【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

7.呪われしアルストメリー

生きて、いるのだろうか

「待って！！！」

次に声を発した時、私の目の前の世界は大きく変わっていた。
先ほどまでは、どちらかというと爽やかで華やかで居心地が良い空間。
あれを天国というのなら、今いるのは地獄だろうか……？
真っ暗で、かび臭く、どこからともなくネズミの鳴き声が聞こえてくる。
それに、背筋が凍るように、寒い。

「ここ……どこ？」

周囲を見渡してすぐ、気付いたのは３つ。
まず、自分が腐りかけのベッドらしき場所に寝かせられていること。
次に、真横に、あの、髑髏が大量に出てきてしまう恐ろしい本がぽんっと置かれていること。

（いや、これ勘弁してよ！？）

そして、本から瞬時に離れようと、体を起こして気付いたのが……。

「アザレア……？」

真っ暗な中、蝋燭の灯りだけが寂しく揺れている部屋なので、本当の顔色はわからない。
だけどぱっと見、かつて数回だけ参加した葬式の時に見た、遺体っぽい表情をしたアザレアが目を開けたまま横たわっていた。

「な、何……？だ、大丈夫……！？」

（生きて、いるのだろうか）

木製の扉があり、鉄格子がはめられているこの部屋は、中世の牢獄と言われても、何ら不思議はない。
そして、窓もなくもちろん時計の概念も皆無。
今自分はどこにいるのか。
昼なのか、夜なのか。
その答えを知っているであろう人間は、この近くにはいなさそうだった。
人の気配が、全くしない。音も、空気の流れもないから。

（どうしよう……）

このまま眠ってしまうという選択肢も考えた。
前世の疲れきった体の時なら、きっとそうしただろう。
でも残念ながら、今、体だけはなぜかものすごく元気だ。
徹夜を2日くらい続けても、どうにか立っていられそうだな……と思えるくらいに。

「アザレアー？」

おそるおそる、アザレアの額に人差し指で触れようとした。
ちょんっと。
体温は、冷たくはなかった。
そして唇から息の音がかすかに聞こえたので、私は安堵のため息をついた。
でも。
ことが起きたのは、その瞬間。
あの本が、私めがけて飛んできた。