277 / 455
7.呪われしアルストメリー
探せ、魔の使い方
しおりを挟む
この前提が正しいとしたら、もう一人怪しい人物がいる。
プルメリアだ。
ノアとアザレアが知っていると仮定して、プルメリアだけが知らないということはあり得るのだろうか。
少なくとも、このタイミングでは思いつかない。まだ。
そんなことを考えている間に、またアザレアの様子がおかしくなった。
肺の毒素でも吐き出すかのような、激しい咳をし出した。
「ど、どうしたの!?」
私は、アザレアに触れないように、近づいた。
触れずに何か助けられることがないだろうか、と考えた。
(そうだ……)
カサブランカは時間と空間を操る魔人だ。
この空間の概念ははっきりしていないが、臓器も中は空間だ。
ノアであれば、人体を司る魔人だから細胞部分に干渉できると仮定したとき、カサブランカであれば、臓器の中身の空間に干渉できるのではないだろうか。
そう考えた私は、カサブランカの力でアザレアの呼吸を落ち着かせることが出来るのではないかという、新たな仮説を思いついた。
ちらりと、エディ王子を見てみる。
自分は一体どうすればいいんだ、というのがありありと分かる表情をしていた。
何を考えているのか、全く読めないノアやプルメリアより、まだ一緒にいるのが改めて楽だと思う。
対処法を考えるために脳のカロリーを消費しなくて済むのだから。
そして、この王子こそ、カサブランカの空間の魔を利用してきた人間。
「王子。カサブランカについて聞きたいことがあるんですけど」
「…………その声でそう聞かれると、違和感があるんだが」
「うるさい、カサブランカがどうなってもいいのか」
この一言で、ぐっ……と王子が黙る。
自分の体でもあり、痛覚はしっかり感じてしまうカサブランカの体をどうこうしようなどとは考えてはいないが、しばらくはそのことは言わず、しっかりこのフレーズは利用させてもらおう。
「カサブランカとの伽の時だけど……何かカサブランカは言葉を言ったりしない?」
「……は?」
こいつは何を言っているんだ、と言いたげな表情を、エディ王子はした。
分かりやすいのはありがたい。が、いかんせん分かりやすすぎると……ちょっとだけムカつく。
とは言え、アザレアの呼吸がどんどんおかしくなり始めている。
前世で言うところの、過呼吸の状態に入っている。
私も、過呼吸の経験はあるから分かる。
このまま死ぬんじゃないかと思うくらい、あれはキツい。
落ち着かせるために、袋状のものがないか探したが、残念ながらそんなものはどこにもない。
「お願い、アザレアを助けるために必要な情報なのよ」
私の言葉に、いまいちピンっと来ていないエディ王子ではあったが
「わ、わかった……」
と、彼自身の記憶を探ってくれた。
同時に私も、カサブランカの脳に残されている記憶を辿ってみることにした。
深く、深く念じている間に、アザレアの呼吸の音が激しくなる。
時間がない。
早く、早く探せ。
脳の記憶を掘り起こせ。
探せ、魔の使い方を。
私は、カサブランカの脳に私として頼んだ。
微かにでもカサブランカの心が脳に残っているなら、私に教えて欲しいと。
この魔を使い、アザレアの救う方法があるなら、と。
その時。
ぱちんっと、脳の神経が弾けるような音がした。
ぱっと、その音がした方に意識を向けた。
この記憶は、見覚えがあった。
この世界に来て、さいしょに辿った記憶。
それは、エディ王子とカサブランカの最初の伽の日。
カサブランカは純白のドレスを着ている。
エディ王子が、慣れない手つきでエスコートしてくれている。
そして、エディ王子がカサブランカをベッドに横たえた、その時だった。
カサブランカの口が、動いた。
何かの言葉を呟いているようだった。
「あっ!!!」
エディ王子も、私と全く同じタイミングで言葉を発した。
何かを思いついたであろう、その発声に、私は期待をした。
もし、この伽の最初の時の記憶が一致していれば。
この体に眠る魔を使う、大きなヒントになるかもしれないから。
