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第1章 転生後
7 幽閉
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邪魔だと思い殺した相手の遺品を持つ?
それって矛盾してない?本当に邪魔で殺したなら、形見ともいえる遺品を使っとく?
いや、でも元々自分があげた物だし使うのもおかしな話ではないも思うけど。
ますます、目の前にいるこの男のことがよく分からない。
戸惑いで立ち尽くすカペラを見て益々意味が分からない侯爵。
これはまずい。このままだとこの先、王との仲は劣悪。刃物を握っているとなると反逆罪で戸籍上保護者の俺と妻子まで、殺されてしまう。
“この役立たずめ!なら、俺が……!
カペラに駆け寄り背中の後ろに隠している刃物を奪い取った。
“なっ…!しまった!”
呆気にとられるカペラをよそに、刃物をシリウスの方に向ける。
刃を向けられてもシリウスは無表情だった。
「姉である皇后に仕えていた侍女が、夫を寝とり男児を産んだせいで姉は随分悩んでいたよ。」
「・・・・」
「ハッ。お前はいつまでその椅子にしがみつくつもりだ?独裁者を成敗し謀反をおこした聖君きどりの皇帝が意気がったところで所詮ただの汚らわしい売女の子!」
ここまで母を侮辱されても悲しいくらい無表情だった。
逆に私が動揺してしまう。シリウスはこれまで身分差別によって苦しんできたと思ったからだ。
「ここで死んで、報いを受けろっ!」
とついに侯爵は切りかかった。
シリウスはただ死を受け入れているのか、それとも死なないと自信があるのか、分からないがただ椅子に座っているだけだった。
このまま、兄様はこの男に殺されるのか?とナイフが兄に到達する時焦りを感じた。
その時なぜかカランカランという甲高い音だった。
侯爵が持っていた金属製の刃物が大理石の床に落ち、甲高い音が出たのだ。
天井が高い部屋には落ちた音が鳴り響き渡る。
なぜ、刃物が落ちたのか?それを私と侯爵が疑問に思う前に、解明された。
「生き急ぎましたね、侯爵。」
「いつの間に?!」
侯爵の目の前には先ほど外にいた案内をしていた茶髪の人物。近衛騎士のレグルスだ。
左手には剣を握っている。おそらくあれで弾き飛ばしたのだろうか?
「陛下と距離を置いているあなたが謁見を申し込むなど何か企んでいると思っていましたが…」
チラっと落ちたナイフと私を見比べ、シリウスの方に向き直った。
「陛下大丈夫ですか?」
「・・・・」
甲高い音は外で待機していた兵士にも聞こえたのか、バタンと扉が開かれる。
「どうされましたか?!陛下!」
「暗殺未遂だ。今すぐ侯爵を拘束しろ」
「は、はい!」
上司であるレグルスに言われ驚く間もなく指示通り動く騎士達。
「ヘークライム侯爵、あなたを反逆罪で拘束します。」
皇帝唯一の近衛騎士が言った言葉に従うように、数人の騎士がヘークライムの腕を掴んで立ち上がらせる。
それまで何が起こったのか分からず呆然としていたへークライムは暴れだした。
「離せっ!騎士のくせに!大貴族である私に気安く触れるなどっ!」
騒ぎながら数人の騎士達に連れていかれた侯爵を横目にカペラの処罰を聞くためレグルスはチラッと皇帝を見る。
なぜなら、あの青い瞳は間違いなく皇帝の物と同じだからだ。
それに気づいた皇帝は顎をクイッと動かす。
〝いくら娘といっても罪は罪か…〝
当たり前だなと思いながら、カペラの肩に手をのせる。
「ヘークライム嬢、行きましょう。」
部屋から出させようと、肩に手を回す。
無言でクルリと方向を変えレグルスの後についていった。
※※※※
ピチャン。ピチャンと雨漏りの音が響く地下牢。
石作りの牢はとても冷たく、前の鉄格子から入る僅かな松明の光と冷たい風。
昔は城の下にある地下牢に大勢が収容されていたが、今は私と侯爵しかいない。
私はあの後ここに閉じ込められ足をかかえうずくまっている。
遠くで侯爵が「出せ!」だの「私は関係ない」だの「私はへークライム家の当主」だとか騒ぐ声が遠くの独房から聞こえる。
それと反対に私はただ静かに大人しくしていた。
「歳の割には落ち着いていますね」
いつの間にそこにいたのだろうか?
チラッと顔をあげるとさっきの茶髪の顔の整った近衛騎士だ。
“皇帝の獅子レグルス”
その名前は箱入り娘の私でも耳に入るほど有名。
詳しい詳細は不明。出身、名字、経歴、貴族かどうかも不明。唯一分かっているのは皇帝が一番信用してる人物だということ。
突如現れた謎の天才騎士レグルス。
噂だとシリウスの母ミレの隠し子だとか、悪魔と契約し力を手に入れたとか、皇帝に取り入る為に来たスパイだとか。どれも真偽は定かではない噂ばかりだ。
「カペラ嬢、あなたの処罰が決まりました」
あぁ。私はここで処刑されて死ぬのだと悟った。
誰にも愛されず孤独のまま死んでいく。そう思った。
だから、思いもしなかった。
あの後、皇帝の娘として受け入れられるなんて到底考えられなかった。
そして、本当の兄達の気持ちに気づくのは、愛されるようになるのは、もう少し先の話だ。
※ー※ー※ー※ー※ー※ー※
ご愛読ありがとうございます。
面白い!続きが気になる!と思ったらお気に入り、感想お願いします。
それって矛盾してない?本当に邪魔で殺したなら、形見ともいえる遺品を使っとく?
