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7.呪われしアルストメリー
ノアが、私に正しい情報を与えていなかったとしたら……?
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ここで、私はふと……つい昨日のことを思い出した。
濃厚すぎる出来事が続きまくっていたので、記憶の片隅に追いやられていた出来事。
ノアが、私に、カサブランカについて教えてくれたこと……。
カサブランカが、母親の胎内を突き破って生まれ出てきた、恐ろしい魔力を持つため、稀代の魔女と呼ばれる存在だったと言っていたこと。
国1つ簡単に破壊することができる爆弾があるらしいと、言っていたこと。
実際に、とても短い、意味がわからない言葉によって、植木や花々を枯らすデモンストレーションをさせられたこと。
カサブランカの体の魔力は、ノアによって与えられた性的な興奮にて、今最大限まで高められていると、言っていたこと。
そして、その魔力によって……エディ王子の魔力を支え、同時にエディ王子の魔力によって、カサブランカの魔力もより強大になったと、言っていたこと……。
そして、カサブランカの記憶はカサブランカによって必要な情報のみ残されており、カサブランカの魂はどこかへ行ってしまったと言っていたこと……。
私に、カサブランカの中にいるまま、カサブランカの魂を見つけ出してくれと、頼んできたこと……。
これが、ノアと私のやりとり。
私は、そうだとすんなり納得した。
納得するしかなかった。
材料が足りなすぎたから。
この世界を知るための。
だけど、考えてみれば……だ。
たった1人の証言など……果たして……当てになど……なるものだろうか?
ノアの証言が正しいことの証明は、まだきちんと出来ていない。
複数の人間が同じことを言えば、初めて正解に近くなるものではないか……?
それに一方で。
カサブランカが「実は魔人」と呼ばれる存在であり、「時空と空間を操る」という力を持っていることは……恐らく……限りなく正しいのかもしれない。
複数人の人間が頷いていたから。
とはいえ、これもきちんと裏付けが取れているわけでは……ない。
(その可能性は、考えたくないけれど……)
ノアが、私に正しい情報を与えていなかったとしたら……?
その仮説も、もしかすると考えておく必要があるのでは……?
「はぁ……」
私は、大きなため息をついて、溜まっていた脳の疲れを吐き出す努力をした。
人を疑うのは、精神的に疲れること。
前世でも、特に社会人として働き始めてから、何度もそういうことがあった。
2度と、あんな思いはしたくないと、思ったはずなのに……。
(あれ?もう1つ、大きなものを忘れている気がする)
何故だろう。
あんな思いはしたくない。
その言葉を思い浮かべた時、何かが警告した。
その何かが……分からないけれど、思い出すべきだと、思わずにはいられなかった。
私は、すでに疲れ切った脳を再度叩き起こすように……また考え始めようとした時。
(私が忘れていることは、何?)
真剣に、祈った。
記憶の扉をこじ開けるように。
その時だった。
「うっ……!」
急に、胸が苦しくなった。
濃厚すぎる出来事が続きまくっていたので、記憶の片隅に追いやられていた出来事。
ノアが、私に、カサブランカについて教えてくれたこと……。
カサブランカが、母親の胎内を突き破って生まれ出てきた、恐ろしい魔力を持つため、稀代の魔女と呼ばれる存在だったと言っていたこと。
国1つ簡単に破壊することができる爆弾があるらしいと、言っていたこと。
実際に、とても短い、意味がわからない言葉によって、植木や花々を枯らすデモンストレーションをさせられたこと。
カサブランカの体の魔力は、ノアによって与えられた性的な興奮にて、今最大限まで高められていると、言っていたこと。
そして、その魔力によって……エディ王子の魔力を支え、同時にエディ王子の魔力によって、カサブランカの魔力もより強大になったと、言っていたこと……。
そして、カサブランカの記憶はカサブランカによって必要な情報のみ残されており、カサブランカの魂はどこかへ行ってしまったと言っていたこと……。
私に、カサブランカの中にいるまま、カサブランカの魂を見つけ出してくれと、頼んできたこと……。
これが、ノアと私のやりとり。
私は、そうだとすんなり納得した。
納得するしかなかった。
材料が足りなすぎたから。
この世界を知るための。
だけど、考えてみれば……だ。
たった1人の証言など……果たして……当てになど……なるものだろうか?
ノアの証言が正しいことの証明は、まだきちんと出来ていない。
複数の人間が同じことを言えば、初めて正解に近くなるものではないか……?
それに一方で。
カサブランカが「実は魔人」と呼ばれる存在であり、「時空と空間を操る」という力を持っていることは……恐らく……限りなく正しいのかもしれない。
複数人の人間が頷いていたから。
とはいえ、これもきちんと裏付けが取れているわけでは……ない。
(その可能性は、考えたくないけれど……)
ノアが、私に正しい情報を与えていなかったとしたら……?
その仮説も、もしかすると考えておく必要があるのでは……?
「はぁ……」
私は、大きなため息をついて、溜まっていた脳の疲れを吐き出す努力をした。
人を疑うのは、精神的に疲れること。
前世でも、特に社会人として働き始めてから、何度もそういうことがあった。
2度と、あんな思いはしたくないと、思ったはずなのに……。
(あれ?もう1つ、大きなものを忘れている気がする)
何故だろう。
あんな思いはしたくない。
その言葉を思い浮かべた時、何かが警告した。
その何かが……分からないけれど、思い出すべきだと、思わずにはいられなかった。
私は、すでに疲れ切った脳を再度叩き起こすように……また考え始めようとした時。
(私が忘れていることは、何?)
真剣に、祈った。
記憶の扉をこじ開けるように。
その時だった。
「うっ……!」
急に、胸が苦しくなった。
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