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7.呪われしアルストメリー
これが、アルストメリーが生まれたきっかけ
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「そうかそうか、アルフィーか。よろしくな」
空色の目の男は、アルフィーに手を差し伸べてくる。
アルフィーは、今自分に起きた出来事……自分の意思に反して名乗ってしまった事に混乱していたので、空色の目の男が握手を求めている事に気づかなかった。
空色の目の男は、アルフィーの下がったままの手をがしっと掴んでから
「俺はメルキオール。メルって呼んでくれていいぞ」
と、特に誰も聞いてもいないのに、無理やり握手をしたアルフィーの手をブンブン振りながら名乗ってきた。
しかもそれだけではなく、アルフィーが呆然としている間に
「おーい、お前らも名乗ってやれよ」
とメルキオールが声をかけると、鍋を囲んでいた、残りの2人がアルフィーとルカの前にやってきた。
「僕はトラヴィス。よろしく」
髪もボサボサで、服もよれよれ、かけている眼鏡もレンズにヒビが入っている男は、握手を求めずぺこりと頭を下げた。
年は20になるかならないかだろう、とアルフィーは考えた。
トラヴィスの横にいるのは、彼よりだいぶ身長が低く、ルカよりは若干高い少女だった。
まるで箒のような、藁色のまとまりがない長い髪が印象的。
そして、アルフィーですら見たこともない、首や手首、足首までしっかり布で覆われた、黒いドレスを身に纏った少女は、不機嫌な表情で
「……リーサ……」
とだけ言った。
か細い声で、今にも消えそうだ、と思った。
(これで終わりか……?)
そう思った時だった。
空が急に光った。
雷とは違うとすぐに分かった。
音が聞こえないから。
その光の中から
「ど、どいてくださいー!!!!」
澄んだ女性の声が聞こえた。
と思った瞬間、アルフィーの目の前に白い布1枚だけ纏った女性が落ちてきた。
ほとんど裸体だったので、油断をすると胸が見えそうだった。
アルフィーは咄嗟に自分が身につけていたコート代わりの布を1枚被せてやる。
これも、ボロボロで川の水でしか洗っていないが、ないよりましだろう、と思った。
「あ、ありがとうございます」
にかっと微笑む女性は、歯がところどころ欠けていて、顔中あざがたくさんあった。
「あなたのお名前は?」
ルカはそんな女性に対し、まず真っ先に名前を聞いた。
今はそれどころじゃないだろう、とアルフィーは思ったが、ルカにとっては名前を聞くことが、何より重要だったらしい。
「あ……ええと……名前……言わないとダメですか……?」
女性は、自分の名前を言うのに躊躇っていた。
アルフィーはその気持ちが分かるので、無理をしなくていいと伝えようとした。
でも、
「名前、教えて」
ルカがもう1度念押しをするように聞く。
すると、急に女性はこくりと頷くと
「ステラと、申します」
とあっさり名乗った。
これが、アルストメリーという名の国が、生まれるきっかけになった出会い。
そしてここに集まった人間たちは、互いに知る事になる。
彼らがそれぞれ「魔」を持つ事により国から迫害された事。
新たな新天地へ向かわなくてはいけないと、急に思って行動をしたこと。
そしてそれが……。
「やっぱり神様ってすごいなー。全部私が願った通りになっちゃった」
神の力を使う魔人、ルカによって創られたということに。
空色の目の男は、アルフィーに手を差し伸べてくる。
アルフィーは、今自分に起きた出来事……自分の意思に反して名乗ってしまった事に混乱していたので、空色の目の男が握手を求めている事に気づかなかった。
空色の目の男は、アルフィーの下がったままの手をがしっと掴んでから
「俺はメルキオール。メルって呼んでくれていいぞ」
と、特に誰も聞いてもいないのに、無理やり握手をしたアルフィーの手をブンブン振りながら名乗ってきた。
しかもそれだけではなく、アルフィーが呆然としている間に
「おーい、お前らも名乗ってやれよ」
とメルキオールが声をかけると、鍋を囲んでいた、残りの2人がアルフィーとルカの前にやってきた。
「僕はトラヴィス。よろしく」
髪もボサボサで、服もよれよれ、かけている眼鏡もレンズにヒビが入っている男は、握手を求めずぺこりと頭を下げた。
年は20になるかならないかだろう、とアルフィーは考えた。
トラヴィスの横にいるのは、彼よりだいぶ身長が低く、ルカよりは若干高い少女だった。
まるで箒のような、藁色のまとまりがない長い髪が印象的。
そして、アルフィーですら見たこともない、首や手首、足首までしっかり布で覆われた、黒いドレスを身に纏った少女は、不機嫌な表情で
「……リーサ……」
とだけ言った。
か細い声で、今にも消えそうだ、と思った。
(これで終わりか……?)
そう思った時だった。
空が急に光った。
雷とは違うとすぐに分かった。
音が聞こえないから。
その光の中から
「ど、どいてくださいー!!!!」
澄んだ女性の声が聞こえた。
と思った瞬間、アルフィーの目の前に白い布1枚だけ纏った女性が落ちてきた。
ほとんど裸体だったので、油断をすると胸が見えそうだった。
アルフィーは咄嗟に自分が身につけていたコート代わりの布を1枚被せてやる。
これも、ボロボロで川の水でしか洗っていないが、ないよりましだろう、と思った。
「あ、ありがとうございます」
にかっと微笑む女性は、歯がところどころ欠けていて、顔中あざがたくさんあった。
「あなたのお名前は?」
ルカはそんな女性に対し、まず真っ先に名前を聞いた。
今はそれどころじゃないだろう、とアルフィーは思ったが、ルカにとっては名前を聞くことが、何より重要だったらしい。
「あ……ええと……名前……言わないとダメですか……?」
女性は、自分の名前を言うのに躊躇っていた。
アルフィーはその気持ちが分かるので、無理をしなくていいと伝えようとした。
でも、
「名前、教えて」
ルカがもう1度念押しをするように聞く。
すると、急に女性はこくりと頷くと
「ステラと、申します」
とあっさり名乗った。
これが、アルストメリーという名の国が、生まれるきっかけになった出会い。
そしてここに集まった人間たちは、互いに知る事になる。
彼らがそれぞれ「魔」を持つ事により国から迫害された事。
新たな新天地へ向かわなくてはいけないと、急に思って行動をしたこと。
そしてそれが……。
「やっぱり神様ってすごいなー。全部私が願った通りになっちゃった」
神の力を使う魔人、ルカによって創られたということに。
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