【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

9.過去の清算

一体何の罰ゲームだ？

「あの……聞き間違いじゃ、ないですよね？」
「え？」
「今、……おとう……じゃなくて、王が、作ったと、そう言いました？」

私自身で驚くくらい、自分の動揺が凄まじく、1つ1つ丁寧に言葉を話そうとしなければ、ガタガタと唇の震えを抑えることが出来なかった。

「はい。そうです。お義姉様に喜んでいただきたいと、それはもう仕込みも全て」
「お、おねえ……」

ちなみに。
私の中身がアラサー喪女なのはさておき。
10代のカサブランカの見た目をしている私がお義姉様と呼ばれ、私の義妹にあたるのが、エディ王子を産んだ……見た目は元の私より絶対若くて絶世の美女だけれど……低く見積もってもアラフォーは確実な王妃。

（一体何の罰ゲームだ？）

もし自分の体がカサブランカじゃなければ、間違いなく、逃げ出していただろう。
もちろんあからさまにではなく

「ちょっと、お花をつみに」

と言い訳はしっかり用意して。
そんな、私的には複雑極まりない状態の中で、さらに衝撃的な真実を告げられ、私の脳内はまさにフリーズ状態。

（今、ここにアルフィーがいてくれたら……！）

脳を介して私のこの言語化できないモヤモヤを、アルフィーがこの体の中に入ることでうまーく彼が言語化してくれるのではないか、と考えた。

（今度使ってみようかな……）

いかんせん、弟のことになると、私は言葉をうまく出せない。
それはきっと、長年培ってきた負の感情が邪魔するからなのだろうな、とは思っている。
そこまでは考えられるのに、感情が理性を殺してくるので、本当に困ったものだった。

「あの……王妃様？本当に、これをアレが……」
「ええ。きっと今頃疲れているだろうから、少しでも自分にできることがあればお義姉様にしてあげたいと、おっしゃってましたわ」
「…………余計なことを……」

そんなこと、今更言われても。
容姿も世界も全く違うこのタイミングで言われても。
私の心に蔓延ったアレへのマイナスが払拭できることなどないと言うのに。

「お……お義姉様……どうしました？」
「え？」
「お味がおいしくなかったのでしょうか。涙がでております」
「あ…………」

確かに、口元が先ほどよりしょっぱくなっていた。

「こ、こちらのハンカチを使ってください」

そう言って王妃が私に差し出した物も、私を驚かせた。

「どうして、これを……」
「王が、刺繍したんです」

そのハンカチの布自体は、シルクでできている肌ざわりの良いものだったけれど、そこにあるのに相応しくない、前世の世界で人気のキャラクターが刺繍されていた。
そしてそのキャラクターは、私と弟がまだ仲が良かった頃、一緒に見ていたアニメのものだった。

「下手くそ……」

私の声は、詰まった鼻声になっていた。