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第2章 居場所
9 銀髪と灰色の女
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「夜分遅くに申し訳ありません。例の反逆罪の件です。」
「侯爵を拘束して丸2日が経過しましたが、カペラ嬢に対する罪が重すぎると周りの貴族達が騒ぎ立てています。」
「はっ。いくら俺の子でも侯爵と処刑するのが妥当。それも分からず雑魚どもは騒いでいるのか」
「それがですね……10年前の謀反のこともあり、これ以上身内を殺すのは世間的には良くなく市民の反感を買う、と主に元老院の貴族たちが……」
「フッ。今さらこの俺が世間体を気にするとでも?馬鹿馬鹿しい。それはあくまで建前で、腹の裏では跡継ぎに取り入り王位継承後のおこぼれを貰おうと意地になっている訳か。
古狸どもが考えそうなことだ。」
「おそらく。それが主だと思いますが反感を買うのも一律あるかと……でどうされますか?」
「ジジィどもを見せしめに殺すか?」
とククっと不敵な笑みで冗談ぽく言うがシリウスがいうと冗談には聞こえない。
「やめてください。そんなことしたら行政崩壊しますよ」
そう言いつつも、それもありかも。と思ったレグルス。
侯爵と一緒にカペラを処罰すると元老院の貴族が騒ぎ反乱になる可能性があるが、カペラを免責にしたら侯爵は確実に処罰することが出来る。
しかし、免責にする理由が王族だからだとしたらそれ相応の扱いをしないといけない。
勿論、シリウスは血族だからという簡単な理由で受け入れるわけがない。
今まで虐殺を繰り返していたのも、間違ったやり方でもシリウスなりに、玉座に欲に目が眩んだ貴族、令嬢から守ってきたつもりだろう。
もちろん今まで通り自分の血を引いてる者を今すぐ消したいくらいだ。
「処罰するのは侯爵だけでいい。侯爵はお前が好きなようにしろ」
シリウスの回答は以外とスッキリしたものだった。
「え……それは跡継ぎとして侯爵の娘を受け入れるということですか?」
「形だけな。時間がたてば処分する……それに侯爵を引き渡すのがお前のと約束だったからな」
「……覚えてくださったのですね」
なんてことないように、素っ気なく言った言葉に目を丸くする。
へークライム侯爵の処罰を委ねる。それがシリウスと長年一緒にいる理由の一つだった。
それをシリウスは分かっているから、侯爵の処罰を実行するため、娘として受け入れることに決めたのだ。
「ありがとうございます、これで妹が報われます」
グッと締め付けられるように安堵し苦しく笑ったレグルス。
“ごめんね、アリシャ。遅くなって”
侯爵に殺されたたった1人の肉親の妹の名を呼び
心の中で妹を思い、侯爵を憎んだ。
「用件が済んだなら下がれ」
「はい」
と扉に近づいた所で他の用事を思いだし振り返る。
「もう一つ。“カペラ”の母親ですが既に他界していました。シャペロン男爵令嬢だそうです。」
では。とレグルスは扉の外に姿を消した。
何かを思い出すように遠くを見つめた後バカにするように失笑した。
「………アナベル・シャペロン…あいつか、図々しくも生きれるようにカペラとつけたのか」
唯一レグルス以外でセレーナの一等星の名前に対する話を知っている人物。
***
『陛下、もしもこの子が産まれたら男児だったらアルタイル、女児だったらカペラと名付けてもよろしいですか?』
『勝手にしろ。もしも生きながらえたのならな』
そんなセリフをどこで冗談かと思ったのかクスリと笑う灰色髪の妊婦。瞳は黄色に近いオレンジだろうか?
