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8.神から与えられたのは、罰と……
微かに芽生えそうになった自分の胸の痛みを握りつぶすから
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「王子……?」
私の問いかけに、エディ王子は答えない。
でも、私の方に近づいてくる。
そして、同じように全裸の私の前に立つ。
彼の目には私が映っている。
(違う……)
彼が見ているのは、私ではない。
「心配した、カシー」
ああそうか。
彼はきっと、夢を見ているのだろう。
彼が愛するカサブランカを探す夢を。
今はもう、セックスをする時ではない。
だから、言えばいいのだ。
私は違うよ、と。
そして目覚めさせればいい。
現実に彼を向き合わせるために。
でもどうしてだろう。
王子の視線が、私の体を縛り付ける。
動けなくさせる。
王子が私をカサブランカとして抱き寄せても。
飴色の艶々のカサブランカの髪の毛を愛おしそうに撫でてきても。
それが、私への愛情じゃないとわかっていても、動かない。動きたくなかった。
「カシー、もう俺の側から離れないで」
その言葉から、私は色々と考えてしまった。
色々考えた上で、私は伝えたい言葉と伝える言葉どちらを選ぶか真剣に考えた。
考えて考えて、いっぱい考えて……。
それから私は……。
「こらっ寝ぼけるな!」
エディ王子の額をペしりと叩いた。
その瞬間、目をパチクリとさせたエディ王子は
「あれ……?どうして俺は、こんなところに……?」
と、自分の居場所に違和感を感じてくれた。
「こら、ねぼすけ」
「ら、ランカ……?」
寂しさと安心は、両方心の中に入ってくるのだなと、私はこの時のやり取りで感じてしまった。
ねえ、だめだよ。エディ王子。
間違えないで。
私はあなたを騙すことはあるけれど。
あなたはちゃんと、カサブランカだけを探し当てて。
でなければきっと、カサブランカは2度とあなたの元には帰ってこない。
私は、微かに芽生えそうになった自分の胸の痛みを握りつぶすから。
私の問いかけに、エディ王子は答えない。
でも、私の方に近づいてくる。
そして、同じように全裸の私の前に立つ。
彼の目には私が映っている。
(違う……)
彼が見ているのは、私ではない。
「心配した、カシー」
ああそうか。
彼はきっと、夢を見ているのだろう。
彼が愛するカサブランカを探す夢を。
今はもう、セックスをする時ではない。
だから、言えばいいのだ。
私は違うよ、と。
そして目覚めさせればいい。
現実に彼を向き合わせるために。
でもどうしてだろう。
王子の視線が、私の体を縛り付ける。
動けなくさせる。
王子が私をカサブランカとして抱き寄せても。
飴色の艶々のカサブランカの髪の毛を愛おしそうに撫でてきても。
それが、私への愛情じゃないとわかっていても、動かない。動きたくなかった。
「カシー、もう俺の側から離れないで」
その言葉から、私は色々と考えてしまった。
色々考えた上で、私は伝えたい言葉と伝える言葉どちらを選ぶか真剣に考えた。
考えて考えて、いっぱい考えて……。
それから私は……。
「こらっ寝ぼけるな!」
エディ王子の額をペしりと叩いた。
その瞬間、目をパチクリとさせたエディ王子は
「あれ……?どうして俺は、こんなところに……?」
と、自分の居場所に違和感を感じてくれた。
「こら、ねぼすけ」
「ら、ランカ……?」
寂しさと安心は、両方心の中に入ってくるのだなと、私はこの時のやり取りで感じてしまった。
ねえ、だめだよ。エディ王子。
間違えないで。
私はあなたを騙すことはあるけれど。
あなたはちゃんと、カサブランカだけを探し当てて。
でなければきっと、カサブランカは2度とあなたの元には帰ってこない。
私は、微かに芽生えそうになった自分の胸の痛みを握りつぶすから。
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