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8.神から与えられたのは、罰と……
全て打ち明けてしまいたい
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本当は、全て打ち明けてしまいたい。
そして、思いっきり土下座して、泣いて詫びたい。
そんな気持ちをアルフィーは抱いていた。
アルフィーは、ここまでくる間の道でも、メルキオールがいかにステラを愛しているかを聞かされていた。
あんなにお淑やかで可愛い女は知らない。
自分が辛い時に、そっと頭を撫でてくれるようなステラが愛おしくて仕方がない。
国では不気味な存在として忌み嫌われていたからこそ、誰かと夫婦になることを諦めていた。
だからこそ、ステラと初めて会ったときに直感した。
この女こそ、自分にとっての運命の女であると。
肉体が滅んで魂だけになっても、生まれ変わっても愛し続けることができる。
そんな風に、ただでさえ熱苦しい男が、より情熱を込めて語るのだ。
だからこそアルフィーは、自分がこれからしようとしていることが、どれだけメルキオールにとってもステラにとっても鬼畜なことか……ひしひしと感じてしまっていた。
「なあ……メルキオール……」
「何だよ」
「お前……言ったよな。俺と一緒に国を作りたいって」
「ああ、言った」
「それって……俺のことを……その……信用してくれてるってことか?」
我ながら馬鹿な質問だ、と思った。
「何だよ急に」
メルキオールは、ゲラゲラ笑いながらも
「当然だろ。お前以外の誰を、他に信じろっていうんだ」
と自信たっぷりに言ってくるのに、アルフィーはとても苦しかった。
「じゃあさ……メルキオール……」
「どうしたんだよ、さっきから変だぞ、お前」
メルキオールは、心から心配しているというのが分かる表情で、アルフィーの顔を覗き込む
「もし……目の前で……俺かステラどちらかが死にそうになってて、1人しか助けられないとしたら……お前、どうする?」
「は?」
いきなり何言ってんだ、と言いたげな目を、メルキオールはしている。
「どうなんだよ、メルキオール」
アルフィーも、自分で何故こんな質問をしているのか混乱し始めていた。
一体、自分はメルキオールから何を引き出したいのか。
あと数日後には、アルフィーがステラに何をしたかメルキオールにはバレてしまうだろう。
そうなれば、きっとこの真っ直ぐな瞳を持つ男は自分を軽蔑するかもしれないと、アルフィーは怯えていた。
だからこそ、アルフィーは確信が欲しかった。
メルキオールは、きっと自分のことをわかってくれる。
事情があったんだと、信じてくれる。
そしてまた、こんな風に話ができると、未来を語り合えると……。
「2人とも助けるさ」
「え?」
「だーかーらー。2人とも俺は助けてやるさ。俺は、自然を司る魔人、だからな」
そう言ってから、メルキオールはウインクをアルフィーに投げた。
その滑稽な表情に、アルフィーがホッとした次の瞬間。
それは急にきた。
メルキオールがすくっと立ち上がった。
険しい表情で、城の方向を見た。
アルフィーは、嫌な予感がした。
その時、強い風がさっとメルキオールとアルフィーの間を通り過ぎ、そして……。
「泣いている……ステラが……行かないと……」
メルキオールはぼそりとつぶやいた。
そして、思いっきり土下座して、泣いて詫びたい。
そんな気持ちをアルフィーは抱いていた。
アルフィーは、ここまでくる間の道でも、メルキオールがいかにステラを愛しているかを聞かされていた。
あんなにお淑やかで可愛い女は知らない。
自分が辛い時に、そっと頭を撫でてくれるようなステラが愛おしくて仕方がない。
国では不気味な存在として忌み嫌われていたからこそ、誰かと夫婦になることを諦めていた。
だからこそ、ステラと初めて会ったときに直感した。
この女こそ、自分にとっての運命の女であると。
肉体が滅んで魂だけになっても、生まれ変わっても愛し続けることができる。
そんな風に、ただでさえ熱苦しい男が、より情熱を込めて語るのだ。
だからこそアルフィーは、自分がこれからしようとしていることが、どれだけメルキオールにとってもステラにとっても鬼畜なことか……ひしひしと感じてしまっていた。
「なあ……メルキオール……」
「何だよ」
「お前……言ったよな。俺と一緒に国を作りたいって」
「ああ、言った」
「それって……俺のことを……その……信用してくれてるってことか?」
我ながら馬鹿な質問だ、と思った。
「何だよ急に」
メルキオールは、ゲラゲラ笑いながらも
「当然だろ。お前以外の誰を、他に信じろっていうんだ」
と自信たっぷりに言ってくるのに、アルフィーはとても苦しかった。
「じゃあさ……メルキオール……」
「どうしたんだよ、さっきから変だぞ、お前」
メルキオールは、心から心配しているというのが分かる表情で、アルフィーの顔を覗き込む
「もし……目の前で……俺かステラどちらかが死にそうになってて、1人しか助けられないとしたら……お前、どうする?」
「は?」
いきなり何言ってんだ、と言いたげな目を、メルキオールはしている。
「どうなんだよ、メルキオール」
アルフィーも、自分で何故こんな質問をしているのか混乱し始めていた。
一体、自分はメルキオールから何を引き出したいのか。
あと数日後には、アルフィーがステラに何をしたかメルキオールにはバレてしまうだろう。
そうなれば、きっとこの真っ直ぐな瞳を持つ男は自分を軽蔑するかもしれないと、アルフィーは怯えていた。
だからこそ、アルフィーは確信が欲しかった。
メルキオールは、きっと自分のことをわかってくれる。
事情があったんだと、信じてくれる。
そしてまた、こんな風に話ができると、未来を語り合えると……。
「2人とも助けるさ」
「え?」
「だーかーらー。2人とも俺は助けてやるさ。俺は、自然を司る魔人、だからな」
そう言ってから、メルキオールはウインクをアルフィーに投げた。
その滑稽な表情に、アルフィーがホッとした次の瞬間。
それは急にきた。
メルキオールがすくっと立ち上がった。
険しい表情で、城の方向を見た。
アルフィーは、嫌な予感がした。
その時、強い風がさっとメルキオールとアルフィーの間を通り過ぎ、そして……。
「泣いている……ステラが……行かないと……」
メルキオールはぼそりとつぶやいた。
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