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7.呪われしアルストメリー
魔を持つ人間は、何故生まれたか知っているか?
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「今のは……あなたの恋人?」
と、口には出しながらも、自分が放った質問には違和感がある。
「ダメよ。このままだと、あなたの魔が暴走してしまう」
というステラの言葉。
これは、エディ王子とカサブランカがセックスをしないといけない理由でもある。
ステラの表情も、アルフィーの反応も、恋人同士のそれとは、とても思えない。
ちなみに、私自身は実際に恋人いたことがあるわけではないのだが、恋人同士の間に流れている独特の空気感くらいは分かる。
そんなことを考えていると、私の脳がまたブルブルと震えた。
アルフィーが、ため息をついたのだろう、というのは分かった。
それからしばらく黙っていると、アルフィーはポツリと言った。
「魔を持つ人間は、何故生まれたか知っているか?」
「何故って……それは……理由があるということ?」
whyの後には必ずbecauseが来る。
これは因果関係の公式である。
かつて大学受験用の英語の授業で習ったことを、ふと思い出した。
「今でも、昨日のことのように思い出せる」
アルフィーがその言葉を呟いた時。
再び真っ暗だった世界が開いた。
光が差した。
そして見えた。
(これは、庭だろうか?)
花が咲き乱れている中に、木で作られたであろうテーブルが1つと、椅子が6脚。
自分の視界にいるのは5人。
ティーカップを片手に楽しそうに何らかを語り合っている。
ルカにステラ、そしてメルキオールの後2人。
きっと私が顔を知らない2人もまた、魔人なのだろう。
「何をしているの?」
そんなことをわざわざ聞く必要なんか、なかったのかもしれない。
でも、聞けないといけない気がした。
だって、アルフィーが記憶をわざわざ私に見せてくれているのだから。
「未来について、語り合っていた。この時は、まだ俺たちは……共に生きていけると信じていたんだ。ここで」
「どんな未来を、語っていたの?」
「俺たちが、普通でいられる国だ」
「普通……」
アルフィーが言う普通という言葉は、私が知っている普通より、ずっと重く、遠いもののように感じた。
きっと、アルフィーの記憶がもしかすると私にそう思わせているのだろうか。
普通という3文字が、ひどく切なく感じた。
「でも……それを壊された」
私は、誰に、とは聞かなかった。
聞けなかった。
もう、ここまで来て答えは分かっていた。
むしろ、私の仮説が違っていたというのなら。
アルフィーはあそこまで、今の王家の人間を恨むはずなんて、ないのだから。
と、口には出しながらも、自分が放った質問には違和感がある。
「ダメよ。このままだと、あなたの魔が暴走してしまう」
というステラの言葉。
これは、エディ王子とカサブランカがセックスをしないといけない理由でもある。
ステラの表情も、アルフィーの反応も、恋人同士のそれとは、とても思えない。
ちなみに、私自身は実際に恋人いたことがあるわけではないのだが、恋人同士の間に流れている独特の空気感くらいは分かる。
そんなことを考えていると、私の脳がまたブルブルと震えた。
アルフィーが、ため息をついたのだろう、というのは分かった。
それからしばらく黙っていると、アルフィーはポツリと言った。
「魔を持つ人間は、何故生まれたか知っているか?」
「何故って……それは……理由があるということ?」
whyの後には必ずbecauseが来る。
これは因果関係の公式である。
かつて大学受験用の英語の授業で習ったことを、ふと思い出した。
「今でも、昨日のことのように思い出せる」
アルフィーがその言葉を呟いた時。
再び真っ暗だった世界が開いた。
光が差した。
そして見えた。
(これは、庭だろうか?)
花が咲き乱れている中に、木で作られたであろうテーブルが1つと、椅子が6脚。
自分の視界にいるのは5人。
ティーカップを片手に楽しそうに何らかを語り合っている。
ルカにステラ、そしてメルキオールの後2人。
きっと私が顔を知らない2人もまた、魔人なのだろう。
「何をしているの?」
そんなことをわざわざ聞く必要なんか、なかったのかもしれない。
でも、聞けないといけない気がした。
だって、アルフィーが記憶をわざわざ私に見せてくれているのだから。
「未来について、語り合っていた。この時は、まだ俺たちは……共に生きていけると信じていたんだ。ここで」
「どんな未来を、語っていたの?」
「俺たちが、普通でいられる国だ」
「普通……」
アルフィーが言う普通という言葉は、私が知っている普通より、ずっと重く、遠いもののように感じた。
きっと、アルフィーの記憶がもしかすると私にそう思わせているのだろうか。
普通という3文字が、ひどく切なく感じた。
「でも……それを壊された」
私は、誰に、とは聞かなかった。
聞けなかった。
もう、ここまで来て答えは分かっていた。
むしろ、私の仮説が違っていたというのなら。
アルフィーはあそこまで、今の王家の人間を恨むはずなんて、ないのだから。
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