いや、でも元々自分があげた物だし使うのもおかしな話ではないも思うけど。
ますます、目の前にいるこの男のことがよく分からない。
戸惑いで立ち尽くすカペラを見て益々意味が分からない侯爵。
これはまずい。このままだとこの先、王との仲は劣悪。刃物を握っているとなると反逆罪で戸籍上保護者の俺と妻子まで、殺されてしまう。
“この役立たずめ!なら、俺が……!
カペラに駆け寄り背中の後ろに隠している刃物を奪い取った。
“なっ…!しまった!”
呆気にとられるカペラをよそに、刃物をシリウスの方に向ける。
刃を向けられてもシリウスは無表情だった。
「姉である皇后に仕えていた侍女が、夫を寝とり男児を産んだせいで姉は随分悩んでいたよ。」
「・・・・」
「ハッ。お前はいつまでその椅子にしがみつくつもりだ?独裁者を成敗し謀反をおこした聖君きどりの皇帝が意気がったところで所詮ただの汚らわしい売女の子!」
ここまで母を侮辱されても悲しいくらい無表情だった。
逆に私が動揺してしまう。シリウスはこれまで身分差別によって苦しんできたと思ったからだ。
「ここで死んで、報いを受けろっ!」
とついに侯爵は切りかかった。
シリウスはただ死を受け入れているのか、それとも死なないと自信があるのか、分からないがただ椅子に座っているだけだった。
このまま、兄様はこの男に殺されるのか?とナイフが兄に到達する時焦りを感じた。
その時なぜかカランカランという甲高い音だった。
侯爵が持っていた金属製の刃物が大理石の床に落ち、甲高い音が出たのだ。
天井が高い部屋には落ちた音が鳴り響き渡る。
なぜ、刃物が落ちたのか?それを私と侯爵が疑問に思う前に、解明された。
「生き急ぎましたね、侯爵。」
「いつの間に?!」
侯爵の目の前には先ほど外にいた案内をしていた茶髪の人物。近衛騎士のレグルスだ。
左手には剣を握っている。おそらくあれで弾き飛ばしたのだろうか?
「陛下と距離を置いているあなたが謁見を申し込むなど何か企んでいると思っていましたが…」
チラっと落ちたナイフと私を見比べ、シリウスの方に向き直った。
「陛下大丈夫ですか?」
「・・・・」
甲高い音は外で待機していた兵士にも聞こえたのか、バタンと扉が開かれる。
「どうされましたか?!陛下!」
「暗殺未遂だ。今すぐ侯爵を拘束しろ」
「は、はい!」
上司であるレグルスに言われ驚く間もなく指示通り動く騎士達。
「ヘークライム侯爵、あなたを反逆罪で拘束します。」
皇帝唯一の近衛騎士が言った言葉に従うように、数人の騎士がヘークライムの腕を掴んで立ち上がらせる。
それまで何が起こったのか分からず呆然としていたへークライムは暴れだした。
「離せっ!騎士のくせに!大貴族である私に気安く触れるなどっ!」
騒ぎながら数人の騎士達に連れていかれた侯爵を横目にカペラの処罰を聞くためレグルスはチラッと皇帝を見る。
なぜなら、あの青い瞳は間違いなく皇帝の物と同じだからだ。
それに気づいた皇帝は顎をクイッと動かす。
〝いくら娘といっても罪は罪か…〝
当たり前だなと思いながら、カペラの肩に手をのせる。
「ヘークライム嬢、行きましょう。」
部屋から出させようと、肩に手を回す。
無言でクルリと方向を変えレグルスの後についていった。
※※※※
ピチャン。ピチャンと雨漏りの音が響く地下牢。
石作りの牢はとても冷たく、前の鉄格子から入る僅かな松明の光と冷たい風。
昔は城の下にある地下牢に大勢が収容されていたが、今は私と侯爵しかいない。
私はあの後ここに閉じ込められ足をかかえうずくまっている。
遠くで侯爵が「出せ!」だの「私は関係ない」だの「私はへークライム家の当主」だとか騒ぐ声が遠くの独房から聞こえる。
それと反対に私はただ静かに大人しくしていた。
「歳の割には落ち着いていますね」
いつの間にそこにいたのだろうか?
チラッと顔をあげるとさっきの茶髪の顔の整った近衛騎士だ。
“皇帝の獅子レグルス”
その名前は箱入り娘の私でも耳に入るほど有名。
詳しい詳細は不明。出身、名字、経歴、貴族かどうかも不明。唯一分かっているのは皇帝が一番信用してる人物だということ。
突如現れた謎の天才騎士レグルス。
噂だとシリウスの母ミレの隠し子だとか、悪魔と契約し力を手に入れたとか、皇帝に取り入る為に来たスパイだとか。どれも真偽は定かではない噂ばかりだ。
「カペラ嬢、あなたの処罰が決まりました」
あぁ。私はここで処刑されて死ぬのだと悟った。
誰にも愛されず孤独のまま死んでいく。そう思った。
だから、思いもしなかった。
あの後、皇帝の娘として受け入れられるなんて到底考えられなかった。
そして、本当の兄達の気持ちに気づくのは、愛されるようになるのは、もう少し先の話だ。
※ー※ー※ー※ー※ー※ー※
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