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1.婚約者
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「…どういうことですの」
私は不満を露わにし体を震わせて男を睨んだ。
「あなたっ!私の婚約者でありながらなんて事をっ!!」
私は扇子を男へと向け目つきをより鋭くした。
「だって君は面白くないんだもの」
嘲笑うかのようにそう言われ私はつい固まる。
「お、面白くない?」
「あぁ、だって会って話すことと言えば2年前出来た弟の話ばかり…」
「…私がこの世で最も大切なワイアットの話は楽しいとばかり」
私は扇子を自身の顔の前で開き、困惑している様子を見せまいとした。
「あぁ、本当につまらなかったよ、君の話は全てつまらない」
そんな言葉に顔はつい歪んでしまう。
「…16歳であるにも関わらず婚約者以外の女性を部屋に連れ込んでいる方がつまらないわ」
私は強い口調でそう言った。
14歳になった私は幼い頃からの婚約者とうまく行っていると、そう思っていた。
けれど彼は私といてもつまらなかったらしい。
そんな彼が1番つまらないのに。
何も言わずにこちらを見つめる令嬢にも嫌気がさす。
(満足?私から男を奪えて)
私は睨みつけながらそう心の中で呟いた。
「…あなた、たしかワイアットの婚約者候補にいたわね」
私の言葉を聞いた瞬間、令嬢はぴくりと体を揺らした。
「あなたみたいな醜い女が私の義弟と婚約できるはずないわよねぇ」
「…ワイアット様は私を気に入っておりました。私の言うこととただの姉である貴方様のどちらの言う事を信じると?」
「ふふっ、あのね。一言忠告してあげるわ。私にとってこの世で最も尊い存在はワイアットだけれど、それはワイアットも同じなのよ」
「そうだ、そういうところが気持ちの悪いのだ。姉弟にしては気持ちの悪いその関係が嫌なのだ。それにしてもあの目…やはり君の義弟は捨て子だっただけあるな」
その瞬間私は扇子を勢いよく閉じて男を信じられないほど強く睨んだ。
「わかりました、あなたがその気なら婚約破棄だけでは足りませんわ。覚悟しておいて、私の愛する弟を馬鹿にするとどうなるのか…」
動揺している男を見てから私はくるりと後ろを振り返り、鼻歌混じりで家路へと着いた。
「姉様」
家に帰るとそれはそれは愛おしい7歳になったワイアットがで迎えてくれた。
「ワイアット…」
私は6年共にした忌々しい婚約者を思い出してほんの少しの涙を流した。
「姉様?」
小さな体で優しく抱きしめるワイアットに私は嬉しくなり、涙を拭い微笑んだ。
「さぁ、おやつにしましょう?今日はね、貴方の好きな──」
私の笑顔に安心したようにワイアットが頬へと口付けを落とした。
「あら…」
驚きからつい目を見開いてしまうが、私は次の瞬間ワイアットへと口付けを返していた。
「愛してるわ」
私の言葉に頬を染め嬉しそうにする様子はあまりにも可愛すぎて強く抱きしめる。
「姉様っ…」
「あらあら、ごめんなさい。さぁ早く部屋へと行きましょう」
ワイアットをいつものように抱き抱え私は部屋へと向かった。
私は不満を露わにし体を震わせて男を睨んだ。
「あなたっ!私の婚約者でありながらなんて事をっ!!」
私は扇子を男へと向け目つきをより鋭くした。
「だって君は面白くないんだもの」
嘲笑うかのようにそう言われ私はつい固まる。
「お、面白くない?」
「あぁ、だって会って話すことと言えば2年前出来た弟の話ばかり…」
「…私がこの世で最も大切なワイアットの話は楽しいとばかり」
私は扇子を自身の顔の前で開き、困惑している様子を見せまいとした。
「あぁ、本当につまらなかったよ、君の話は全てつまらない」
そんな言葉に顔はつい歪んでしまう。
「…16歳であるにも関わらず婚約者以外の女性を部屋に連れ込んでいる方がつまらないわ」
私は強い口調でそう言った。
14歳になった私は幼い頃からの婚約者とうまく行っていると、そう思っていた。
けれど彼は私といてもつまらなかったらしい。
そんな彼が1番つまらないのに。
何も言わずにこちらを見つめる令嬢にも嫌気がさす。
(満足?私から男を奪えて)
私は睨みつけながらそう心の中で呟いた。
「…あなた、たしかワイアットの婚約者候補にいたわね」
私の言葉を聞いた瞬間、令嬢はぴくりと体を揺らした。
「あなたみたいな醜い女が私の義弟と婚約できるはずないわよねぇ」
「…ワイアット様は私を気に入っておりました。私の言うこととただの姉である貴方様のどちらの言う事を信じると?」
「ふふっ、あのね。一言忠告してあげるわ。私にとってこの世で最も尊い存在はワイアットだけれど、それはワイアットも同じなのよ」
「そうだ、そういうところが気持ちの悪いのだ。姉弟にしては気持ちの悪いその関係が嫌なのだ。それにしてもあの目…やはり君の義弟は捨て子だっただけあるな」
その瞬間私は扇子を勢いよく閉じて男を信じられないほど強く睨んだ。
「わかりました、あなたがその気なら婚約破棄だけでは足りませんわ。覚悟しておいて、私の愛する弟を馬鹿にするとどうなるのか…」
動揺している男を見てから私はくるりと後ろを振り返り、鼻歌混じりで家路へと着いた。
「姉様」
家に帰るとそれはそれは愛おしい7歳になったワイアットがで迎えてくれた。
「ワイアット…」
私は6年共にした忌々しい婚約者を思い出してほんの少しの涙を流した。
「姉様?」
小さな体で優しく抱きしめるワイアットに私は嬉しくなり、涙を拭い微笑んだ。
「さぁ、おやつにしましょう?今日はね、貴方の好きな──」
私の笑顔に安心したようにワイアットが頬へと口付けを落とした。
「あら…」
驚きからつい目を見開いてしまうが、私は次の瞬間ワイアットへと口付けを返していた。
「愛してるわ」
私の言葉に頬を染め嬉しそうにする様子はあまりにも可愛すぎて強く抱きしめる。
「姉様っ…」
「あらあら、ごめんなさい。さぁ早く部屋へと行きましょう」
ワイアットをいつものように抱き抱え私は部屋へと向かった。
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