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書籍未収録③ 蟲使いの殺し屋編
2.虫によく効きます
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「キシャシャ、蟲たちに食い殺されるがよい!」
殺し屋『魔蟲鬼』の虫たちに襲われ、僕たちは大ピンチとなってしまったが、僕はたまたまこの状況に最適なスキルを強化していた。
僕が強化したスキル――それはクラスメイトからコピーした『生活魔法』だ。
『生活魔法』とはCランクスキルで、食料の長期保存が出来たり、傷んだ衣服などの修復が出来たり、部屋の温度を快適に調節出来たりする魔法である。
アイテムボックスを持ってる人はほぼ居ないので、食料の長期保存には特に需要がある。
ゴミ掃除の魔法もあるし、洗い物を行ったり、散らかった物を元の場所に戻す魔法なんかも便利だ。
とにかく、生活を楽にするちょっとした魔法が多く、持ってる人は重宝されたりする。
しかし、戦闘にはもちろん無力で、通常では使う事なんてありえない。
だが、今回だけはちょっと違ったようだ。
僕は『生活魔法』のレベル10にある魔法を撃ち放つ。
「害虫極大駆除燻煙!」
僕が魔法を唱えると、通路いっぱいに灰緑の煙が立ち上り、視界を曇らせた。
そこに『魔蟲鬼』の操っている蟲たちが、勢いよく突っ込んでくる。
「なんじゃ? そんな煙など、儂の蟲たちに通用するはず……なんと!?」
『魔蟲鬼』の予想に反し、煙に入った蟲たちはバッタバッタと地面に落ちていった。
床の上は、手足を痙攣させながらひっくり返った蟲で埋め尽くされていく。
「バカなっ、たとえ毒霧でも、一瞬で儂の蟲たちを殺す事など不可能じゃ! コレは一体どういうことなのじゃ!?」
蟲たちは僕のところまで到達することなく、あっという間に全滅した。
種明かしは、アニスさんが浴室で黒羽虫を見て絶叫した事から始まる。
あの時、アニスさんがまた虫を見て怖がった時のため、何かの対処法を考えなくちゃと思ったんだよね。
この砦には黒羽虫が居るようだし、作戦行動中に虫に遭遇したら、まさかの緊急事態となってしまう。
さて、その虫の対処法だけど、火魔法で焼くわけにもいかないし、毒を使えば人間にも害は出るし、叩き潰したりするのも物音が出てしまったりと簡単ではない。
別に気にしなければなんの障害にもならないのだが、苦手な人にとっては虫の出現は一大事だ。
何か良い対策がないものかと思ったら、ふと『生活魔法』レベル1に虫除けの魔法があった事を思い出した。
そこで、スキルレベルを上げればもっと強力な虫対策があると思って、『生活魔法』をレベル10にしてみた。
経験値1000万ほど掛かったけど、何かと便利な魔法でもあるし、後々にも使う機会は多いだろうと思ったんで惜しみなく上げる。
すると、予想通り上位には色んな殺虫魔法があった。
身体の大小や虫の性質、生息場所やその数などによって、有効となる魔法がいくつかあったが、中でもレベル10にあるのは超強力な害虫駆除魔法だった。
まさに最強の殺虫魔法で、もし虫の大群に出くわす事があったら使おうと思ってたんだ。
それがさっきの『害虫極大駆除燻煙』だ。
虫の神経を瞬間的に完全麻痺させるので、すぐに動けなくなってそのまま死ぬ。
もちろん、その他の生物には一切害は無く、虫のみを退治出来る。
大変便利な魔法だけど、経験値1000万使ってまで『生活魔法』をレベル10にする人は居ないんで、こんな魔法があることを知ってる人はまず居ないと思う。
冒険者ならほかに優先すべきスキルがあるし、一般人なら1000万を注ぎ込めるほど経験値を溜められないからね。
そもそも冒険者の総取得経験値の平均が4~500万くらいのはずなので、『生活魔法』に1000万なんて使えるわけがない。
600万ほど経験値を稼げば、ベースレベルは50前後、各スキルもそれなりに育てられて、優秀と評価されるBランクになれるほどだ。
僕とかクラスメイトがガンガン稼いじゃうんで感覚が狂っちゃうけど、みんなそれくらいで頑張ってるんだよね。
とまあそういうわけで、厄介な虫はあっけなく退治出来た。
これもアニスさんのおかげだ。その当人はまだ気絶したままだけど。
「ぐうっ……わ、儂のっ、よくもっ、おのれええええっ」
と威勢の良い声を上げた割には、『魔蟲鬼』は踵を返して逃げ出そうとした。
だと思ったよ。さっきは『玩具屋』にしてやられたけど、今度は逃がさない。
『魔蟲鬼』が背を向けた瞬間、有無を言わさずそこに鉄球を撃ち込んだ。
「おげええええっ」
拳大の鉄球は腰の辺りに命中し、『魔蟲鬼』がぶっ飛んで倒れる。
老体だけに、ひょっとして死んじゃったかも知れないけど、もう逃がすわけにはいかないんであまり手加減出来ないんだ、スマンね。
逃がすとまたみんなの危険度が上がっちゃうからね。
一応、老人という事で即殺するのはやめたけど、鉄球を避けられたら『呪王の死睨』を使ってたところだったよ。
