290 / 455
7.呪われしアルストメリー
尖ったものを探せ
しおりを挟む
彼には、現時点で彼の肉体というものがない。
心と魂のみ融合された状態。
だから、本の中に閉じ込めることができたのだろう。
(と言うことは、私も下手したら……)
一瞬怖い想像をしそうになった。
もしかしたら、私もまた本に閉じ込められる可能性があるのではないか……と。
そう考えると、急に背筋が寒くなった。
(こ、これは考えるのをやめよう……)
気を取り直して、一旦この仮説は頭の片隅に置いておく。
次に、この……心と魂を足したものを霊だと仮定する。
今は霊を司る魔人、アザレアの中にいて、コミュニケーションを取っている。
つまり、アザレアの肉体とアルフィーの霊が融合された状態が今。
カサブランカの肉体と、私の例が融合されたこの状況と、大体似てる。
そして、私もまた、アザレアの触れてしまったことで、アザレアの体の中に入った。
アザレアの脳に残っている記憶は、それによって覗き込むことができる。
そこに見えていたのは、おそらくアルフィーの霊の記憶がアザレアの脳に入り込んだもの、さらにアザレアがアザレアとして脳に定着したもの。
これをもし利用するなら。
アザレアの脳を媒介として、状況を視覚と聴覚でしっかり把握することができるかもしれない。
この気づきは、とても大きい武器になる。
言葉での嘘が通じない、記憶にこそ、やはり真実が隠されている。もちろん、人によっては記憶をねじ曲げる……ということはあるかもしれないが。
簡単に嘘がつける言葉よりは、まだ信じられるソースになりうる。
(この使い方は、ちゃんとマスターしよう……)
スマホが使えないこの世界が、とてももどかしい。
今頭に浮かんだことを、何らかの方法で記録しておかないと、忘れてしまいそう。
(何か、ないだろうか……)
私は、周囲を探す。
別に、持ち運ばなくても良い。
ただ、頭の中をもう少しクリアにできれば……。
「ねえ、エディ王子」
「……なんだ」
「何か、尖ったもの持ってない?」
「と、尖ったものだと?」
「何でもいい。ペンとか……そういう……細長いもの」
幸い、今私たちがいる場所は地面が土。
細長いもの1本あるだけで、これは解決する。
「本当に……何でもいいのか?」
「何でも!」
「わ、わかった、ちょっと待ってろ……」
エディ王子はそう言うと、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。
「これでも良いのか?」
そう言ってエディ王子が取り出したのは
(何でそんなもんを、この王子持ってるんだ!?)
心と魂のみ融合された状態。
だから、本の中に閉じ込めることができたのだろう。
(と言うことは、私も下手したら……)
一瞬怖い想像をしそうになった。
もしかしたら、私もまた本に閉じ込められる可能性があるのではないか……と。
そう考えると、急に背筋が寒くなった。
(こ、これは考えるのをやめよう……)
気を取り直して、一旦この仮説は頭の片隅に置いておく。
次に、この……心と魂を足したものを霊だと仮定する。
今は霊を司る魔人、アザレアの中にいて、コミュニケーションを取っている。
つまり、アザレアの肉体とアルフィーの霊が融合された状態が今。
カサブランカの肉体と、私の例が融合されたこの状況と、大体似てる。
そして、私もまた、アザレアの触れてしまったことで、アザレアの体の中に入った。
アザレアの脳に残っている記憶は、それによって覗き込むことができる。
そこに見えていたのは、おそらくアルフィーの霊の記憶がアザレアの脳に入り込んだもの、さらにアザレアがアザレアとして脳に定着したもの。
これをもし利用するなら。
アザレアの脳を媒介として、状況を視覚と聴覚でしっかり把握することができるかもしれない。
この気づきは、とても大きい武器になる。
言葉での嘘が通じない、記憶にこそ、やはり真実が隠されている。もちろん、人によっては記憶をねじ曲げる……ということはあるかもしれないが。
簡単に嘘がつける言葉よりは、まだ信じられるソースになりうる。
(この使い方は、ちゃんとマスターしよう……)
スマホが使えないこの世界が、とてももどかしい。
今頭に浮かんだことを、何らかの方法で記録しておかないと、忘れてしまいそう。
(何か、ないだろうか……)
私は、周囲を探す。
別に、持ち運ばなくても良い。
ただ、頭の中をもう少しクリアにできれば……。
「ねえ、エディ王子」
「……なんだ」
「何か、尖ったもの持ってない?」
「と、尖ったものだと?」
「何でもいい。ペンとか……そういう……細長いもの」
幸い、今私たちがいる場所は地面が土。
細長いもの1本あるだけで、これは解決する。
「本当に……何でもいいのか?」
「何でも!」
「わ、わかった、ちょっと待ってろ……」
エディ王子はそう言うと、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。
「これでも良いのか?」
そう言ってエディ王子が取り出したのは
(何でそんなもんを、この王子持ってるんだ!?)
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる