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第1章 転生後
6 遺品
しおりを挟む「そのよく騒ぐ口を塞げ。もしくは、俺直々に塞がれることをご所望なら喜んで塞いでやろう」
口調から狂気に満ち溢れ、部屋全体がグンと重くなる。
口元は含み笑いを浮かべているようだが、その暴君ともいえる口調からはすぐにでも捻り潰されそうな厚がある。
その場にいた侯爵と私は圧倒され言葉も出ずにただただ冷や汗をかくだけだった。
「後継者?バカバカしい。お前ごときが口に出せることではないと分かっているはずだが?」
「それはごもっともですが……」
「本来ならばお前ら一族を皆殺しにしてるところを、ただの気まぐれで生かしてやってることを肝に命じておけ。」
そう、本来ならば家臣である侯爵が口にしていいものではない。前皇后の実家“ヘークライム家”であればなおさらのこと。
シリウスの母ミレは平民出身の下級貴族であり前皇后チェリートの侍女でもあったが、前国王に気に入られ一夜を共にした後兄様を妊娠。
チェリートはそれを恨み母ミレを殺し、シリウスを引き取った後虐めて虐待して心身ともに壊した。今のシリウスを作った原因ともいえる相手。
とてつもない恨みがあるチェリートの実家であるヘークライム家がまだ残っていること自体奇跡に近いのだ。
「で、出過ぎたことを!ど、ど、どうか!お許し下さい!」
必死に謝罪をする侯爵を横目に、これは暗殺はなしだなと思ったが、一つ聞きたいことがあった。
「陛下一つお聞きしたいことがあります。
陛下が即位するきっかけとなった謀反でなぜ……なぜ、大切にしていたと噂になっていた義妹セレーナ・アルマ・クラメルを殺したのですか?」
「………は?カペラ?お前何言って…」
と突然何を言い出すかと思った侯爵は下手したら処罰されるような質問に耳を疑った。
今激怒寸前のシリウスに謝っている所に一番触れてはいけないとことに触れてしまったのだ。
これは、間違いなく火に油を注いでいるものだと思っていたが、当のシリウスは驚くほど冷静だった。
「はっ。さすが侯爵の娘だな。殺すのに理由が必要か?」
子供の戯れ言だと思っているのか?
でもシリウスは冗談をいう人物ではない。
「理由は……」
と冷酷な視線に戻りこう告げた。
「邪魔」
プッツンと私の中で何かが切れたような音がした。
あぁ……私は何を期待していたのかな?
何か特別な理由があると思っていた。
死ぬ前に、理由が知りたいと願ってしまったからそのチャンスを神様がくれたんだと思った。
何かそうせざるを得なくて仕方なく殺したのだと。
それが間違いだった。ただ…ただ……単純に
“私が邪魔だったから?”
「もう下がれ。」
そう言われたが、私は動かなかった。
もし、殺された理由を知ることが使命ならばそれはもう果たした。後は死のうか関係ないことも。
それどころかどうでもよくなった。何もかも。
“私が知っている兄様じゃない。”
仕込んであった小型の刃物をギュと握りしめたが中々覚悟が決まらない。
それに気づいた侯爵はシメたと思った。
“そのまま殺れカペラ!ここまでコケにされたんだ!このまま報いを!”
シリウスも刃物に気づいているのか分からないが特に動じる様子はない。
所詮子供だと思っているのか?舐められてもらっては困る。
ヒタヒタと近づきシリウスの前に来てから刃物を…刃物を…突き立てようとしたがどこか恐れている私がいる。
そこで手が震えていることに気づいた。
“大丈夫。大丈夫。兄様は私と母様を殺した。”
無理やり恨みを呼び起こすと、心を決め空っぽの左手をギュッと握り締める。
狙うは心臓。と、刺す場所を見たとき、首にぶら下げてあるネックレスに目が入った。
そのネックレスには見覚えがあった。それを見てはいけない。心迷いする。と言わんばかりにストップをかけるように心臓が唸る。
ドクン。ドクン。ドク。ドク。ド。ド。と速くなる。
〝なんで…なんで?…なんでそれを持っているの?〝
あれはセレーナが生前までつけていたネックレスだ。間違いない。
世界にも5人しか出来ないと言われている繊細な金属細工に黄色ダイヤモンドを加工したネックレス。
間違えるわけない。あれは兄様がくれた物なのだから。
※ー※ー※ー※ー※ー※ー※
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