そういった意味では、『魔蟲鬼』は鉄球を喰らって逆にラッキーだったんだけどね。
僕は倒れている『魔蟲鬼』のもとに駈け寄った。
殺し屋『魔蟲鬼』の虫たちに襲われ、僕たちは大ピンチとなってしまったが、僕はたまたまこの状況に最適なスキルを強化していた。
僕が強化したスキル――それはクラスメイトからコピーした『生活魔法』だ。
『生活魔法』とはCランクスキルで、食料の長期保存が出来たり、傷んだ衣服などの修復が出来たり、部屋の温度を快適に調節出来たりする魔法である。
アイテムボックスを持ってる人はほぼ居ないので、食料の長期保存には特に需要がある。
ゴミ掃除の魔法もあるし、洗い物を行ったり、散らかった物を元の場所に戻す魔法なんかも便利だ。
とにかく、生活を楽にするちょっとした魔法が多く、持ってる人は重宝されたりする。
しかし、戦闘にはもちろん無力で、通常では使う事なんてありえない。
だが、今回だけはちょっと違ったようだ。
僕は『生活魔法』のレベル10にある魔法を撃ち放つ。
「害虫極大駆除燻煙!」
僕が魔法を唱えると、通路いっぱいに灰緑の煙が立ち上り、視界を曇らせた。
そこに『魔蟲鬼』の操っている蟲たちが、勢いよく突っ込んでくる。
「なんじゃ? そんな煙など、儂の蟲たちに通用するはず……なんと!?」
『魔蟲鬼』の予想に反し、煙に入った蟲たちはバッタバッタと地面に落ちていった。
床の上は、手足を痙攣させながらひっくり返った蟲で埋め尽くされていく。
「バカなっ、たとえ毒霧でも、一瞬で儂の蟲たちを殺す事など不可能じゃ! コレは一体どういうことなのじゃ!?」
蟲たちは僕のところまで到達することなく、あっという間に全滅した。
種明かしは、アニスさんが浴室で黒羽虫を見て絶叫した事から始まる。
あの時、アニスさんがまた虫を見て怖がった時のため、何かの対処法を考えなくちゃと思ったんだよね。
この砦には黒羽虫が居るようだし、作戦行動中に虫に遭遇したら、まさかの緊急事態となってしまう。
さて、その虫の対処法だけど、火魔法で焼くわけにもいかないし、毒を使えば人間にも害は出るし、叩き潰したりするのも物音が出てしまったりと簡単ではない。
別に気にしなければなんの障害にもならないのだが、苦手な人にとっては虫の出現は一大事だ。
何か良い対策がないものかと思ったら、ふと『生活魔法』レベル1に虫除けの魔法があった事を思い出した。
そこで、スキルレベルを上げればもっと強力な虫対策があると思って、『生活魔法』をレベル10にしてみた。
経験値1000万ほど掛かったけど、何かと便利な魔法でもあるし、後々にも使う機会は多いだろうと思ったんで惜しみなく上げる。
すると、予想通り上位には色んな殺虫魔法があった。
身体の大小や虫の性質、生息場所やその数などによって、有効となる魔法がいくつかあったが、中でもレベル10にあるのは超強力な害虫駆除魔法だった。
まさに最強の殺虫魔法で、もし虫の大群に出くわす事があったら使おうと思ってたんだ。
それがさっきの『害虫極大駆除燻煙』だ。
虫の神経を瞬間的に完全麻痺させるので、すぐに動けなくなってそのまま死ぬ。
もちろん、その他の生物には一切害は無く、虫のみを退治出来る。
大変便利な魔法だけど、経験値1000万使ってまで『生活魔法』をレベル10にする人は居ないんで、こんな魔法があることを知ってる人はまず居ないと思う。
冒険者ならほかに優先すべきスキルがあるし、一般人なら1000万を注ぎ込めるほど経験値を溜められないからね。
そもそも冒険者の総取得経験値の平均が4~500万くらいのはずなので、『生活魔法』に1000万なんて使えるわけがない。
600万ほど経験値を稼げば、ベースレベルは50前後、各スキルもそれなりに育てられて、優秀と評価されるBランクになれるほどだ。
僕とかクラスメイトがガンガン稼いじゃうんで感覚が狂っちゃうけど、みんなそれくらいで頑張ってるんだよね。
とまあそういうわけで、厄介な虫はあっけなく退治出来た。
これもアニスさんのおかげだ。その当人はまだ気絶したままだけど。
「ぐうっ……わ、儂のっ、よくもっ、おのれええええっ」
と威勢の良い声を上げた割には、『魔蟲鬼』は踵を返して逃げ出そうとした。
だと思ったよ。さっきは『玩具屋』にしてやられたけど、今度は逃がさない。
『魔蟲鬼』が背を向けた瞬間、有無を言わさずそこに鉄球を撃ち込んだ。
「おげええええっ」
拳大の鉄球は腰の辺りに命中し、『魔蟲鬼』がぶっ飛んで倒れる。
老体だけに、ひょっとして死んじゃったかも知れないけど、もう逃がすわけにはいかないんであまり手加減出来ないんだ、スマンね。
逃がすとまたみんなの危険度が上がっちゃうからね。
一応、老人という事で即殺するのはやめたけど、鉄球を避けられたら『呪王の死睨』を使ってたところだったよ。
そういった意味では、『魔蟲鬼』は鉄球を喰らって逆にラッキーだったんだけどね。
僕は倒れている『魔蟲鬼』のもとに駈け寄った。
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