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7.呪われしアルストメリー

私が見ている景色

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「お、落ち着け、その者をこれ以上傷つけるのではない」

アルフィーの焦ったような声が、また脳の中に入ってくる。

「え?ほんと何?何が起きてるの?」
「落ち着け、か……ランカ!」
「落ち着くのだ、ランカ!」

真横から、中から、落ち着け落ち着けと言われたとて、状況が追いつかない私は、どんどんパニックになっていった。

「ど、どうなってるの……!」
「待て、ランカ」

再びのアルフィーの声。

「今、お前の目には何が見えている?」
「何って……お城……石でできてそうで……今のアルストメリーのお城よりずっと小さくて……」
「城?そんなもの、どこにもないぞ。土壁ばかりじゃないか?お前も、俺と同じ方を見ているから、土壁を見ていなければおかしいはずだが……」

エディ王子の声も、再び聞こえてくる。
姿は相変わらず見えない。

「私だってそう思うけど、でも違うの。空は少し灰色がかってて、太陽があがってて……でも雨降りそうで……」
「待て、ランカ、落ち着け……」

またもやアルフィーの声だが、落ち着けと私に言う割には、今度はアルフィーの方が動揺し始めている。

「待て……お前が見ている景色だが……」
「アルフィー……さん?」
「待て……待て……」

そう、ブツブツアルフィーが言ったと思ったら、急に周囲が真っ暗に変わった。

「な、何!?」

(停電!?いや、電気はないよな……?)

そんなことを考えていると、またぱっと明るくなった。
かと思いきや……。

「今度は何!?」
「どうした!?か……ランカ!」

変わったのだ。
また。
目の前の景色が。
今私は、花畑の中央に立っている。

「ど、どうして……」
「やはり、そうか……」

アルフィーが、ため息混じりの声で語りかけてくる。

「やはりって、どういうこと!?」
「おい、か……ランカ、さっきから1人で何を喚いているんだ?」
「ごめんエンディーほんともうちょっと黙って。良いって言うまで」
「なっ……!!!」

(後でエディ王子には、ひどいこと言ってごめんね……と謝っておこう……)

「アルフィーさん、聞こえる?」

私は努めて、心を落ち着かせながら、語りかける。

「……ああ……聞こえている」
「やはりそうか、って今言いましたよね」
「ああ。言った」
「心当たり、あるんですか……?」
「…………そのまま、真っ直ぐ見ていろ」
「真っ直ぐ?この位置でいいですか?」
「ああ。すると、1人……女がやってくる」
「女?」
「見えたら、教えろ、いいな」

そう言うと、アルフィーは1回黙ってしまった。
とりあえず、言うことを聞くしかなさそうなので、じーっと言われた通り真っ直ぐ見ていると……。


「あっ……」

確かに現れた。
地平線の向こうから。
こちらの方に手を振っている少女が。
その少女の顔には、見覚えがある。
アザレアの体に一瞬入った時に見えたその顔を持つ少女は確か……。



「ルカ…………」
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