プルメリアだ。
ノアとアザレアが知っていると仮定して、プルメリアだけが知らないということはあり得るのだろうか。
少なくとも、このタイミングでは思いつかない。まだ。
そんなことを考えている間に、またアザレアの様子がおかしくなった。
肺の毒素でも吐き出すかのような、激しい咳をし出した。
「ど、どうしたの!?」
私は、アザレアに触れないように、近づいた。
触れずに何か助けられることがないだろうか、と考えた。
(そうだ……)
カサブランカは時間と空間を操る魔人だ。
この空間の概念ははっきりしていないが、臓器も中は空間だ。
ノアであれば、人体を司る魔人だから細胞部分に干渉できると仮定したとき、カサブランカであれば、臓器の中身の空間に干渉できるのではないだろうか。
そう考えた私は、カサブランカの力でアザレアの呼吸を落ち着かせることが出来るのではないかという、新たな仮説を思いついた。
ちらりと、エディ王子を見てみる。
自分は一体どうすればいいんだ、というのがありありと分かる表情をしていた。
何を考えているのか、全く読めないノアやプルメリアより、まだ一緒にいるのが改めて楽だと思う。
対処法を考えるために脳のカロリーを消費しなくて済むのだから。
そして、この王子こそ、カサブランカの空間の魔を利用してきた人間。
「王子。カサブランカについて聞きたいことがあるんですけど」
「…………その声でそう聞かれると、違和感があるんだが」
「うるさい、カサブランカがどうなってもいいのか」
この一言で、ぐっ……と王子が黙る。
自分の体でもあり、痛覚はしっかり感じてしまうカサブランカの体をどうこうしようなどとは考えてはいないが、しばらくはそのことは言わず、しっかりこのフレーズは利用させてもらおう。
「カサブランカとの伽の時だけど……何かカサブランカは言葉を言ったりしない?」
「……は?」
こいつは何を言っているんだ、と言いたげな表情を、エディ王子はした。
分かりやすいのはありがたい。が、いかんせん分かりやすすぎると……ちょっとだけムカつく。
とは言え、アザレアの呼吸がどんどんおかしくなり始めている。
前世で言うところの、過呼吸の状態に入っている。
私も、過呼吸の経験はあるから分かる。
このまま死ぬんじゃないかと思うくらい、あれはキツい。
落ち着かせるために、袋状のものがないか探したが、残念ながらそんなものはどこにもない。
「お願い、アザレアを助けるために必要な情報なのよ」
私の言葉に、いまいちピンっと来ていないエディ王子ではあったが
「わ、わかった……」
と、彼自身の記憶を探ってくれた。
同時に私も、カサブランカの脳に残されている記憶を辿ってみることにした。
深く、深く念じている間に、アザレアの呼吸の音が激しくなる。
時間がない。
早く、早く探せ。
脳の記憶を掘り起こせ。
探せ、魔の使い方を。
私は、カサブランカの脳に私として頼んだ。
微かにでもカサブランカの心が脳に残っているなら、私に教えて欲しいと。
この魔を使い、アザレアの救う方法があるなら、と。
その時。
ぱちんっと、脳の神経が弾けるような音がした。
ぱっと、その音がした方に意識を向けた。
この記憶は、見覚えがあった。
この世界に来て、さいしょに辿った記憶。
それは、エディ王子とカサブランカの最初の伽の日。
カサブランカは純白のドレスを着ている。
エディ王子が、慣れない手つきでエスコートしてくれている。
そして、エディ王子がカサブランカをベッドに横たえた、その時だった。
カサブランカの口が、動いた。
何かの言葉を呟いているようだった。
「あっ!!!」
エディ王子も、私と全く同じタイミングで言葉を発した。
何かを思いついたであろう、その発声に、私は期待をした。
もし、この伽の最初の時の記憶が一致していれば。
この体に眠る魔を使う、大きなヒントになるかもしれないから。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる