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7.呪われしアルストメリー

私にとって都合の良い情報

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またもや、私にとっての想定外が飛び出した。

(ここから先も、何かしら出てくるだろう)

という覚悟は持っていたが、その中身があまりにも想定の斜め右をいきすぎている時の戸惑いは、抑えられるものではない。

「あの……今、何て……?」

確認の意味も込めて、もう1度アルフィーに聞いてみる。
アルフィーもまた、目を丸くして私を見る。
そして言った。

「本当に……知らないのか?」

アルフィーもまた、私に確認する。
私の真意を確認するかのように。

「どうして、そんなことを聞くの?」

私の質問に、アルフィーは心底信じられないという表情を今度は返す。
それから、まるで理解ができない、と言いたげな表情で私を上から下までじっくり観察する。

(な、何……?)

「……確かに……魔人ではある……が……この魔人の割には、あまりにも知識がなさすぎる……何故そんなことが……」

ぶつぶつと、アルフィーは私を何度も確認をしながら、聞こえるか聞こえないかの独り言を繰り返す。

「あのさぁ……ほんと、一体なんなの?」

私も私で、イライラしていた。
それは、今積み重なったものではない。
一つずつ、積み重なっていたイライラが、もう私の心の許容範囲を超えていたのだろう。
だからだ。
つい……そう……つい……だ。
うっかり……。

「言いたいことがあるなら、はっきりしな!!」

私は、アルフィー……正確にいうとアザレアの体……の服の襟部分を掴んで引き寄せてから、すぐ近くにあった壁に押し付ける。
俗にいう壁ドンだ。
色気もへったくれもない、怒りをそのまま伝えるためだけにした、暴力的なものでしかない。

アルフィーは、私の変貌に戸惑っていることを隠せないでいるようだ。
一方で、私は私で、アルフィーの見た目がアザレアなので、弱いものいじめをしているような罪悪感を抱えている。
が、そんなことを気にしている場合ではない。

次やらなくてはいけないのは、このアルフィーという存在から、できる限り情報を絞り出すことだ。
でも、それは……ただ情報を引き出すだけではいけないのだ。
もしかしたら、嘘をつかれる可能性があるから。
嘘をつかれると、私はあっという間にゲームオーバーになる。

会話とは常に、嘘と真実が入り乱れるもの。
全て真実を伝えるような会話なんて、そうありはしない。
その上で、今、私には正しい情報を取捨選択できるだけの知識がないという前提を忘れてはいけない。

だからこそ大事なのだ。
確実に、正しい情報をちゃんと提供してもらえるようにすることは。
どうすれば、私にとって都合の良い情報を、都合の良い形で引き出せられるのかを、徹底的に考え抜くことは。

「そもそも……時間と空間の魔人が、この件を始めなければうまくいかないはずだ……」

来た。
それを……待っていた。
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