少年の短い家出

報道《ほうどう》

　朝になり、目を覚ます、時計を見るとまだ5時だった。いつもの癖で早い時間に起きてしまったようだ。昨日の夜は床に布団を敷きその上に寝た。今まではベッドで寝ていたため、最初は少し硬く寝ずらかったが時間が経つにつれて眠くなり、気づけば寝てしまっていた。

　ふすまを開けて、洗面台に向かう。洗面台では、竹山さんが歯磨きをしていた。

「おー椿起きたか。俺、今から仕事行ってくるから昼飯は勝手に食べてきてくれ。朝ごはんはサンドイッチが置いてあるから。じゃあ行ってきます。」

　そう言い終わると竹山さんは歯磨きをやめて、黒いコートを羽織り家を出た。

　俺は、こんな早くに会社に行って偉いと思う反面、この人も社会人なのかとがっかりする気持ちもあった。

　これと言ったやることも無いため、テレビをつける。たまたま、県のニュースがやっていた。ニュースを見ながら、サンドイッチを食べた。既製品だった。これも全部が同じ形だ、そんなことを考えながら食べていた。すると、こんなニュースがやっていた。

『山上高校の生徒が行方不明』

　そして、俺の写真が画面いっぱいに映し出されていた。その後、コメンテイターや警察の人、司会者などが少し話したところですぐに次の記事に移った。

「やっぱり俺がいなくなっただけじゃ誰も困んねーんだなー。尺もめっちゃ短いし、てかこのままだと外出れなくなるんじゃね？」

　などと独り言を言って、外に出られなくなるのはまずいので持ってきた財布を持ってコンビニに早めに昼ご飯を買いに行った。次の記事は、最近この付近で起こっている組織的な犯罪者の話題で少し気になったが、きっとこの話題は結構しっかり話すんだろうなと思いつつテレビの電源を落とした。

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　そしてそれから一週間ほど経ったある日のことだった。事情を説明してご飯は竹山さんに買ってきてもらっていて基本家にいる俺は、昼のニュースを見ていた。するとまた俺のニュースがやっている。

『令和の神隠しか⁉少年行方不明から一週間。』

「神隠しって発想ガキかよ。」

　そんな独り言をしていると携帯に一通のメールが届いた。