【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

桜葉詩織

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7.呪われしアルストメリー

アザレアは、知っているのではないだろうか

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「おい、何をしてるんだ」

私が、アザレアの体を揺さぶって起こそうとするのを、エディ王子が止めにきた。
きっと彼は、さっきまで自分を痛ぶっていた人間を、私が起こそうとしているのが理解できないのだろう。

「正気か?」

と言いたげな表情で、私の横顔を見つめているのは分かったが、あえてスルーすることにした。
やるべき事は、やらなくてはいけないのだから。

「起きてください」
「んっ……」

アザレアの目が、うっすら開いた。
エディ王子は、一瞬でアザレアの体から距離を取る。

(警戒した犬って、こんな感じだったかな……)

冷静な目で見れば見るほど、エディ王子から耳としっぽが生えているように見える。
カサブランカへの嗅覚も恐ろしいので、これから犬王子と心の中で呼んでやろうか、と考えてしまった。

「ここは……」

声は、アザレアだった。

「大丈夫?」

私は、アザレアに触れようとした。
その瞬間、はっと目を見開いたアザレアは

「触らないでください!!!」

と、今度は私から距離を取る。
それからすぐ、地面に頭をこすりつけるような土下座を、私に向かって何度も繰り返す。

「も、申し訳ございません、お許しください、お許しください」

アザレアが、何をそんなに私に謝ってくるのか分からず、私は困惑した。

「どうしたの?アザレア?」
「そうだ、もっと俺に謝れ」

後ろから余計なことを言ってくるエディ王子には

「余計なこと言うな!」

と、大好きなカシーの声で一喝して、しょぼんっと落ち込ませてから、もう1回私はアザレアに向き直る。

「ねえ、アザレア。あなたは何をそんなに怯えているの?」

と言いながら、私は少しずつ情報を整理してみることにした。
今ある情報は、正直そんなに多くはない。
だから、あくまで仮説だ。
それも複数立てなくてはいけない。
たった1つ、これと決めた仮説のまま考察し続けた場合、万が一外した時に取り返しがつかないところまでミスが進行している可能性があるから。

アザレアは、霊を司る魔人。
霊を体に取り込むことができる魔人。
どんな方法を使うかは分からないけれど、本を開いた途端、霊たちが狙ったようにアザレアに入り込む。
まるで磁石のように。
アザレアには、霊を取り込む選択肢はあるのだろうか。
そこは分からない。
そして、つい先ほど起きた不思議な出来事。
私が、アザレアの体の中に入ってしまった。
アザレアを通じて、私は2つのビジョンを見た。
1つは、アザレア本人としての記憶。
もう1つは…………アルフィーの記憶かもしれないもの。

そこから、ある仮説を立てられる。
私の意識は、アザレアに入った。
ということは、私と言う存在は、アザレアが吸い込んでしまう霊のようなものなのだろう。
この現象が起きたのは、アザレアに私が触れた時。

つまり、私がアザレアに触れてしまうと、この現象が起きる。

これは確定事項だ。
私が体験したことだから。

じゃあ、ここから推測されることは何か。

アザレアは、徹底的に私に自分から離れるように言っていた。
近づくたびにすみませんと謝って来た。
でも、アザレアの記憶にある……猛毒の水差しを渡したカサブランカは、アザレアに微かに触れていても、アザレアは何も言わなかった。どころか、むしろ喜んでいた。


ここから推測できることは何か。




アザレアは、知っているのではないだろうか。
カサブランカではない私が、カサブランカの体にいるということを。
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