「Rencontre fortuite(偶然の再会)」

木桜 春雨

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5・6・7 「佐田親子(さだおやこ)」 「見合い相手瑛子(えいこ)の来襲」「山城と瑛子」

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 4 佐田親子(さだ)

 「瑛子(えいこ)、先日の件だが……」
 父親の顔色を見て、もしかしたら良くない話かもしれないと女は考えた。
 数日前、見合いをしてみないかと言われて見せられたのは写真ではなく雑誌のコラムだ、彼女は驚いた。
 「山城って、この人もしかして先日のパーティに来ていた人じゃない。」
 「ああ、なかなかのやり手だ、事業家としてはなかなかのやり手だ、味方になれば頼もしい男だ。」
 お前が彼と一緒になればと言葉を続ける。 
 「今年で40をすぎたばかりか、どうだ、いい男だろう。」
 「そうね、確かにいい男、金にしか興味がないって顔だわ。」
 その言葉に佐田はにんまりと笑った、こういうときだ、自分の娘だなと思うのは。
 「お前のことを話してみたんだか、今は忙しいと言われてな。」
 「その気がないってこと、他に女がいるのかしら。」
 この男なら付き合っている女性、いや、愛人の一人や二人いてもおかしくはないだろう、だが、父親の言葉に瑛子の顔色が変わった。
 「子供を引きとった、そんな男と。」
 「いや、正直、よくわからないんだ。」
 調べようとしても情報がなかなか出てこない、その言葉は瑛子の耳には届いていなかった。
 「だが、お前が本気になれば、どうだ、簡単だろう。」
 父親の言葉に瑛子は笑った。
 自分が山城と一緒になったら、今以上に贅沢な暮らしができるかもしれない、そんな事を考えていたからだ。

5 見合い相手(瑛子)の来襲

 「あなたが水樹さん。」
 その日、突然、知らない女性から声をかけられた水樹は驚いた。
 体にぴっちりとしたタイトなスーツを着た女性は水樹の全身を眺め回すように見ると、山城さんとはどういう関係なのかしらと聞いてきた。
 「あ、あの、母の葬儀でお世話になって。」
 水樹の言葉に女性は頷いたが、その顔はどこか不満げだ。
 「そうなの、でも、あなたまでって、おかしくない。子供じゃないんだから。」
 普通なら失礼な事をいう相手だと怒ってもおかしくはない、いや、それが普通にの反応だろう。 
 だか、水樹は不思議そうに女性を見るだけだ。
 「私、山城さんと結婚するの、わかるでしょう、血の繋がりのない赤の他人、それもあなたみたいな人間がいると邪魔なの」
 はっきり言ってわからせたほうがいいと瑛子は思っていた。
 山城は友人の子供を引き取っているというところまでは調べたのだ、だが、それが歳は、女の子か男の子かわからなかった。
 てっきり子供、大きくても義務教育中、学生ぐらいだろうと思っていたのだ。 
 だが、目の前にいる水樹という女性は子供ではなかった。
 (成人じゃない、もしかして山城さんと関係が)
 そう思ったが、だが、水樹という女性を見て自分の方が勝っている、女としての魅力もあると思ったのだ。
 こんな、貧相な女を、山城のような男が相手にするわけないと思った。 
 「あ、あの、それだけですか……」
 その言葉に、瑛子は一瞬、言葉を失った。
 (……何、この女、本当に馬鹿なの?)
 拍子抜けするほどの鈍さに、苛立ちよりも呆れが勝る。だが、同時に確信した。
 こんな女に、私が負けるわけがない。
 瑛子は背筋を伸ばし、冷たい微笑みを浮かべた。
 ——私は絶対に、山城と一緒になる。どんな手を使ってでも。

 6 山城と瑛子

 山城は溜息を漏らした、数日前のことだ、いつまでも独り身は大変だろう、もしよければと見合いをしてみないかと言われたのだ。
 これが少し前なら、今は忙しいと断ることもできた、だが、今回ばかりは、簡単にいき そうにないのは見合い相手の女性が取引先の関係者だからだ。
 取引先の会長から毎日のように連絡が入り、断る口実も尽きかけていた。
 仕方ないと山城は女を食事に誘った。

 「嬉しいですわ、山城さんから誘ってくださるなんて……」
 山城は香水の香りに目眩がしそうだった、スマホにしつこいくらい女の父親から何度も連絡があり、これは自分が会って直接断るしかないと思ったのだ。
 だが、女を前にして、これは父親よりも面倒な相手だと感じはじめていた。
 どうやって断る、頭の中で会話を考えていると。
 
 「そう言えば山城さんは友人の娘さんをお世話しているとか……水樹さんでしたわね。」
 何故、水樹の事を知っている、まさか、調べたのか。
 山城の視線なが一瞬険しくなった。
 「彼女に会った、あなたは。」
 瑛子は頷いた。
 「「経済的なご支援もされているんですね?でも、もう大人ですし、自立することも大切なのでは?」
 遠慮ない物言いだと山城の顔が険しくなった。
 「君は、彼女が成人していることを気にしているんじゃないか?」
 瑛子はとんでもないと首を振った。
 「誤解しないでほしんです、私はただ。」
 「瑛子さん、私達は他人だ、水樹の、彼女のことについて、あなたに話す必要があるとは思えないんですが。」
 瑛子の表情が変わった、まずいと思ったのだろう、ここでせ山城の機嫌を損ねてはまずいと思ったのだろう。
 「ごめんなさい、水樹さんのこと、そんなつもりはなかったの。」
 山城は問い詰めようとしたが、こういう女には何を言っても無駄たと思って諦めた。

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