『本当に産むつもりなのか?アナベル、いくらお前とて容赦はしない』
一瞬顔に曇りを見せたが、また元のおっとりとした表情に戻る。
『えぇ。陛下がこの子を愛すまでこの子は生き続けますよ』
『戯言を。愛す?俺はそいつを殺す』
また、冗談と受け取っているようにフフと笑った。
『陛下…人生何があるか分かりませんよ』
『・・・・』
殺されるかもしれないと言うのに呑気に笑うこの女の気が知れない。
そういえば、昔同じように呑気に笑う銀髪のヤツがいた。
この2人の女はどちらともシリウスの理解の範囲を越えていた。
「侯爵を拘束して丸2日が経過しましたが、カペラ嬢に対する罪が重すぎると周りの貴族達が騒ぎ立てています。」
「はっ。いくら俺の子でも侯爵と処刑するのが妥当。それも分からず雑魚どもは騒いでいるのか」
「それがですね……10年前の謀反のこともあり、これ以上身内を殺すのは世間的には良くなく市民の反感を買う、と主に元老院の貴族たちが……」
「フッ。今さらこの俺が世間体を気にするとでも?馬鹿馬鹿しい。それはあくまで建前で、腹の裏では跡継ぎに取り入り王位継承後のおこぼれを貰おうと意地になっている訳か。
古狸どもが考えそうなことだ。」
「おそらく。それが主だと思いますが反感を買うのも一律あるかと……でどうされますか?」
「ジジィどもを見せしめに殺すか?」
とククっと不敵な笑みで冗談ぽく言うがシリウスがいうと冗談には聞こえない。
「やめてください。そんなことしたら行政崩壊しますよ」
そう言いつつも、それもありかも。と思ったレグルス。
侯爵と一緒にカペラを処罰すると元老院の貴族が騒ぎ反乱になる可能性があるが、カペラを免責にしたら侯爵は確実に処罰することが出来る。
しかし、免責にする理由が王族だからだとしたらそれ相応の扱いをしないといけない。
勿論、シリウスは血族だからという簡単な理由で受け入れるわけがない。
今まで虐殺を繰り返していたのも、間違ったやり方でもシリウスなりに、玉座に欲に目が眩んだ貴族、令嬢から守ってきたつもりだろう。
もちろん今まで通り自分の血を引いてる者を今すぐ消したいくらいだ。
「処罰するのは侯爵だけでいい。侯爵はお前が好きなようにしろ」
シリウスの回答は以外とスッキリしたものだった。
「え……それは跡継ぎとして侯爵の娘を受け入れるということですか?」
「形だけな。時間がたてば処分する……それに侯爵を引き渡すのがお前のと約束だったからな」
「……覚えてくださったのですね」
なんてことないように、素っ気なく言った言葉に目を丸くする。
へークライム侯爵の処罰を委ねる。それがシリウスと長年一緒にいる理由の一つだった。
それをシリウスは分かっているから、侯爵の処罰を実行するため、娘として受け入れることに決めたのだ。
「ありがとうございます、これで妹が報われます」
グッと締め付けられるように安堵し苦しく笑ったレグルス。
“ごめんね、アリシャ。遅くなって”
侯爵に殺されたたった1人の肉親の妹の名を呼び
心の中で妹を思い、侯爵を憎んだ。
「用件が済んだなら下がれ」
「はい」
と扉に近づいた所で他の用事を思いだし振り返る。
「もう一つ。“カペラ”の母親ですが既に他界していました。シャペロン男爵令嬢だそうです。」
では。とレグルスは扉の外に姿を消した。
何かを思い出すように遠くを見つめた後バカにするように失笑した。
「………アナベル・シャペロン…あいつか、図々しくも生きれるようにカペラとつけたのか」
唯一レグルス以外でセレーナの一等星の名前に対する話を知っている人物。
***
『陛下、もしもこの子が産まれたら男児だったらアルタイル、女児だったらカペラと名付けてもよろしいですか?』
『勝手にしろ。もしも生きながらえたのならな』
そんなセリフをどこで冗談かと思ったのかクスリと笑う灰色髪の妊婦。瞳は黄色に近いオレンジだろうか?
『本当に産むつもりなのか?アナベル、いくらお前とて容赦はしない』
一瞬顔に曇りを見せたが、また元のおっとりとした表情に戻る。
『えぇ。陛下がこの子を愛すまでこの子は生き続けますよ』
『戯言を。愛す?俺はそいつを殺す』
また、冗談と受け取っているようにフフと笑った。
『陛下…人生何があるか分かりませんよ』
『・・・・』
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この2人の女はどちらともシリウスの理解の範囲を越えていた。
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