【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

9.過去の清算

どうして、私はじーっと見られてるんだろう

（どうして、私はじーっと見られてるんだろう……）

私は今、王妃……エディ王子のお母さんと向き合って座っている。
さすがエディ王子を産んだだけのことはあり、カサブランカと戦える程のものすごい美女だった。
とても２人子供を産んだと思えないし……見た目は違うとはいえ、魂の中身が弟であり、その弟がこの美女とイチャコラせっせと子作りをしたことが、妙に腹立たしかった。
今の気持ちを、本当に素直に言うなら

（お前のくせに、何美女とよろしくやってんだよ）

だろうか。
なんだか幼稚だな、と私は自分の考えを消すように頭を振りながら、AでもBでもなくCランチ……ハンバーグとグラタンのプレートランチの匂いを嗅いだ。

（懐かしい……お腹が空く匂いだ……）

「ど、どうでしょうか？」

エディ王子のお母さんが、心配そうに尋ねてくる。

「どう、とは？」
「その……お味の方は……」

（まだ食べてないぞ）

そんな私の様子に気づかないくらい、私がこの料理をどう思うかが、エディ王子のお母さんは心配だったらしい。

「わ、分かりました。今から食べます」

そう言って、まずはグラタンを一口すくって食べる。

「うんまっ！」

ミルキーなふんわりした味と食感に、マカロニのプチプチ食感がたまらなく懐かしく、私はスイッチが入ったかのようにバクバクとあっという間に平らげてしまった。
カサブランカの体に脂肪成分を加えてしまうのは申し訳ないかも、と一瞬頭をよぎったものの、人の体のために自分の食欲を我慢できるほど、私は理性的ではなかった。

「気に入っていただけたでしょうか？」
「いや、これほんとうまいっす」

とてもカサブランカの美形から出てくるとは思えない、頭が悪そうな返答。
でも、それしか言葉が出てこない。
美味しい物を口にした時は。
誰だって、そうではないだろうか？

「よかったわ」
「この城のコックさん、天才ですよ。なんですかこのグラタン」
「実はね、これ……王が作ったの」
「はあ！？」

王とは、弟のことである。
あの、弟が、グラタンを作ったということらしい。
私は口の中の最後のグラタンが落ちないように、呆然と開いてしまった口を閉じるために、口で顎を押さえた。

ちなみにスプーンは、チャリーンと音を立てて床に落ちていたのは言うまでもなく。