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7.呪われしアルストメリー
2つの懸念事項
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エディ王子と私は、現在壁に背をつけて、ほどよい距離感を保ったまま横並びに座っている。
エディ王子が最初にそうしたので、それに倣った形ではある。
(あ、ちょっと落ち着くかも……)
背後から攻撃されることがないと分かっているだけで、意識を他に集中させることができる。
今の私にとって、そういう状態を作ることができるだけでもありがたい。
そして、エディ王子は、この状態になることを躊躇わずに行った。
(王子は……こういうことがよくあったのだろうか?)
エディ王子の方をちらと見た時、エディ王子の目とばっちり目が合ってしまった。
先ほどまでのように、怒りが宿った目はしていなかったが、それでも敵意を感じさせるような
視線を私にぶつけてきた。
その視線には、私は心当たりがあった。
(うーん……こんな視線をぶつけられていたんなら、カサブランカじゃなくても、心を閉ざしたくなるわな)
まさに、カサブランカがある時期から向けられた、エディ王子の視線と同じだったから。
「それで」
「え?」
「さっさと説明してもらおうか。俺のカシーを乗っ取った理由を」
「えーとぉ……」
(王子にとって、俺のカシーは、もはや1つの単語になっているのだろうか)
独占欲丸出しのエディ王子の言動に、ツッコミ欲がむくむくと湧きあがってくるのを頑張って抑えながら、どうすればこれ以上脱線しなくていいか、脳をフル回転させながら考えた。
すでに、エディ王子に話を聞いてもらうという場を用意するためだけに、相当な時間の寄り道をしたのだ。
何となくだが、これ以上の寄り道は許されない気がしていた。
何故そんなことを思ったのかは、分からないけれど。
「実は私が乗っ取ったわけではなくて……」
そう。まずはここから。
私は、被害者。
決して、自分から、カサブランカを乗っ取ったわけではないことを、改めて説明しなければ。
エディ王子にとって、今の私は、彼が大好きで仕方がないカサブランカを奪った侵略者みたいなものだ。
決してそうではないということを伝えた上で、彼にとっても私にとってもメリットがある目的を、共有していかなくてはならない。
カサブランカの心を見つける。
カサブランカの心をこの体に戻す。
そうすれば、エディ王子が求めるカサブランカは、戻ってくるはずだから。
(懸念点は、たくさんあるけどね……)
1つは、もちろん私という存在だ。
カサブランカの心をこの体に戻した場合、自分がどうなるのかまるで見えないことは、やはり怖いことだ。
ただ、これについては、すでにそれ以上の恐怖を味わっている分、感覚が麻痺しているのかもしれないが……それ程大きなことだとは、今はまだ思っていない。
もう1つの懸念というのは……。
「じゃあ、どうすれば俺のカシーが戻ってくるんだ」
これだ。
カサブランカをこの体に戻したからと言って、エディ王子のものにカサブランカが戻るとはそもそも限らない。
先ほど、アザレアの中でよぎったビジョンが、もしも本当に正しいことだとしたら……。
カサブランカは、エディ王子を殺そうとしたのだから。
エディ王子が最初にそうしたので、それに倣った形ではある。
(あ、ちょっと落ち着くかも……)
背後から攻撃されることがないと分かっているだけで、意識を他に集中させることができる。
今の私にとって、そういう状態を作ることができるだけでもありがたい。
そして、エディ王子は、この状態になることを躊躇わずに行った。
(王子は……こういうことがよくあったのだろうか?)
エディ王子の方をちらと見た時、エディ王子の目とばっちり目が合ってしまった。
先ほどまでのように、怒りが宿った目はしていなかったが、それでも敵意を感じさせるような
視線を私にぶつけてきた。
その視線には、私は心当たりがあった。
(うーん……こんな視線をぶつけられていたんなら、カサブランカじゃなくても、心を閉ざしたくなるわな)
まさに、カサブランカがある時期から向けられた、エディ王子の視線と同じだったから。
「それで」
「え?」
「さっさと説明してもらおうか。俺のカシーを乗っ取った理由を」
「えーとぉ……」
(王子にとって、俺のカシーは、もはや1つの単語になっているのだろうか)
独占欲丸出しのエディ王子の言動に、ツッコミ欲がむくむくと湧きあがってくるのを頑張って抑えながら、どうすればこれ以上脱線しなくていいか、脳をフル回転させながら考えた。
すでに、エディ王子に話を聞いてもらうという場を用意するためだけに、相当な時間の寄り道をしたのだ。
何となくだが、これ以上の寄り道は許されない気がしていた。
何故そんなことを思ったのかは、分からないけれど。
「実は私が乗っ取ったわけではなくて……」
そう。まずはここから。
私は、被害者。
決して、自分から、カサブランカを乗っ取ったわけではないことを、改めて説明しなければ。
エディ王子にとって、今の私は、彼が大好きで仕方がないカサブランカを奪った侵略者みたいなものだ。
決してそうではないということを伝えた上で、彼にとっても私にとってもメリットがある目的を、共有していかなくてはならない。
カサブランカの心を見つける。
カサブランカの心をこの体に戻す。
そうすれば、エディ王子が求めるカサブランカは、戻ってくるはずだから。
(懸念点は、たくさんあるけどね……)
1つは、もちろん私という存在だ。
カサブランカの心をこの体に戻した場合、自分がどうなるのかまるで見えないことは、やはり怖いことだ。
ただ、これについては、すでにそれ以上の恐怖を味わっている分、感覚が麻痺しているのかもしれないが……それ程大きなことだとは、今はまだ思っていない。
もう1つの懸念というのは……。
「じゃあ、どうすれば俺のカシーが戻ってくるんだ」
これだ。
カサブランカをこの体に戻したからと言って、エディ王子のものにカサブランカが戻るとはそもそも限らない。
先ほど、アザレアの中でよぎったビジョンが、もしも本当に正しいことだとしたら……。
カサブランカは、エディ王子を殺そうとしたのだから。
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