【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

桜葉詩織

文字の大きさ
85 / 455
4.王子の葛藤

抱けるか?

しおりを挟む
アルストメリー国はこれまで、内部の治安維持のためだけに王族の力を使ってきた。
ところが、白紙の子が生まれた時代、必ずとして起きたのが、外の世界からの侵略。

外の世界というのは、俺があのテストを受けて王位継承者になる前に、時々遊びに行った世界。
整えられたこの国とは違う空間。
魔物がはびこり、何が襲ってくるかわからない未知なる世界。
無限に広がっている森や地面に、俺は幼心にドキドキしたのは覚えている。

その外の世界には、大なり小なり複数の国が存在し、俺たちと同じように、その国の王が統治している。
そこまでは学ばされたので、知識としてだけ知っている。

問題は、その国にあった。
白紙の子供が生まれた時、必ずアルストメリー国は外の国から侵略され、滅亡の危機になる、と。
その事実は、王族だけに隠された国の秘密の1つ。

アルストメリーの歴史上、白紙の子供が生まれたのは3回。
それらは、数百年以上前のことではあるが、隣国が侵略し、ある時はその国の奴隷にさせられ、またある時は国民の大半が殺された。

その後、強い魔力を持つ王族が現れ、儀式をする事でアルストメリー国が復興され、今の国の形で収まったが……まさにそんな「恐怖の予兆」として再び白紙の子が生まれてしまった……ということらしい。

「そんなの、ただの偶然じゃないですか」

そう。まだたった3回しかない。
もっと数が多ければまだ相関関係の説明もつくだろうが。
気のせいではないか、と俺は言いたかったが、父親は首を振った。

「偶然で、この国を危険に晒してはならないのだ」

その目は、悲哀に満ちている。

「では……仮に、白紙の子が生まれたとして……国の危機と……俺の婚約の話はどう繋がるのですか」
「お前の婚約相手は、まさにこれまで白紙の子が生まれる度に侵略をしてきた国の娘だ」
「え……」
「その国は、アルストメリーよりずっと強大で、魔力より武力に優れている。正直、今のまま攻められてしまえば、あっという間にこの国は火に包まれるだろう」
「そんなに……」
「そこでだ、向こうの国との姻戚関係を結ぶことに決めた]
「どうしていきなりそんな話になるんですか」
「お前も、歴史を学んでいるなら分かるだろう。婚姻とは家と家を結びつけるための制度。アルストメリー国の貴族達は特に、この婚姻制度を利用して互いに協力関係を築いて強大になった」

(貴族……ということは、カシーの家もか……)

カシーの家については、かつて王族と深い関係にあったことと、カシーの家から女性が生まれたら、王族として迎えてきたという歴史がある……ということしか、俺は知らない。

父親は、俺の返答を待たずに話を続けた。

「そこで、先に王位継承権を持つお前と、かの国の王女と姻戚関係を作り、子供を作ってもらう」
「なっ……!?」
「血は、水よりも強い。お前と王女との間に、どんな性別であれ子供さえ生まれれば、かの国との絆は強固になり、アルストメリー国が滅びることは、しばらくないかもしれない」
「かもしれないって……可能性の話じゃないですか!!確実じゃないのに……それにどうして俺が!」

父親は俺の言葉を遮るように

「もう決めたことだ。正妃がすでに手筈を整えた」

強い口調で言い放った。

「これは、王命だ。王位継承権を持つお前が、王女と婚姻を結ぶ」

王命。
逆らうことが許されない究極の命令。

「話は以上だ。部屋に戻れ」
「父上」
「なんだ、まだ何かあるのか」

あれだけ優しかったはずの父親は今心、底うんざりしたような顔になっている。
まるで、これ以上余計な事を言ってくれるな……と言いたげな様子。
だけど、俺は納得がいかない。
何もかも。

「カシーは何なんですか」
「ん?」
「先ほどの言い回しでは、カシーだけは正妃にできないと言いました。これはどういう意味なんですか」

あの日。
俺とカシーに対してこう言った。

「俺とカシーが仲良くすることで、俺の魔力が高まる。そうすると国が平和になると言った。あれはどういうことなんですか!?」

(カシーが俺の正妃になって、共に国を治めるということではなかったのか……!)

「そうか……もう、その話をしないといけないのだな……」

王が手を上げる。
王の警備をしていた騎士達が、さっと素早く部屋を出ていく。

「父上……何を……」
「ここから先の話は、王家存続に関わる機密事項だからな。必要のない人間には去ってもらう必要がある」
「機密事項……?」

(そう言えば、あの儀式の間も、ほとんどの人間が入れないと言っていた……)

「それは一体……なんだというのですか……」

すると父親は、突然衝撃的な事を聞いてきた。

「お前は、カサブランカを抱けるか?」
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...