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私の長所は、貴族令嬢はあまり持ち合わせていない潔い性格だと思っている。
そして私の短所は、言わなくてもよいことまでつい口にしてしまう思慮の足りなさだと言われている。
そんな私に縁談が来た。
しばらくそういった話とは無縁だったので、私は驚き、父母はこの縁を逃してはならない、と即決で返事を出した。
なので、お互いの顔合わせの時にはほぼ婚約は確定していた。
「初めてお目にかかります。ケイン・ウィズラートと申します」
「初めまして。ブラハ家三女、レイニアと申します」
私と彼は初対面だった。
成人してからの夜会でもお会いした覚えはない。ウィズラート伯爵家とブラハ子爵家に今まで交流はなく、年も10歳離れているので、貴族学校に通っている時期も被っていない。
「この度は、結婚の申込みをお受けいただき、ありがとうございます」
彼は端正ではあるけれど、愛想のかけらもない顔でそう言った。無表情で陰鬱な様は、とても婚約の顔合わせには相応しくない。
理由はわからないまでも、彼が私を結婚相手に選んでくれたのだと思っていた。
そうではないのだろうか。
そう思ったら、聞かずにいられないのが私だった。
「こちらこそ、お声がけいただいて光栄です。でも、接点のない私にどうして結婚をお申込みいただいたのですか?」
「伯爵家を継いで以降付いていた後見人がこの度任期を終えるのですが、その者からこの機に結婚を勧められたのです」
「それが私なのですか?」
ウィズラート伯爵は、一瞬だけ言い淀んだようだったが、それでも口にした。
「今すぐ結婚を申し込んで、お受けいただけそうな相手が貴女ということだったので」
なるほど。
明快ではあるが、普通なかなか本人相手にはっきりとは言わないことをおっしゃる方だ。そういうところは私に似ているかも知れない。
「結婚さえできれば私でなくても良かったということですね」
「そう思っていただいても構いません」
「実際に私と会ってみていかがですか? 結婚相手として問題はなさそうでしょうか?」
「問題ありません」
こちらも割り切って質問してみたが、彼は無表情のまま、淡々と答えてくれた。
きっとこの人にとって結婚はただの契約で、特別なことではないのだろうと感じられた。
正直な人ではあるのだろうけれど、残念な人でもある。
既に上の姉2人は嫁ぎ、すぐ上の兄には婚約者がいる。
貴族令嬢らしからぬ性格が災いして、この年になってもまだ婚約したこともない私は、両親にとって心配の種でしかない。
その両親の仲睦まじさを普段から目にしている私としては、提示されている割り切った結婚は望んでいたものとは違うのだけれど……。
私ならすぐに結婚を承諾すると思っていたということは、ある程度私の風評も知り過度な期待はされていないだろう。
結婚相手は誰でも良かった、ということを包み隠しもしないのは、ありもしない私への思い入れを捏造などしない誠実さともとれる。
きっと、悪い人ではない。
ならば、これから関係を改善していくことも不可能ではない。そう思いたい。
「わかりました。私としても、行き遅れになる前で助かります。どうぞよろしくお願いいたします」
わざわざ言わなくてもよい余計なことを言ってしまうのは私の常だが、それも慣れていただこう。
こうして、貴族の婚約としては異例の早さで、私とケイン様の婚約は成立したのだった。
そして私の短所は、言わなくてもよいことまでつい口にしてしまう思慮の足りなさだと言われている。
そんな私に縁談が来た。
しばらくそういった話とは無縁だったので、私は驚き、父母はこの縁を逃してはならない、と即決で返事を出した。
なので、お互いの顔合わせの時にはほぼ婚約は確定していた。
「初めてお目にかかります。ケイン・ウィズラートと申します」
「初めまして。ブラハ家三女、レイニアと申します」
私と彼は初対面だった。
成人してからの夜会でもお会いした覚えはない。ウィズラート伯爵家とブラハ子爵家に今まで交流はなく、年も10歳離れているので、貴族学校に通っている時期も被っていない。
「この度は、結婚の申込みをお受けいただき、ありがとうございます」
彼は端正ではあるけれど、愛想のかけらもない顔でそう言った。無表情で陰鬱な様は、とても婚約の顔合わせには相応しくない。
理由はわからないまでも、彼が私を結婚相手に選んでくれたのだと思っていた。
そうではないのだろうか。
そう思ったら、聞かずにいられないのが私だった。
「こちらこそ、お声がけいただいて光栄です。でも、接点のない私にどうして結婚をお申込みいただいたのですか?」
「伯爵家を継いで以降付いていた後見人がこの度任期を終えるのですが、その者からこの機に結婚を勧められたのです」
「それが私なのですか?」
ウィズラート伯爵は、一瞬だけ言い淀んだようだったが、それでも口にした。
「今すぐ結婚を申し込んで、お受けいただけそうな相手が貴女ということだったので」
なるほど。
明快ではあるが、普通なかなか本人相手にはっきりとは言わないことをおっしゃる方だ。そういうところは私に似ているかも知れない。
「結婚さえできれば私でなくても良かったということですね」
「そう思っていただいても構いません」
「実際に私と会ってみていかがですか? 結婚相手として問題はなさそうでしょうか?」
「問題ありません」
こちらも割り切って質問してみたが、彼は無表情のまま、淡々と答えてくれた。
きっとこの人にとって結婚はただの契約で、特別なことではないのだろうと感じられた。
正直な人ではあるのだろうけれど、残念な人でもある。
既に上の姉2人は嫁ぎ、すぐ上の兄には婚約者がいる。
貴族令嬢らしからぬ性格が災いして、この年になってもまだ婚約したこともない私は、両親にとって心配の種でしかない。
その両親の仲睦まじさを普段から目にしている私としては、提示されている割り切った結婚は望んでいたものとは違うのだけれど……。
私ならすぐに結婚を承諾すると思っていたということは、ある程度私の風評も知り過度な期待はされていないだろう。
結婚相手は誰でも良かった、ということを包み隠しもしないのは、ありもしない私への思い入れを捏造などしない誠実さともとれる。
きっと、悪い人ではない。
ならば、これから関係を改善していくことも不可能ではない。そう思いたい。
「わかりました。私としても、行き遅れになる前で助かります。どうぞよろしくお願いいたします」
わざわざ言わなくてもよい余計なことを言ってしまうのは私の常だが、それも慣れていただこう。
こうして、貴族の婚約としては異例の早さで、私とケイン様の婚約は成立したのだった。
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