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激うま!じゃない!!愛の告白!?!!!

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「アリアナ。先日は有難う」
2人で学校に行くために馬車に乗っている時ふいにそう言われた。
「何のことですの?」
私がそう言うと向かいにいたグレイソン様は笑った。
「アリアナにとっては当たり前のことだから覚えてないか」
「あら…気になりますわ」
「ほら、眠る時肩を貸してくれただろう?」
「あれですわね!」
「そう、あれだよ。本当に有難う。私達2人の体重を支えるなんて重かっただろう?」
そう言われて私は首を振る。
「いいえ。お二人ともきちんとお食事をしているのか不安になる程軽かったですわ」
そう、女性である私よりもね。
「そうかい?けど心配には及ばないよ。私もジャクソンもきちんと食べているから」
「そうですの?なら良いですけれど」
なら何かしら。筋肉?筋肉がないのかしら?2人ともすらーーーっとしていらっしゃるからあまり筋肉質じゃないのよね。けど私は筋肉むっきむきな殿方同士の恋愛も大好物ですわよ。
「アリアナ?」
私が遠い目をして馬車の外をじーっと見ているのでグレイソン様に心配される。
「…!なんですか?」
私がそう言うとグレイソン様が静かに鞄を開ける。
学校指定のその鞄と制服は周りの者や私と同じような物のはずなのに彼が使うとどれも一級品に見えるわね、本当すごいわ。なんて事を思っているとグレイソン様が鞄からラッピングされた箱を差し出した。
「これ、アリアナにプレゼント」
「私にですの?」
私がそう聞くと彼は微笑みながら頷く。
「開けても良いですか?」
「あぁ、是非」
私が箱を受け取り紐を引っ張る。
「これは…まぁ…!」
なんとも素敵な髪飾りが綺麗に入っていた。
「気に入って貰えたかな…?」
「えぇ!!とても!可愛いですわ」
綺麗な宝石が沢山散りばめているそれは本当に美しい。
「気に入ってもらえて光栄だよ」
「…あの、どうして私にこれを?」
「日頃の感謝かな…?」
「日頃の…ですか?」
「ほら、いつもジャクソンのことで迷惑をかけたり…まぁ、僕も迷惑をかけてしまっているけれど。君には本当に感謝しているんだ。それで感謝を伝えるならプレゼントが一番最善かな…と」
そう言うグレイソン様に私は微笑みながら感謝を伝える。
「本当にありがとうございますわ。いつも私は迷惑をかけられたなんて思っておりませんけれど、感謝等と言われたらこれは私も感謝して受け取らせて頂きますわ」
「ふふ…きっと綺麗な髪を持つ君にきっと似合う」
「なら、是非グレイソン様が付けてくださいな。そしたらこの髪飾りをつけた私を今すぐお見せできますわ」
「…そんな…良いのかい?君の髪に触れて」
「ふふ…グレイソン様ったら!この前私の肩を触れた方とは思えませんわ」
私がそう言うと少し顔を赤くしたグレイソン様が私の横に座った。
「それじゃあ、失礼するよ」
そう言いながら私の髪をやさしく触れる。
「はい。付けれたよ」
「ありがとうございます」
私がそう言いいつも鞄に入れている鏡を取り出す。
「あら…!!とっても可愛いわ!」
もちろん、髪飾りが!ですわよ。
「うん。とっても可愛いね」
「さすが、グレイソン様のセンスですわね」
私がそう言うとグレイソン様はまた笑い出した。
「ねぇ、今日は隣でこのままいちゃだめかな?」
「…もちろん、大丈夫ですわよ」
私がそう言うとグレイソン様は少し安心したように息を出した。
「ねぇ、アリアナ。君は婚約者に裏切られてとてもショックだと思うんだ」
唐突に元婚約者の話をされ私は戸惑いを隠せなかった。
やはりジャクソン様はいけてもグレイソン様の言葉は予想外が沢山ね。
「もう気にしてませんの。それに…彼には愛する人と一緒にいてほしいのです」
私の言葉を聞いてグレイソン様は本当に不愉快だとでも言うように顔を顰めた。
「ねぇ、アリアナ。人に優しすぎると自分に毒だよ」
「…?」
「人に優しくしすぎるといつか君に毒が回ってくる。君の婚約者は婚約者がいるのに愛などと理由をつけ君以外のパートナーを作ったんだ。あの元婚約者が背負うはずだった毒を君が覆い隠してくれたからあいつは無事なんだ。その行為はいつかきっと君が辛くなるよ」
そう言われ私はより戸惑う。
「私は優しくしたつもりはありませんわ。ただ私がそうしたかったからそうしているだけです」
「あぁ、そうか…君は。
…すまない、急に変な事を言って」
「良いんですのよ。
グレイソン様は…私を心配して下さったのですよね?」
私がそう聞くと気まずそうにしていたグレイソン様は私の目を見てこう言った。
「あぁ…君は…僕の愛する人だから」
「………え?」
私は自分の耳を疑った。
「本当にすまない。婚約者を失ったばかりなのに…」
「……グレイソン様が私を?」
「あぁ…本当はあんな嫌味な事を言うつもりじゃなかったのに…」
顔を手のひらで隠すグレイソン様は美しさが隠せてない。
のだが、今はそんなことが目に入らなかった。
え、BLの攻めだと思っていた方が私を好き!?!ジャクソン様じゃなくて?!好きな人が兄弟じゃなくて他人でありクラスメイトであり仲のいい友人である私!?!
「…本当に私で合ってますか?」
私がそう言うとグレイソン様があからさまに落ち込む。
「あぁ…私が余計な事を言ったばかりに…」
「いや!嫌がっているわけではなくて…!!疑っているんです!」
「僕の愛を疑う…?」
「えぇ…。だってあなたは公爵家の跡取りでありとても素敵な容姿をお持ちで、何よりも素晴らしい性格をもお持ちで……どうして何の取り柄もない私を…?」
そう、不思議すぎる。彼が私を好きになる要素どこ?って感じなのだ。
「アリアナは自分に対する評価が低すぎるみたいだ。…その私の容姿や性格を褒めてくれるのはとても喜ばしいけれど君は自分で思っている女性ではないよ。とても魅力的で、美しくて女神のような心を持つ君に誰しも心が惹かれるだろう」
まるでポエムみたいな事を言う彼に私は顔が真っ赤になる。
「そ、そんな事ありませんわ…!」
「いいや、君のその優しさでどれだけ僕が救われたか…本当にいつまでも感謝してもしきれないよ。」
「そ、そんな!!」
グレイソン様にそんなに感謝される私って一体なに!?!!等と考えているといつの間にか馬車は止まり学校に着いたようだった。
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