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4.王子の葛藤
抱けるか?
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アルストメリー国はこれまで、内部の治安維持のためだけに王族の力を使ってきた。
ところが、白紙の子が生まれた時代、必ずとして起きたのが、外の世界からの侵略。
外の世界というのは、俺があのテストを受けて王位継承者になる前に、時々遊びに行った世界。
整えられたこの国とは違う空間。
魔物がはびこり、何が襲ってくるかわからない未知なる世界。
無限に広がっている森や地面に、俺は幼心にドキドキしたのは覚えている。
その外の世界には、大なり小なり複数の国が存在し、俺たちと同じように、その国の王が統治している。
そこまでは学ばされたので、知識としてだけ知っている。
問題は、その国にあった。
白紙の子供が生まれた時、必ずアルストメリー国は外の国から侵略され、滅亡の危機になる、と。
その事実は、王族だけに隠された国の秘密の1つ。
アルストメリーの歴史上、白紙の子供が生まれたのは3回。
それらは、数百年以上前のことではあるが、隣国が侵略し、ある時はその国の奴隷にさせられ、またある時は国民の大半が殺された。
その後、強い魔力を持つ王族が現れ、儀式をする事でアルストメリー国が復興され、今の国の形で収まったが……まさにそんな「恐怖の予兆」として再び白紙の子が生まれてしまった……ということらしい。
「そんなの、ただの偶然じゃないですか」
そう。まだたった3回しかない。
もっと数が多ければまだ相関関係の説明もつくだろうが。
気のせいではないか、と俺は言いたかったが、父親は首を振った。
「偶然で、この国を危険に晒してはならないのだ」
その目は、悲哀に満ちている。
「では……仮に、白紙の子が生まれたとして……国の危機と……俺の婚約の話はどう繋がるのですか」
「お前の婚約相手は、まさにこれまで白紙の子が生まれる度に侵略をしてきた国の娘だ」
「え……」
「その国は、アルストメリーよりずっと強大で、魔力より武力に優れている。正直、今のまま攻められてしまえば、あっという間にこの国は火に包まれるだろう」
「そんなに……」
「そこでだ、向こうの国との姻戚関係を結ぶことに決めた]
「どうしていきなりそんな話になるんですか」
「お前も、歴史を学んでいるなら分かるだろう。婚姻とは家と家を結びつけるための制度。アルストメリー国の貴族達は特に、この婚姻制度を利用して互いに協力関係を築いて強大になった」
(貴族……ということは、カシーの家もか……)
カシーの家については、かつて王族と深い関係にあったことと、カシーの家から女性が生まれたら、王族として迎えてきたという歴史がある……ということしか、俺は知らない。
父親は、俺の返答を待たずに話を続けた。
「そこで、先に王位継承権を持つお前と、かの国の王女と姻戚関係を作り、子供を作ってもらう」
「なっ……!?」
「血は、水よりも強い。お前と王女との間に、どんな性別であれ子供さえ生まれれば、かの国との絆は強固になり、アルストメリー国が滅びることは、しばらくないかもしれない」
「かもしれないって……可能性の話じゃないですか!!確実じゃないのに……それにどうして俺が!」
父親は俺の言葉を遮るように
「もう決めたことだ。正妃がすでに手筈を整えた」
強い口調で言い放った。
「これは、王命だ。王位継承権を持つお前が、王女と婚姻を結ぶ」
王命。
逆らうことが許されない究極の命令。
「話は以上だ。部屋に戻れ」
「父上」
「なんだ、まだ何かあるのか」
あれだけ優しかったはずの父親は今心、底うんざりしたような顔になっている。
まるで、これ以上余計な事を言ってくれるな……と言いたげな様子。
だけど、俺は納得がいかない。
何もかも。
「カシーは何なんですか」
「ん?」
「先ほどの言い回しでは、カシーだけは正妃にできないと言いました。これはどういう意味なんですか」
あの日。
俺とカシーに対してこう言った。
「俺とカシーが仲良くすることで、俺の魔力が高まる。そうすると国が平和になると言った。あれはどういうことなんですか!?」
(カシーが俺の正妃になって、共に国を治めるということではなかったのか……!)
