押し付けられたのは年上の未亡人

三ノ宮 みさお

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自分には好きな女がいると、だが、それは後悔の始まりだった 

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 相手が決まったと両親から聞かされたとき、男は断るつもりだった、自分には好きな女がいるのだ、だから結婚はしないと。
 だが、両親は我が儘だと許さなかった。
 子供の頃から自分が欲しいもといえば大抵の者は買ってもらえたし、我が儘もきいてもらえたので男は正直、驚いた。
 だが、おまえはいずれは跡目を継ぐのだと言われては流石に反論する事はできなかった。 
 決して理解のない猟人ではない、ただ息子が好きだという相手の女は下町の平民の娘なのだ。
 ちゃんとした貴族の娘なら多少、家柄に難ありでも反対はしなかっただろう。
 純粋な娘なんですと、だが、それは息子の贔屓目だ、貴族の両親から見たら、一体何故、こんな娘を好きにってしまったのかと驚くほどだ、甘やかして育てた結果、そのツケが回ってきたと思った。
 パーティやサロンの集まりで、息子のことを聞かれると愛想笑いで答えなければならない。
 恥をかかされたと息子に言うと、自分たちは純粋な愛情で結ばれている。
 やっかんでいるのだという始末だ、貴族の立場というものをわかっていない態度に相談した結果、王命での結婚が決まった。
 流石の息子も王の命令には逆らえない。
 だが、相手の女性がどんな人間かと聞いて驚き、落胆した。
 二十半ばの自分より八歳も年上、そして夫を亡くした、つまり未亡人だ。 
 そんな女を妻に迎えることになるなんて、自分は不幸だと思わずにはいられなかった。
 
 結婚式は簡素なものだった、互いの名前を書類にサインするだけだった。
 それというのも妻の両親、親族は多忙で国外にいたのだ、いや、それだけではないだろう、王の命令で急に決まったということもあるのかもしれない。
 
 「僕には好きな人がいる」
 結婚した、その日の夜、男は妻となった女性に、あることを提案した、白い結婚だ。
 貴族の間では珍しいことではない、反対されるかと思ったが、妻となった女性、ジュティーナはあっさりと受け入れた。
 「あなたにも不満はおありでしょう、そここで私からの提案です、別邸で好きな女性と暮らしてはどうですか」 
 「ただし、その女性との間に子供ができても跡取りにはしない、そして、こちらの館には顔を出さないでください」
 「どういう意味だ、それは」
 「娼館の女ならともかく、ただの平民の娘と貴族の恋愛など醜聞以外のなにものでもありません」
 自分は暇ではないと言われて男は驚いた、国王から政策、領地、領民の暮らしがよりよ良いものになるよう、色々なことをしなければならないと言われている。
 「ウェスラーの領地は、領民の生活、領地の作物、決して良いとはいえません、私はそのお手伝いをしなければ」
 あなたは、まさか、私が嫁いできて何もしないと思っていたのですか、男は言葉を飲み込んだ、反論できなかった。
 国王からの命令で嫁いできただけのただのお飾りの妻だと思っていたのだ。 

 そして男は両親と妻の住む館を離れることになる、だが、このとき、自分が後悔することになろうとは思いもしなかった。
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