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弟の存在を知った男、感じたものは何か
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一体、誰だ、恋人と仲良くしている男にむっとしてしまった
すると、その視線に気づいたのか、不思議そうな顔で女が尋ねた。
「以前、会ってるでしょ、忘れたの」
その言葉に思いだそうとするが、こんな男は見たことがないと思った、感情が顔に出たのかもしれない。
弟の一樹ですと言われて驚いた。
自分よりも若い、いや、それだけではない、顔もいい、まるで役者か芸能人のようだといってもおかしくはない。
にっこりと笑った後、あのときは少し太っていましたから、その言葉にすぐには返事ができず男は相手の顔をまじまじと見た。
太った男、その言葉に少しずつ記憶が鮮明になっていく。
そうだ、確か、彼女の家に行ったときだと思いだした。
だが、少しどころではない、あのときは髪は伸びてボサボサで顔の半分以上が隠れていた、体型も太っていたと、いや、それ以上で、まるで引きこもり中年男のような雰囲気だった。
「仕事柄、入れ込んでしまって、どうしても」
その言葉に働いていたのとか男は驚いた。
「一樹は役者、言わなかったっけ」
「いや、聞いて」
言いかけて、男は憶えていないと首を振った、もし聞いていたとしても憶えてはいなかったかもしれない。
「あのときは、知らない人は引きこもりの息子がいると思ったんじゃないかな」
「あら、近所の人は分かってたわよ、反対に面白がってたわ、今度はどんな役って」
「ところで今日は何しに来たの、泊まるの」
「いや、そのつもりだったけど、弟さんがいるなら」
「いいじゃないですか、章子の彼氏なら遠慮しないでください」
弟と仲が良いんだ、このときは、そう思っただけだった。
結局のところ、その日、泊まる事はなく男は自宅に戻った。
だが、それから数日後、再び、彼女のアパートを訪れると弟はいた、それだけではない、部屋の中には見たことのない家具と服がある。
もしかしてと思い、尋ねると一緒に住むことになったのだという。
「稽古場が近いからね、しばらく一緒に住むことになったの、どうしたの」
その日、外で夕食を食べようと男は彼女に連絡をした。
いつもなら最初は二人でビールを頼むのだが、今日の彼女はウーロン茶だ。
「外食は控えるようにしてるの、一樹が作ってくれるから」
「どうしたんだ、急に」
「料理が得意な男、役作りのために協力よ、自炊はするタイプだし、それにしても」
女の視線がテーブルの上の並んだ料理に向けられるのを感じた。
チキン南蛮、チーズとはんぺんのはさみ揚げ、豚の角煮、あじフライ、全て男自身が注文した料理だが、半分近くを食べている。
反対に女の前にはホッケ、ぶりカマの塩焼き、大根の煮物、冷や奴だ。
女と比べて自分は頼みすぎ、脂っこいものを食べ過ぎかと思った、だが、最近、仕事がハードなんだよと言いながら男は箸をのばして食べ始めた。
「そうなの、でも気をつけて、カロリー高そうなものばかりだから」
その言葉に男は内心、いらっとしてしまった。
「ところで、あたし、しばらく留守にするから」
「仕事かい」
話したくなさそうだなと思った男は深く尋ねる事はしなかった。
恋人だと思っている自分だが、女は、もしかしてそうではないのかもしれない。
そう思ったのは弟が彼女のアパートで一緒に住み始めてからだ。
一緒に住み始めてから何度か弟に会ったが、二人の距離が近いのだ。
本当に、そうなのかと思うくらいだ。
すると、その視線に気づいたのか、不思議そうな顔で女が尋ねた。
「以前、会ってるでしょ、忘れたの」
その言葉に思いだそうとするが、こんな男は見たことがないと思った、感情が顔に出たのかもしれない。
弟の一樹ですと言われて驚いた。
自分よりも若い、いや、それだけではない、顔もいい、まるで役者か芸能人のようだといってもおかしくはない。
にっこりと笑った後、あのときは少し太っていましたから、その言葉にすぐには返事ができず男は相手の顔をまじまじと見た。
太った男、その言葉に少しずつ記憶が鮮明になっていく。
そうだ、確か、彼女の家に行ったときだと思いだした。
だが、少しどころではない、あのときは髪は伸びてボサボサで顔の半分以上が隠れていた、体型も太っていたと、いや、それ以上で、まるで引きこもり中年男のような雰囲気だった。
「仕事柄、入れ込んでしまって、どうしても」
その言葉に働いていたのとか男は驚いた。
「一樹は役者、言わなかったっけ」
「いや、聞いて」
言いかけて、男は憶えていないと首を振った、もし聞いていたとしても憶えてはいなかったかもしれない。
「あのときは、知らない人は引きこもりの息子がいると思ったんじゃないかな」
「あら、近所の人は分かってたわよ、反対に面白がってたわ、今度はどんな役って」
「ところで今日は何しに来たの、泊まるの」
「いや、そのつもりだったけど、弟さんがいるなら」
「いいじゃないですか、章子の彼氏なら遠慮しないでください」
弟と仲が良いんだ、このときは、そう思っただけだった。
結局のところ、その日、泊まる事はなく男は自宅に戻った。
だが、それから数日後、再び、彼女のアパートを訪れると弟はいた、それだけではない、部屋の中には見たことのない家具と服がある。
もしかしてと思い、尋ねると一緒に住むことになったのだという。
「稽古場が近いからね、しばらく一緒に住むことになったの、どうしたの」
その日、外で夕食を食べようと男は彼女に連絡をした。
いつもなら最初は二人でビールを頼むのだが、今日の彼女はウーロン茶だ。
「外食は控えるようにしてるの、一樹が作ってくれるから」
「どうしたんだ、急に」
「料理が得意な男、役作りのために協力よ、自炊はするタイプだし、それにしても」
女の視線がテーブルの上の並んだ料理に向けられるのを感じた。
チキン南蛮、チーズとはんぺんのはさみ揚げ、豚の角煮、あじフライ、全て男自身が注文した料理だが、半分近くを食べている。
反対に女の前にはホッケ、ぶりカマの塩焼き、大根の煮物、冷や奴だ。
女と比べて自分は頼みすぎ、脂っこいものを食べ過ぎかと思った、だが、最近、仕事がハードなんだよと言いながら男は箸をのばして食べ始めた。
「そうなの、でも気をつけて、カロリー高そうなものばかりだから」
その言葉に男は内心、いらっとしてしまった。
「ところで、あたし、しばらく留守にするから」
「仕事かい」
話したくなさそうだなと思った男は深く尋ねる事はしなかった。
恋人だと思っている自分だが、女は、もしかしてそうではないのかもしれない。
そう思ったのは弟が彼女のアパートで一緒に住み始めてからだ。
一緒に住み始めてから何度か弟に会ったが、二人の距離が近いのだ。
本当に、そうなのかと思うくらいだ。
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