「そうか……もう、その話をしないといけないのだな……」
王が手を上げる。
王の警備をしていた騎士達が、さっと素早く部屋を出ていく。
「父上……何を……」
「ここから先の話は、王家存続に関わる機密事項だからな。必要のない人間には去ってもらう必要がある」
「機密事項……?」
(そう言えば、あの儀式の間も、ほとんどの人間が入れないと言っていた……)
「それは一体……なんだというのですか……」
すると父親は、突然衝撃的な事を聞いてきた。
「お前は、カサブランカを抱けるか?」
ところが、白紙の子が生まれた時代、必ずとして起きたのが、外の世界からの侵略。
外の世界というのは、俺があのテストを受けて王位継承者になる前に、時々遊びに行った世界。
整えられたこの国とは違う空間。
魔物がはびこり、何が襲ってくるかわからない未知なる世界。
無限に広がっている森や地面に、俺は幼心にドキドキしたのは覚えている。
その外の世界には、大なり小なり複数の国が存在し、俺たちと同じように、その国の王が統治している。
そこまでは学ばされたので、知識としてだけ知っている。
問題は、その国にあった。
白紙の子供が生まれた時、必ずアルストメリー国は外の国から侵略され、滅亡の危機になる、と。
その事実は、王族だけに隠された国の秘密の1つ。
アルストメリーの歴史上、白紙の子供が生まれたのは3回。
それらは、数百年以上前のことではあるが、隣国が侵略し、ある時はその国の奴隷にさせられ、またある時は国民の大半が殺された。
その後、強い魔力を持つ王族が現れ、儀式をする事でアルストメリー国が復興され、今の国の形で収まったが……まさにそんな「恐怖の予兆」として再び白紙の子が生まれてしまった……ということらしい。
「そんなの、ただの偶然じゃないですか」
そう。まだたった3回しかない。
もっと数が多ければまだ相関関係の説明もつくだろうが。
気のせいではないか、と俺は言いたかったが、父親は首を振った。
「偶然で、この国を危険に晒してはならないのだ」
その目は、悲哀に満ちている。
「では……仮に、白紙の子が生まれたとして……国の危機と……俺の婚約の話はどう繋がるのですか」
「お前の婚約相手は、まさにこれまで白紙の子が生まれる度に侵略をしてきた国の娘だ」
「え……」
「その国は、アルストメリーよりずっと強大で、魔力より武力に優れている。正直、今のまま攻められてしまえば、あっという間にこの国は火に包まれるだろう」
「そんなに……」
「そこでだ、向こうの国との姻戚関係を結ぶことに決めた]
「どうしていきなりそんな話になるんですか」
「お前も、歴史を学んでいるなら分かるだろう。婚姻とは家と家を結びつけるための制度。アルストメリー国の貴族達は特に、この婚姻制度を利用して互いに協力関係を築いて強大になった」
(貴族……ということは、カシーの家もか……)
カシーの家については、かつて王族と深い関係にあったことと、カシーの家から女性が生まれたら、王族として迎えてきたという歴史がある……ということしか、俺は知らない。
父親は、俺の返答を待たずに話を続けた。
「そこで、先に王位継承権を持つお前と、かの国の王女と姻戚関係を作り、子供を作ってもらう」
「なっ……!?」
「血は、水よりも強い。お前と王女との間に、どんな性別であれ子供さえ生まれれば、かの国との絆は強固になり、アルストメリー国が滅びることは、しばらくないかもしれない」
「かもしれないって……可能性の話じゃないですか!!確実じゃないのに……それにどうして俺が!」
父親は俺の言葉を遮るように
「もう決めたことだ。正妃がすでに手筈を整えた」
強い口調で言い放った。
「これは、王命だ。王位継承権を持つお前が、王女と婚姻を結ぶ」
王命。
逆らうことが許されない究極の命令。
「話は以上だ。部屋に戻れ」
「父上」
「なんだ、まだ何かあるのか」
あれだけ優しかったはずの父親は今心、底うんざりしたような顔になっている。
まるで、これ以上余計な事を言ってくれるな……と言いたげな様子。
だけど、俺は納得がいかない。
何もかも。
「カシーは何なんですか」
「ん?」
「先ほどの言い回しでは、カシーだけは正妃にできないと言いました。これはどういう意味なんですか」
あの日。
俺とカシーに対してこう言った。
「俺とカシーが仲良くすることで、俺の魔力が高まる。そうすると国が平和になると言った。あれはどういうことなんですか!?」
(カシーが俺の正妃になって、共に国を治めるということではなかったのか……!)
「そうか……もう、その話をしないといけないのだな……」
王が手を上げる。
王の警備をしていた騎士達が、さっと素早く部屋を出ていく。
「父上……何を……」
「ここから先の話は、王家存続に関わる機密事項だからな。必要のない人間には去ってもらう必要がある」
「機密事項……?」
(そう言えば、あの儀式の間も、ほとんどの人間が入れないと言っていた……)
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