなってしまったけれど。

 雄だと思って付けたレノという名前。『身体が弱い子には男女逆につける』に習って体調を崩しやすい君の名をそのままレノとした。

 来たばかりの頃は何もかもが巨大な家の中で探検ばかりして、何にでも全力で噛み付いて引っ掻いて今でも消えない生傷が絶えなかった。

 段ボールに噛み付いては食べ、ビニールの音を聞いては噛み付いて戯れては食べ、紙食ビニ食に心配させられた。炬燵に使ってた毛糸で編まれた毛布の端に戯れて噛み付いて翌日赤と青のカラフルな糞には驚かされた。

 二匹目を迎え入れたらなかなか好きにならず、自分を人間と思っている節もあり、二匹目が近づくと威嚇して鼻先に連続猫パンチを七発当てていた。

 二匹目が来てから加減を覚え、噛み付かれても血が出なくなった。穴が空くみたいな後には残ったが長く残る傷跡をつけなくなった。

 外に興味があるけれど出るのは怖くてすぐに家の中に入っては外を眺めていた。玄関から虫が侵入してきた時はおっかなびっくりしながら、何度も猫パンチで追い返して頑張って来れていた。(お陰でその虫はちゃんと処理することが出来た)

 散歩に連れて行った時は鞄から出したのにそのまま鞄に入ってしまい、外猫に遭遇したらバイクが遠くで走ってる様な唸り声で近付くなアピールしていた。

 冬の室温は床付近は冷える所為か膝の上にすぐに乗って暖を取って眠りこけていた。寝息は本当に可愛かった。



 今、息をするのもやっとな君の呼吸音がする。
嫌でも別れの時が近づいていることを実感させられる。
出来るだけ残りの時間、傍に居たい。
出来るだけ苦しまずに居させたい。
出来るだけ長く生きて欲しい。
食べてくれなくなって一週間。
大好きなチーズをもっと食べさせてあげれば良かった。

 生きてる間に平日昼間に膝の上に乗せて小説を書く生活に到達出来ずすまなかった。思い上がりも甚だしい夢だったから、それは仕方ない事だったよ。

 レノとして一緒にいてくれてありがとう。
 残り僅かかも知れないけど、旅立つまではこれからもよろしく。

 愛してるよ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

処理中です...