423 / 455
8.神から与えられたのは、罰と……
それは、お前だけだろうが、クソが
しおりを挟む
(何それ、聞いてない)
全ヲタがそうなのか、それとも私だけなのか。
今すぐSNSの投票機能を使って確認したい。
例え、自分がどれだけ酷い目に遭わされようとも、その怒りや苦しさ、もどかしさを上回る萌え話が出てきたとしたら、一気に心を持っていかれてしまうのは。
「ど、どうしたランカ」
「見たかった」
「は?」
「あ、いや、何でもない」
これが、液晶の中、もしくは紙の中の出来事であり、自分の反応がストーリーに何の影響もない状態であれば
「美形同士のキスとか最高か、めしうま」
と言いながら、涎を垂らしまくったことだろう。
だが、残念ながら、今私の反応はダイレクトに当事者に伝わる。
エディ王子の表情だけでも分かる。
これは、彼なりの、勇気を振り絞った末のカミングアウトであることを。
(落ち着け、落ち着け私……)
急なハプニングによりアソコが準備満々になってしまった男は、こんな気持ちで自らの気持ちを鎮めようとしているのだろうか、と、とてもどうでもいいことを知識として得てしまった。
「ふー……はー……」
「ら、ランカ?急に深呼吸したりして、具合悪くなったのか?」
「気にしないで、今心を浄化しているだけだから」
「じょ、浄化?」
「大丈夫王子。これは、分からなくても問題ないから」
分かり合える同士に出会いたい、という欲は膨れ上がってしまった私だったが、それはまた別の話。
「よし。準備できたから続きをどうぞ」
「だ、大丈夫か?」
「もう平気。ノアがエディ王子にき、きききキスをしてどうなったって?」
(いけない、ついキスのワードを言うだけなのに過剰に反応してしまった)
「あいつは……」
「うんうん」
「キスをすると、カシーが喜ぶかもしれないって言って……」
「うんうん」
(人と状況によるがな)
「もし、カシーが俺のことが好きだったら、キスさえすれば喜ぶって言って」
「……ほう?」
(それは、お前だけだろうが、クソが)
この発言を聞きながら、私はノアさんの前世を思い出しながら、軽く殺意を覚えていた。
何故なら、奴は人に「仕事ができない」「愚鈍」などと馬鹿にしたくせに、やってることはヲタクで人畜無害な私に比べて遥かにクズなことをしていたから。
「女と認識した相手は、挨拶がわりにキスをする」
これが、ノアさんの前世クソ上司に関するヤバい噂の内の1つだったのだ。
「だから、カシーに拒絶されて、俺は……何か間違えたんじゃ」
「思いっきり間違えてる」
「やっぱり」
「いや、エディ王子がと言うより、あの顔と下半身だけ元気なクソ上司の方。エディ王子もカシーも、その年齢であればどちらも間違ってない。うん」
(いっそ今すぐその場面に飛ばしてくれないだろうか。そしたらエディ王子とカシーにちゃんとキスから性教育をして、清く正しく美しいファンタジー溺愛小説のような恋愛を指南できたのに……)
そんなことを考えたところで、世の中都合のいいことなどそう簡単に転がっているはずがないと、私はこの異世界に連れてこられたことで、嫌でも思い知ったわけだが。
全ヲタがそうなのか、それとも私だけなのか。
今すぐSNSの投票機能を使って確認したい。
例え、自分がどれだけ酷い目に遭わされようとも、その怒りや苦しさ、もどかしさを上回る萌え話が出てきたとしたら、一気に心を持っていかれてしまうのは。
「ど、どうしたランカ」
「見たかった」
「は?」
「あ、いや、何でもない」
これが、液晶の中、もしくは紙の中の出来事であり、自分の反応がストーリーに何の影響もない状態であれば
「美形同士のキスとか最高か、めしうま」
と言いながら、涎を垂らしまくったことだろう。
だが、残念ながら、今私の反応はダイレクトに当事者に伝わる。
エディ王子の表情だけでも分かる。
これは、彼なりの、勇気を振り絞った末のカミングアウトであることを。
(落ち着け、落ち着け私……)
急なハプニングによりアソコが準備満々になってしまった男は、こんな気持ちで自らの気持ちを鎮めようとしているのだろうか、と、とてもどうでもいいことを知識として得てしまった。
「ふー……はー……」
「ら、ランカ?急に深呼吸したりして、具合悪くなったのか?」
「気にしないで、今心を浄化しているだけだから」
「じょ、浄化?」
「大丈夫王子。これは、分からなくても問題ないから」
分かり合える同士に出会いたい、という欲は膨れ上がってしまった私だったが、それはまた別の話。
「よし。準備できたから続きをどうぞ」
「だ、大丈夫か?」
「もう平気。ノアがエディ王子にき、きききキスをしてどうなったって?」
(いけない、ついキスのワードを言うだけなのに過剰に反応してしまった)
「あいつは……」
「うんうん」
「キスをすると、カシーが喜ぶかもしれないって言って……」
「うんうん」
(人と状況によるがな)
「もし、カシーが俺のことが好きだったら、キスさえすれば喜ぶって言って」
「……ほう?」
(それは、お前だけだろうが、クソが)
この発言を聞きながら、私はノアさんの前世を思い出しながら、軽く殺意を覚えていた。
何故なら、奴は人に「仕事ができない」「愚鈍」などと馬鹿にしたくせに、やってることはヲタクで人畜無害な私に比べて遥かにクズなことをしていたから。
「女と認識した相手は、挨拶がわりにキスをする」
これが、ノアさんの前世クソ上司に関するヤバい噂の内の1つだったのだ。
「だから、カシーに拒絶されて、俺は……何か間違えたんじゃ」
「思いっきり間違えてる」
「やっぱり」
「いや、エディ王子がと言うより、あの顔と下半身だけ元気なクソ上司の方。エディ王子もカシーも、その年齢であればどちらも間違ってない。うん」
(いっそ今すぐその場面に飛ばしてくれないだろうか。そしたらエディ王子とカシーにちゃんとキスから性教育をして、清く正しく美しいファンタジー溺愛小説のような恋愛を指南できたのに……)
そんなことを考えたところで、世の中都合のいいことなどそう簡単に転がっているはずがないと、私はこの異世界に連れてこられたことで、嫌でも思い知ったわけだが。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる